銚子電鉄・ぬれ煎餅[銚子・犬吠埼へ#3]

■銚子電鉄■

銚子電鉄は,関東地方の最東端に位置するローカル私鉄で,銚子~外川間の6.4kmを約20分で結んでおり,1923(大正12)年に開業している鉄道である.
しかし,2006(平成18)年に当時の社長の約1億円にのぼる横領が発覚し,モータリゼーションによる乗客減もあって,倒産寸前の状態になった.さらに,国土交通省の監査による,線路や踏切などへの改善命令も出され,車両の法廷検査の費用も必要となり,社員の給料さえも全額払えない状況になった.
そこで,副業として販売していた「ぬれ煎餅」を売ることにしたが,当初は売り上げが思うように伸びず,資金不払いが発生してしまう状況に陥っていたときに,インターネットへ「ぬれ煎餅を買ってください.電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」と書き込みを行ったところ,大きな反響を呼び,テレビなどでも取り上げられて,爆発的な売り上げを記録した.それにより電車の点検費用をまかなうことができ,線路などの施設の更新を行うことができ,今年夏には,車両の更新(中古ではあるが)も行うことができ,廃止を免れて銚子の街をのんびり走り続けているという鉄道なのである.

銚子駅改札口
片道切符は自動券売機で購入できるが,往復乗車券や1日乗車券は,銚子電鉄の車掌からしか購入できないため,そのまま駅員に断って改札内に入ってホーム(2番線の先)に行くことができる.

JR線の2番線ホーム先にある銚子電鉄のホームのりば.Suicaのタッチする機械が置かれている.

洋風の駅舎になっているが....塗装が剥げていて,銚子電鉄らしい.

銚子電鉄1000形
どこかで見たことがある車両.そうです,昔の地下鉄銀座線の車両を利用している.

車内で購入した片道切符.

車内にはゲーム「桃太郎電鉄」((株)ハドソン)から応援している広告が貼られている.車両のラッピングもこのとおり.

車内の壁の非常用補助ランプ,地下鉄銀座線は駅に到着する前に車内のライトが消えていたので,そのときに「ピカ」と光っていたのを思い出す.

キャベツ畑の中を走っていく.

■ぬれ煎餅・犬吠駅■

ぬれ煎餅は,犬吠駅舎の中で販売している.ただ,ぬれ煎餅はここでしか買えないわけではなく,街中のコンビニでも販売している.

目の前で実演して販売している.
1日乗車券を購入していれば,1枚無料でもらうことができる.

ぱりっとしておらず,しっとりしているぬれ煎餅.私としてはこちらの方が好みの食感である.

ぬれ煎餅には3種類の味があって,濃い口の「普通味」,うす口の「うすむらさき味」,甘口味の「甘じょうゆ」とある.

犬吠駅
壁のタイルは剥がれ落ち,廃車となった電車はかろうじて展示館として利用されているようだが,会社の経営状態が如実に表れているように感じる.

 

廃車を利用した「銚子の観光案内」

■昭和初期の電車■

この電車(700形),1942(昭和17)年に製造された電車で,いまだに現役で働いているのには驚かされる.しかし,この電車も老朽化によって国土交通省から業務改善命令がでており,2010(平成22)年7月に,代替車両の譲渡をうけてついに引退となった.2010年のゴールデンウィークにはかろうじて廃車前に最後の運行を行っていた.

床が木の電車.昔の電車やバスはみんな床が木だった.

この電車は,1949(昭和24)年製造の800形.すでに車体は錆だらけ,ボロボロなのである.

車内はこんな感じ.このレトロな車両を見に銚子電鉄まで訪れる観光客も多い.もちろん冷房は付いていない.

外川駅に置かれている700形.
既に引退しているが,駅の奥の引き込み線に置きっぱなしである.

同じく,外川駅に置かれているユ100形で,国鉄貨車を改造して造られたオープン式のトロッコ客車.当時NHKで放送されていた澪つくしから命名された「澪つくし号」という名前が付いている.ただし,現在は安全面の都合により休車となっている.