水上バスからみた大川端リバーシティ21 |
もんじゃ焼きで有名な「月島」の北側の突端部に存在する再開発事業である.都心部における居住空間の回復を目指して住宅・都市整備公団(現都市基盤整備公団),東京都住宅局,東京都住宅供給公社,三井不動産の4者による再開発が行われたもので,東京における超高層住宅(三井不動産の分譲マンションは54階建て)の先駆けとなった開発である.昭和61(1986)年より着工され,地区面積は28.7ha,3886戸の住宅戸数を持つ.ちなみに,賃貸の場合の家賃は3LDK(75m2)で月額25万円であるという. 地区内には,住宅以外にも,教育施設やスポーツ施設,文化・商業施設も計画的に配置されているが,商業施設や文化施設は計画通りの誘致が難しく,一部住宅地に変更したりしている.都市計画道路によって東京駅とも直結しており(約2km),隅田川に面する部分はスーパー堤防の採用によって,川面がみれるように親水性が確保されている.隅田川の水上バスにのると,この大川端リバーシティの案内放送が流され,近未来的な超高層住宅の林立する再開発を眺めることができる. 再開発前には石川島播磨重工業(株)の工場が建っていた.ペリーが浦賀に来航した1853年,幕府の命令を受けた水戸藩がここに石川島造船所を創設したのが始まりで,日本人によって最初に設計・建造された蒸気軍艦「千代田形」など数多くの艦船が造られた場所である.明治に入ってから渋沢栄一などの協力によって民間会社としての石川島造船所となったが,1939(昭和14)年の造船部門の豊洲移転によってこの地での造船事業は終わりを迎えた.その後は,重機械類の専門工場として稼働していたが,1979(昭和54)年の工場移転により現在の再開発事業が行われるようになったのである.
|