テオティワカン[オラ!メキシコシティ!#5]

アメリカ大陸最大の都市遺跡  【Teotihuacan】

テオティワカンはメキシコシティーの北に50km程行ったところにある古代都市遺跡である.紀元前2世紀頃に出現し,7世紀半ばに突然と姿を消した.何故都市が滅んだのか,いまだに謎は解けておらず,大災害が起こったのか,他民族との争いがあったのか,経済交易ルートが絶たれたからなのか,真相は不明である.ピラミッドに登って遺跡を眺めると,遥か15世紀も前に,人口20万人程度の大都市があったのか,と感慨にふけることができる.

“路線バス”でテオティワカンへ

北方面バスターミナル(治安があまり良くない)

テオティワカンは世界的な観光遺跡なので,さまざまな現地発のツアーが用意されていて,英語・スペイン語はもちろんのこと,旅行代理店によっては日本語ツアーも用意されている.僕もせっかくの機会なので詳しいガイドが聞ける「日本語ツアー」に参加しようと思っていたら,日曜日で旅行代理店が休みであり連絡をとることができなかった.そこで,路線バスでテオティワカンに行くことに決めた.
日本語ツアーに参加するとなると,N$1000(≒10,000円)程度の費用が必要であるが,路線バスでは片道N$21(=210円)と入場料N$37(=370円)だけで済んでしまう.移動は面倒くさいのであるが,後から考えると,街の風景をゆっくり眺めることができ,経済的にも安く済んだ,路線バスの方で正解だったと思った.

テオティワカン行きのバスは,北方面バスターミナル(Terminal Central Autobuses del Norte)から発車する.メトロを降りてバスターミナルの建物の中を左に進むと,一番端っこに「Teotihuacan ‘Los Piramides’」と書かれたカウンターがあり,バスの席が指定された予約チケットを手渡される.行きは席指定のようである.物乞いのおじさんに声をかけられたり,おつりを受け取るときに子供に腕を触られてお金を取られそうになったりしたが,バスターミナルはどこも大抵治安が悪い.バス乗り場に急いで足を運び,バスの発車を待った.テオティワカン行きは15分おきに出ているという.

バスのチケット(帰りは運転手に運賃を支払って席自由)

発車間際になると,お菓子を入れた小さな袋を次々と膝の上に落としていく人がいた.よくみるとN$5と書かれている.しばらくするとその袋を回収しに回るのだが,返さないでボケッとしているとお金をちょうだい,と言われる.その物売りが降りたところで,バスは発車した.
車内は冷房は入っていない2等バスのようである.窓ガラスはすべてスモークが入っていて,日差しを遮るようになっている.そのため,外からバスの車内の人を見ることができない.
さすがはメキシコ,途中の停留所からギターを抱えた二人組の男性が乗ってきた.薄々感じていたが,バスが発車すると車内のど真ん中に立って,やっぱりギターを弾き歌を歌い始めた.聞きたくない人にとっては大迷惑なライブ演奏であるが,冷房の効かない車内でメキシコのローカルなラテンミュージックを生で聴けるとは,何とも最高の贅沢ではないか!! 歌が終わると演奏者は自分でギターを叩いて,さも拍手が起こっているように音を出すのであるが,パラパラと拍手があっただけで,チップを上げる人はいなかった.非常にうまい人の場合だと,チップを上げる人がいるという.
サボテンのちらほら過ぎ去る高速道路を,約1時間程走ると”テオティワカン”のピラミッド入口に到着する.

太陽のピラミッド

太陽のピラミッド.高さ65m.222m×225m.世界でも第3位の大きさであるという.このピラミッドは頂上に神殿を建てて宗教儀礼のために建てられたものであると言われている.

空気の薄いメキシコシティー,平地に比べて酸素の量が2/3程度となるため,ちょっと運動すると息が切れる.248段の急な階段を上ってピラミッドの頂上に登ると,広大な都市遺跡群を一望することができる.

頂上では,世界各国から来た観光客が,景色に見入っている.背後に見えるのが月のピラミッド.

月のピラミッド

死者の道の突きあたりに,高さ46m,140m×150mの「月のピラミッド」が存在する.この上から眺めたテオティワカンは,死者の道を中心にして遺跡を一望できるので,非常にバランスの良い景色を眺めることができる.

ちょっと点景

メキシコにはサボテンがよく似合う.

民俗芸能をやっていた.

サボテンとピラミッド