王78 王子駅⇔新宿駅西口[都バスで東京発見]

ただひたすらに環七通りを走る東京23区内都営バス最長距離の路線

王78 王子駅⇔新宿駅西口(経由)豊玉北・高円寺駅入口 杉並・練馬営業所

路線keyword:環七通り(環状七号線),青梅街道,各種ファミリーレストラン,単調退屈


東京都23区(特別区)内の都営バスで最長距離(18.3km)を走る路線である。新宿と王子を結んでいるのだが、高円寺・豊玉北・東十条と環七通りをぐるりと迂回して結ぶルートとなっており、乗り通す乗客はまずいない。しかも、走る道路が青梅街道・環七通り・北本通りといった幹線道路であり、沿線風景も変化に乏しく、さらに交通量の多さ・渋滞の激しさでは悪評高き環七通りをひたすら走るとなれば、よほどの物好きでない限り本路線を乗り通す乗客はいないだろう。王子駅・新宿駅間の所要時間は約1時間となっているが、道路渋滞によっては2時間もかかってしまうことがある。
新宿駅西口路線バスターミナルを出発すると、左手に新宿エルタワー、裾の広がる安田火災海上ビル、新宿野村ビルの超高層ビル群が現れ、青梅街道を高円寺まで西に向けて走る。中野坂上で山手通りと交差し、相撲の二子山部屋が近くにある鍋屋横丁商店街を抜け、営団地下鉄丸ノ内線東高円寺駅を過ぎると、環七通り・高円寺陸橋となって、バスは右に曲がる。順調に走ればここまでおよそ20分である。
環七通りに突入である。東京には1号から8号までの環状道路が造られている。1号線から順に、内堀通り・外堀通り・外苑東通り・不忍通り・明治通り・山手通り・環七通り・環八通りとなっている。この中でも特に「かんなな」と呼ばれる環状七号線(環七通り)は東京湾部分を除く全区間において環状線が整備されており、東京都心部を通過したい自動車(例えば横浜から大宮に行きたい車)にとっては環状道路を使うことにより、都心部の密集した市街地を通ることなく短距離・短時間で通過することができる。そのためにトラック等の交通量も多くなるのであり、環状道路は交通政策上も重要な道路である。環七通りと郊外へ延びる放射状の幹線道路との交差点には、陸橋が設けられており、信号待ち等によって環状線を直進する車のスピードが落ちないように設計されている。
一般的に路線バスの停留所はそのような陸橋の下の側道部分に置かれていることが多く、陸橋の上を路線バスが走っていく姿はあまり見かけないが、本系統は陸橋下の停留所には停車せず、陸橋の上をバスが走っていく。
野方にて西武新宿線の下をくぐり、豊玉北を過ぎたあたりで西武池袋線の陸橋を越える。羽沢で西武有楽町線新桜台駅前となる。
沿線の風景はこれといった特徴があるわけでもなく、街路樹と車・トラックのひしめく道路が続くだけで退屈極まりないが、環七沿線に多く見られるある施設をつぶさに眺めてみると結構暇つぶしになる。それは、ファミリーレストランとガソリンスタンドである。特にファミリーレストランは、「デニーズ」や「ロイヤルホスト」等といったメジャーな店舗から、聞いたこともないマイナーな店舗まで、多種多様な店が次々と後ろへ過ぎ去っていく。おそらく、東京で営業しているファミリーレストラン企業のほとんどの店舗を環七沿線で見られるのではないかと思うほど、ありとあらゆる店が現れていく。
常盤台で東武東上線の下をくぐると、環七通りは右にカーブするが、その左手に赤提灯を並べた立ち食いラーメン屋「土佐っこラーメン」が現れる。夜になると赤提灯には明かりがついて、路上に車を止めてラーメンをすする客の姿が絶えない。この地点が先頭になって渋滞が起こることもあり、道路には、「夜間の違法駐車取締りを強化します-板橋警察署」と書かれた看板が立っている。
大和町にて高速道路(上側)と中山道(下側)と交差する。大和町交差点は大気汚染度が都内ワーストワンという記録を持つ交通量の激しい場所であり、都営地下鉄三田線板橋本町駅前でもある。
バスはさらに環七通りを東へ進む。JR埼京線を越え、なだらかな下り坂を走りながらJR京浜東北線と東北・上越新幹線と交差し、隅田川手前に位置する北区神谷町の宮堀陸橋にてようやく環七通りから北本通りへと右折する。そして、王子五・四・三・二丁目と王子のオンパレードとなって終点王子駅前に到着する。