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土佐から伊予へ、そして再び高松[四国旅行記#10]

予土線で土佐から伊予へ

 とうとう四国を離れる日がきてしまった。今日は本州に戻る日である。

 中村8時15分、窪川行の土佐くろしお鉄道ワンマン列車は発車した。車内は中間部がクロスシートになっていて、その部分の窓だけがいっそう大きくなっている。春休みとあって学生は居ず、数人しかいなかった。天気は晴れ。右手に土佐湾がみえてきた。
 トンネル内のループ線とぐるりと左回りして川奥信号所を通過し、于土線と合流して岩井に停車した後、9時19分、窪川に到着した。

 9時59分、JR予土線のワンマンカーが発車した。再び、同じ線路を走って川奥信号所へと向かうのだが、この線路は土佐くろしお鉄道になっており、JRの列車は分岐点であるその信号所まで他社線を走ることになる。我々はJRの周遊券で乗っているので、窪川の隣の駅である岩井までの運賃180円を払わなければならない。降りる時に払うのだろうか。車内は殆どが観光客で、ロングシートが埋まり立ち客がでる程だった。

 車窓に川が見えてきた。四万十川の上流の仁井田川である。さすがに四万十川とあって、川岸にいたわけではないので底まで見ることはできなかったが、川は緑色がかっていて美しかった。さらに浮かんでいる桜の花びらが白い点のように見えた。車内の案内テープでも、

「只今、見えている川が日本最後の清流、四万十川です。」

と、駅名案内のあとに付け加えていた。もう川の名前は「四万十川」で統一してしまっているようだ。そして、10時22分、四万十川の観光地である土佐大正に到着し、観光客が数十人降りた。

 このあたりから、川とそれに沿って走っている道路はウネウネと曲がりだすのだが、予土線は橋とトンネル(短いもの)でまっすぐにつきぬけており、四万十川が右へいったり左へいったりするので、美しい四万十川を充分に満喫できるように思う。

 10時47分、江川崎に着いた。ここは仁井田川と吉野川の合流地点であり、ここから川は四万十川(渡川)となって中村に流れている。これから先の予土線は吉野川沿いを走っていくので、川の流れが逆になって四万十川が見える。

 時々車窓から『予土線の廃止反対! 予土線を残そう』という看板を見かけた。確かに、乗客は宇和島付近を除いて観光客が多かった。今この線に廃止計画があるのかどうか現状は分からないが、四万十川を見れる唯一の鉄道ということで残して欲しいものである。

 11時53分、長い下り勾配を走って宇和島に到着した。

宇和島駅

特急で3度目の高松

 昼食を駅前のレストランでとり、12時50分発の特急「宇和海4号」松山行きに 乗った。去年のダイヤ改正の話をしたときに言い忘れたが、この特急「宇和海」もそ の改正によって急行『うわじま』から格上げされた特急である。時刻表によるとこの 特急は5両編成のはずなのだが、客が多い時期のためか自由席を1両増結して6両編成で運行していた。車内はほぼ満席だった。さすが愛媛県、みかんの段々畑が目につくようになってきた。

 13時53分、内子に到着。内子一向井原間は5年程前に新しく開通した区間で、予讃綴の五郎一向井原間が災害に弱い為、新しい幹線としてこの短絡線が開通した。新谷一内子間はいまでも内子線という別線扱いになっている。これが加算(換算)運賃をとられない『幹線』ならよかったのだが、内子線は『地方交通線』の為、加算(換算)運賃をとる区間になっており、全ての特急が内子線経由になっている現在、この加算運賃をとるやり方はふに落ちない部分がある。と、始めは思っていたが、短絡線が開通したことによって向井原一伊予大洲間の営業キロが、海側ルートの41㎞から34.7kmと短くなり、しかも加算運賃のとる区間は短い為、加算運賃を営業キロ数に換算すると僅か0.5㎞をキロ数に加算した運賃になり、34.7kmと0.5kmとを足した35.2kmが運賃のうえでの換算キロ数になるが、これも海側ルートの41kmよりも短くなることになる。したがって、結果的には運賃が安くなるわけであり(区間によっては変わらないが)、加算運賃(換算キロ)も僅かなため「目くじらを立てる程の事でもない」と思うようになった。内子緑の別線(地方交通線)扱いは何か他にもいろいろな事情があるのだろうか。もちろん海側ルートは特急こそ通らなくなったが、列車は走っている。

 内子をでると新線のため揺れが少なく、トンネルで山の中をぶち抜いて走っていった。

 14時22分、伊予市を出発した。あと10分程で終点松山であるが、ここでのりかえる特急『しおかぜ』の席が取れるか心配になった。高松まで行く我々は松山で16分接続の特急「しおかぜ14号」岡山行に乗りかえるのだが、この「宇和海」の自由席は4両で「しおかぜ」の自由席は3両。満席のこのひとたちが殆ど乗り換えると仮定すると、どう考えても溢れる人がでてくる。しかも、松山で座れないと終点まで座れないような気がしていた。そこで、我々は早々と降りる準備をしてデッキで待つことにした。

 14時31分、松山に到着。お目当ての「しおかぜ14号」は同じホーム向かい側に止まっていた。振り子式新型ディーゼルカーであった。しかも、運よく目の前が自由席だったので、悠々席を確保することができた。そして、車内はすぐ満席になり、14時47分、振り子式ディーゼルカーは動いた。

松山駅

 16時44分、特急連絡接続がある多度津に到着。我々は高松に向かうので中村(土讃緑方面)から来た特急「しまんと8号」高松行きに乗り換えた。高知(土讃緑)方面からの客も岡山行き「しおかぜ」にのりかえて、高松行きが先に発車した。

 その後すぐに振り子式新型特急とすれちがったが、実はあの特急、一昨日多度津から高知に向かう時に乗った「南風9号」中村行きの列車であり、今日これから四国を離れる私にとっては懐かしく感じられた。

 30分程たった17時14分、3度目の高松に到着した。