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オープンバスでパリ観光[アムステルダム&ブリュッセル+パリの旅行記#7]

ブリュッセルからパリまでは,再び超特急タリスに乗って移動し,パリには午前11時頃到着した.実は,今夜19時発の飛行機で日本に出発する予定となっており,パリでの滞在時間はあまりなかった.16時頃にはシャルルドゴール空港に向かわなければならなかった.実質5時間程度である.

時間がないときに,街中をコンパクトに見て回りたいときは,東京で言う「はとバス」などの定期観光バス(ツアーバス)に参加すると手っ取り早い.世界各国から観光客がやってくる大都市・パリ,ブリュッセルの時のように停留所を設けて観光用のオープン式の循環バスを走らせており,ノード駅構内にあるインフォメーションセンターのツアーデスクでチケットを購入し,オープンバスでパリ市内を観光することにした.

インフォメーションセンター

パリ・ノード駅構内にあるインフォメーションデスク.オープンツアーバスの1日乗車券を購入した.現金精算はできず,カードのみの決済となっている.後日,カード会社よりユーロを日本円に換算した値段で請求がきた.右側がチケットとなっており,最初に乗車するときにドライバーがボールペンで日付を記入し,ガイド用のイヤホンを渡される.1日1人25ユーロ.

オープンツアーバスのルートマップ

さすがは世界各国から観光客の訪問する大都市パリのオープンツアーバスは大変便利で使い勝手がよい.荷物をノード駅のコインロッカーに預けたのと,シャルルドゴール空港へ向かう電車はノード駅から出発するので,いずれにせよ同じ駅に戻ってこなければならない.ツアーバスは4ルートの循環路線(一方向運行)で構成されており,ノード駅は右上の☆印のところなので,まずは黄色いルートのバスに乗って中心部まで行く.主要な観光地を巡るのは緑色のルートなので,緑色のルートに乗り換えてぐるりと1周し,再び黄色のバスに乗って同じ駅に戻ってくるのである.だいたい4時間で戻ってこれる予定である.バスは15分から30分間隔で走っており,何処でも自由に乗り降りできる.

統一されたスカイライン

パリの建物のスカイラインは統一されている.1860~70年にかけてオスマン知事により,パリは大規模な都市計画による改造が行われた.広幅員による直線道路,広場の整備など,現在の都市の基盤が造られたのである.

緑の街路樹が美しい

緑の街路樹がまた美しいパリ市内であった.

セーヌ川

世界各国からの観光客で賑わっているセーヌ川畔.

コンコルド広場と凱旋門

天気も良くてオープンバスから眺めるパリ市内はすがすがしかった.シャンゼリゼ通りを走ると正面に凱旋門が見えてきた.

シャンゼリゼ通りを360度

エッフェル塔

どこかのCMで見たことのあるフレーム.これからバスは,エッフェル塔の真下を通っていく.

快走するバス

モンマルトルへ向け,狭い坂道を登っていく.

モンマルトル

黄色いルートはモンマルトルを走る.怪しいネオンもちらほら見られるモンマルトル.夜は賑やかになるという.画家が多く住み込んでいた下町的な地域である.

電車でシャルルドゴール空港へ

再びノード駅に戻ってきて,シャルルドゴール空港へ向かうRERのB線に乗った.ノード駅から空港まで8ユーロで約30分である.なお,シャルルドゴール空港はとても広く,隣のターミナルがだいぶ離れているので,自分の搭乗する航空会社がどのターミナルのどのゲートから出発するのか,調べてから向かう方がよい.同じターミナル番号でもさらにA・B・Cで分けられていて,バスで移動しなければならないことがあるので注意.

訪欧・ヨーロッパ2[パリ編]

パリ編

パリも街並みはきれい.建物のラインが整っている

スカイラインが一直線で気持ちいい

ベルサイユ宮殿
ただ,ただ,建物に圧巻していた.

宮殿内部.装飾品がすごい

ベルサイユ宮殿の建物から庭を眺める中央に道路があって,左右対称になっているところなど,本物である.

エッフェル塔.TVCMでおなじみのショット

ルーブル美術館
三角形のガラス屋根の建物は,この時に出来たばかりであった.

パリ地下鉄
「メトロ」の愛称で親しまれている.

オペラ座
日本で言う「歌舞伎座」であろうか.

リヨン駅
TGV(フランス新幹線)でスイスジュネーブに向かった.

リヨン駅構内
ヨーロッパの終着駅は線路の配置が櫛形になっていて,それを大きな屋根で覆っており,いかにも終着ターミナルといった感じになっている.
日本では上野駅の低いホームが一番雰囲気が似ているだろうか.昔のオレンジのTGVが小さく映っている.

Metro[パリ地下鉄の話]

FRANCE:PARIS (Metro)

パリはフランスの首都であり、芸術の都・フアッショナプルな都として、経済は低迷しているにもかかわらず、現在でも全世界から一目置かれている都市である。

パリ市だけの人口は200万人弱、面積は105km2である。世田谷区の約2倍、山手線の内側程の広さしかない。しかし、現在は郊外にまで都市化が広がっており、そのパリ大都市圏全体では、人口約800万人、面積1000km2となる。ここに住む人々が、いわゆる「パリジャン、パリジェンヌ」と呼ばれている人々である。

パリ市内は20区に分けられており、セーヌ川右岸の中心部を1区として右回りの渦巻き状に2・3・4区・・・・・・と付けられている。1860年の市街拡大(オスマンの大改造)時に、エスカルゴを参考にして付け直したと言われている。そんな小さいバリ市内を縦横無尽に走っているのが地下鉄「メトロ」である。

ショセダンダン駅
オペラ駅

やはりパリでも、ホテルに戻るときに地下鉄を利用した。オペラ座から一本北の道路にあるショセ・ダンタン(Chaussee d’ Antin)駅から、ホテル近くのボルト・ド・モントルイユ(Porte de Montreuil)駅までの9号線である。

メトロの入口には大抵、黄色い大きな「M」の文字がポールで掲げられている。マクドナルドの「m」のような感じである。階段を降りると薄暗い地下鉄の雰囲気となった。何処からともなく路上生活者の匂いが漂ってくる。

もともと「メトロ」という言葉には「地下」という意味はなかった。首都という意味だけであった。ところが、ロンドンの地下鉄がメトロポリタン鉄道という名で地下鉄を開通させたため、他のヨーロッパ諸国も地下鉄開通時にはこれを真似て、略してメトロと名付けるようになった。これがそのまま「地下」として定着してしまったとのことである。

パリの地下鉄には自動券売機がないところが多く、切符はギ・ソシェ(Guichet)と呼ばれる窓口で買うようになる。パリ市内は均一料金で6フラン(FFr)であった。1FFr=\20なので日本円では120円ということになる。ちなみにフランスの補助貨幣はサンチーム(C)であり、1FFr=100Cである。

普通の切符の他にも力ルネ(Camet)と呼ばれる10枚綴りの回数券がある。値段が約半額になるので、何度もメトロに乗る場合はカルネの方が経済的である。

窓口の横には手書きと思われる料金表が、はがき程の大きさの紙に書かれて貼ってあり、一番上の6FFrと書いてあるところを指差して、「This one.This one.シルヴブレ! 」
と言って切符を買った。シルヴプレ(s’il vous plait)とは英語のプリース(please)と同じで、『お願いします、ください』という意味である。

窓口のおねえさんは愛想がなく、隣の従業員と喋りながらガムを噛みながらの対応である。声さえ出さない。フランスではどこの窓口でもこのような態度であった。日本の習慣に慣れていると、『なんという態度だ! サービスが悪い! 』ということになるのだが、フランスではこれが普通なのである。逆に、極端に気を使うことの方が珍しいのかも知れない。他人は他人、自分は自分という、徹底した個人主義のフランスをかいま見たような気がした。

自動改札を通り、階段をおりた。自動改札では駅員の目を盗み、切符も買わずに飛び越えていく若者がいた。

メトロでは各路線に名前が付いておらず、番号と色で路線が区別されている。そして、案内表示板にはその電車の終点駅名だけが表示されている。だから、号線名と終点駅名さえ覚えれば目的の地下鉄に容易に乗ることができる。

9号線、メリー・ド・モントルイユ(Mairie de Montreuil)行きの電車がやってきた。車体には黒のスプレーで落書きがしてある。乗客がかなり降りて車内はすいた。椅子は向かい合って座るクロスシートとなっており、出入り口の横には折りたたみ式の補肋椅子がついていた。

すし詰めのラッシュのある東京ではこのような座席の配置は考えられないように思う。ロンドンのチューブとは違い、天井は高かった。つい最近までメトロには、昔の名残で1等車・2等車が存在していたが、それぞれの車内設備は全く同じであった。現在は廃止され、等級は無くなっている。

ドアからトンネルの内部をのぞくと、ところどころ、トンネル壁面にまで落書きが書かれている。夜中に侵入して落書きをするのだろう。しかし、メトロでは電流の流れる架線が線路脇にあるので、感電したりしないのだろうかと思う。もっとも夜は流れていないのかもしれないが。また、どこから地下に侵入するのかも疑問である。落書きに関して(特に車両)、パリ市は莫大な費用をかけて追放運動をしている。

車内放送や駅案内放送などは一切ない。目的のポルト・ド・モントルイユ駅までは14駅あり、見過ごしていると乗り越してしまう。駅に着くたびに駅名を確認した。

経済の低迷や高い失業率が続く現在のフランス・バリのメトロは、ロンドンのチューブよりも治安は良くない。場所によってはすりやかっぱらいが多く、特に旅行者が狙われると聞く。それでも、昼間に乗るには安全だし、単独でなければまず身の危険を感じる犯罪には出くわさない。市交通局の方でも観光都市であることから、多数の係員を導入して警戒に当たり、長い通路の角には鏡を設置して待ち伏せを防止するなど、犯罪防止に力を入れている。その甲斐あって、年々犯罪件数-特にすりやかっぱらいは減ってきている。

メトロでは扉は自動では開かない。このような表現には語弊があるかも知れない。自動で開くのであるが、扉にホックが掛かっており、最初に降りる(乗る)人がそのホックのレバーを回すとドアが自動で開くしくみになっている。また、最近の電車ではボタン式のものもあり、その場合青いボタンを押せば開く。閉まるときは全自動で閉まる。

ポルト・ド・モントルイユ駅に着いた。ホームはアーチ型の断面であり、壁には所々欠け落ちている白いタイルが並んでいた。

出口は自動改札ではなく、回転式の鉄格子を通り抜けて外に出る。反対には回らないし、外から中には入れないようになっている。また、反対側からは開かないガラス扉になっている出口もある。切符は手元に残り、記念に持ち帰った。

パリの地下鉄も奇麗とは言い難いが、駅によっては改装工事がなされているという。パリジャンにとってメトロは、必要不可欠な乗り物である。

落書きのされた電車
メトロの切符