会津若松から米沢街道の宿場町・熊倉(くまぐら)を経由して喜多方まで走る路線バスがある.現在は平日は1日6本,土休日は1日4本が運行されているが,2020(令和2)年9月をもって一部廃止される見通しとなった.
詳しくは,会津若松市のホームページに「第2期会津若松市地域公共交通再編実施計画(案)」が掲載されているのだが,今から四十数年前,会津若松市内の中心部にある幼稚園に行くとき,毎日乗っていた思い出の路線である.会津若松市側は平日の朝夕のみ一部区間で運行されるようだが,もう乗ることができなくなってしまう前に,最後にもう一度乗ってみることにした.
会津若松から喜多方までは2つの系統の路線バスがある.ひとつは,国道121号を走って行く塩川経由・喜多方行き.会津アピオや会津医療センター,旧塩川町内など幹線道路を走っていく路線で,本数も1~2時間に1本程度走っている.
一方,熊倉経由・喜多方行きは本数が少なく,国道121号より東側に走る県道を走って行く.途中,狭い道路となる集落内を走ったりとローカルバスの醍醐味を存分に味わえる路線となっている.
会津若松駅を出発すると,バスは北に向かい,国道49号に出てJR磐越西線の線路を跨線橋で渡って,すぐに県道北山会津若松線へと右折する.
乗客は5~6名程度.六丁を過ぎて広田郵便局を過ぎると,沢目で右に曲がって,最初の狭い道を走っていく.
広田駅付近で直角に左に曲がって広田駅前停留所.駅は後ろ側.
バス停に「大和田鍛冶屋前」とか「田斗床屋前」などといった名前が残っているが,今はなくなっている(面影もない).昔の在りし日の思い出を残してくれているのが停留所の名前であった.
会津盆地の田園風景と猫魔ヶ岳の姿が広がる.この風景は昔も今も変わっていない.
日橋川を渡ると,会津若松市から喜多方市に入る.塩川別停留所を出ると再び狭い道となり,江添集落をゆっくりと通り過ぎる.しばらく旧道を走る狭路のルートを走っていく.
熊倉になると,米沢街道の宿場町の面影が残る町並みとなる.
塀ギリギリの直角の交差点を左折していく.
そして,蔵が見えてくると,終点喜多方駅となる.
2020(令和2)年10月からは,会津若松~熊倉~喜多方間の路線が会津若松市側と喜多方市側との2つに分割されて,市境を走らないことになる予定.
喜多方市側は「塩川・熊倉線」として,塩川を会津若松などへの接続点とすることで対応予定としている.
一方,会津若松市側は「河東・会津医療センター線」として,
①「会津医療センタ~広田駅~六丁~北柳原~会津若松駅~米代二丁目(かつての米代バスセンター)」
②「島~大和田~広田駅~六丁~北柳原~若松駅~米代二丁目」の2系統を走らせる予定.ただし運行本数が朝夕のみの2本程度になるとか.
2020(令和2)年10月より実施予定とのこと
では,それ以外(朝夕以外)の時間(旧河東町北部のエリア)はどうなるか.地元の広田タクシーが「河東地域内交通」として完全予約制でワゴンタイプのデマンド交通「みなづる号」で対応予定としている.
このデマンド交通は,集落ごとに決められた待合乗降場所があって,そこから目的地乗降場所(広田駅やリオンドール河東店,会津医療センターなど)への移動が大人500円でできるのであるが,平日のみの運行であることと,会津若松市の中心部へは乗り入れしていない点が,これまでの路線バスと大きく異なる.
集落内に細かく待合乗降場所が決められている点は便利であるが,会津若松市の中心部へ行くには,目的地乗降場所となる広田駅からJR磐越西線もしくは湊方面からくる路線バス,河東地域コミュニティバス「みなづる号」(こちらも「みなづる号」なので,デマンド交通の「みなづる号」と混同してしまうが,コミュニティバスは会津若松中心部から国道49号を経由し,広田中心部を走って会津村まで走るバス)に乗り換える必要がでてくる.
いっそのこと,会津若松市中心部からやってくるコミュニティバス「みなづる号」を,会津村から一方向の循環ルートとして,東長原駅を経由して,空也原→茶臼森→冬木沢→北高野→柏原→田斗→島→大和田→熊ノ堂→金道などの集落を通って,広田駅(またはリオンドール河東店)を循環ルートの合流点として,会津若松中心部へ戻るようにすれば,若松中心部と旧河東町北部とを乗り換えなしで直接結ぶことができるのではないかと思うのだが・・・.
これも,時代の流れである.
そして2020(令和2)年9月7日に,会津バスのホームページに以下のとおり掲載された.