奥野ビルと博品館のエレベータ(銀座)【東京考察#186】

The elevator at the Okuno building and Hakuhinkan building ( Ginza )


奥野ビル

博品館


銀座にある風変わりな珍しいエレベータを2つ紹介する.
奥野ビル
 銀座を歩いていると昭和初期に建てられた歴史遺産と言えるような建物に出くわすことが多い.最近では耐震性の問題から次々と取り壊されていて寂しい限りであるが,今後も次第に姿を消していくビルディングであろう.奥野ビルも,そんな昭和初期である1932(昭和7)年に建てられた鉄筋コンクリート6階建ての(7階は増築している)建築物で,現在でも画廊などが入居している貴重なビルである.かつては「銀座アパートメント」と呼ばれていたように当初はアパートとして機能していたが,風呂なしで手狭の部屋は次第に居住スペースから画廊などのスペースとして使われるようになったらしい.近くに「銀座湯」の銭湯があるので,風呂なしは問題にはならないと思うが,近代化の進んだ現代では住みづらい空間となっていったのだろう.
そんな奥野ビルは,建物そのものも貴重な存在であるが,その中にある「エレベータ」も貴重なのである.なんと扉を手動で開け閉めするエレベータなのである.(運転そのものは自動式) 古い建物の見られる銀座では,このように扉を手動で扱うエレベータは他でもいくつか見られるようであるが,これも近代文明の先進的な歴史を刻んできた銀座ならではの歴史的遺産であるように感じる.画廊は外部の人が入れる施設なので,画廊見学がてらふらりと立ち寄って建物とエレベータを眺めてみるとよい.節度とマナーを守って見学しましょう.

奥野ビル
時代を感じさせる外観である.
スクラッチタイルで覆われた外壁が特徴だとか.

1階の入口
 
これが噂のエレベータ
手をかける引き戸の凹凸が扉についている
この扉は当初からのものではないらしい
階数表示器が羅針盤の形をしていて矢印で示す(渋い!)
かつては全階止まっていたようだが,現在は2~5階は停車しない

とりあえず籠のある6階まで階段で上ってみた
 

 
なんとも「ゾクゾク」してしまう空間である

 
6階フロアー
フロアー側の扉はガラスとなっていて,
エレベータの籠内の明かりが見れる

エレベータを呼ぶときは
「呼」と書かれた下のボタンを押すと
籠(かご)がやってくる
 
左側が籠側の扉(ホール側から撮影)
右側がホール側の扉(籠の中から撮影)
つまり,エレベータにのるためには2枚の扉を手で開けなければならない
(けっこう重たい扉である.女性にはつらいと思う)
閉まるときは自然に閉まるようになっている

こんな感じで2枚の扉を手で開けるエレベータ

操作ボタンは上から「7」「1」電灯スイッチがあって「6」となっている

運転中のエレベータ
博品館
 博品館は明治23年に銀座で創業した歴史ある玩具店である.昭和53年に劇場を備えた8階建ての現在のビルが建てられて,日本一大きい玩具店としてギネスブックにも掲載されているように,1階から4階までは「おもちゃ」で埋め尽くされているビルである.そんな博品館の中央部には1~4階までを結んでいる1台のエレベータが存在しているが,これこそが珍しい「油圧式エレベータ」なのである.大抵のエレベータは籠(かご)と錘(おもり)とをロープで結んで,それをモータで動かしているものがほとんどであるが,油圧式エレベータは籠の下に棒がつけられていて,油の圧力でシリンダー(棒)を上げたり下げたりして籠を動かす方式である.最上部に機械室を設けなくて良い反面,高速で運転できないことや高層階への運転には不向きといった欠点もある.
博品館にある油圧式エレベータの素晴らしいところは,日本一の玩具屋を目指すためにあえてこの珍しい油圧式を採用し,さらに外側からもエレベータの仕組みが判るようにと,ガラス張りのシースルーとしてその周りにらせん階段を設けているという点にある.籠の中にも説明書きが貼られているので,エレベータに興味のある方は是非とも訪れておきたい名所である.

博品館トイパーク

油圧式エレベータ(1階)
外見からは普通のエレベータと変わらない

「このエレベータの”におい”のもとはなに!?」
というタイトルで油圧式エレベータの説明が貼ってある
籠に乗り込むと油のにおいが「ぷ~ん」と鼻をつく
小さい子供が「くしゃ~い」と叫んでいた.

これが籠を支えているシリンダー(棒)
油圧で支えている
今となっては手間のかかるエレベータなのである

籠の下部
シリンダが籠に直結されている
 
子供達で大賑わい
アジア各国からの観光客も多い