「銚子・犬吠埼へ」カテゴリーアーカイブ

醤油の街・銚子に.犬吠埼は真っ白な灯台だった.

ローカル線に乗って[銚子・犬吠埼へ#1]

郡山(福島県)から銚子・犬吠埼に行くのに,最も時間が早いのは,東北新幹線に乗って東京駅で銚子行きの特急に乗り換えて向かうのが一番速い.しかし,直線距離で見たときに一番近いのは,水郡線に乗って水戸で乗り換え,鹿島臨海鉄道に乗って鹿島神宮で乗り換え,そこからローカルバスに乗って銚子駅まで向かうルートである.
のんびり沿線の風景を味わいながら,ローカル線に乗って銚子・犬吠埼へと向かった.

旅のスタートとなる
郡山駅の水郡線ホーム3番線

(旅行年月:2010年5月)


■水郡線でのんびりゆったり(郡山→水戸)■

郡山駅の水郡線ホームは,2・4番線ホームを東京寄りに歩いていった端っこの方にある.今は3番線となっているが,昔は「3番線」と言わず「水郡ホーム」となっていたが,2007年から旧1番線が廃止されて欠番になっていたものを直したことにより,「3」の数字が与えられるようになった.

新型のディーゼル車両で,車内は広々と快適なローカル線である.郡山9:18発の水戸行きで,水戸到着は12:39着,およそ3時間20分も乗車することになる.

水郡線の車窓は,のどかな田園風景が延々と続く.車窓の変化が乏しいので,まさに「のんびり・ゆったりローカル線の旅」となる.

矢祭山の近くになると,久慈川に沿って走る区間となり,車窓に変化がある.
久慈川は,八溝山の北側(福島県側)を源流として,福島県の東白川郡と茨城県を流れて太平洋に注ぐ河川である.

矢祭山駅の裏手には,矢祭山という山がある.標高は383m,南側一帯は矢祭山公園で,サクラやツツジ,紅葉の名所となっている.水郡線の沿線風景で,唯一観光地らしい車窓の広がるところで,ある意味「ハイライトの区間」といってもいい.ちなみに,もったいない図書館や住基ネットに繋がないといったことで話題となった「矢祭町」がここである.

福島県から茨城県に入り,お昼が近づいてきたので,郡山駅で買っておいた駅弁を食べることにした.弁当は「福島まるごと辨當」.お弁当で味わう美味しい福島フルコースと書いてあって,表紙には三春駒や唐人凧が描かれている.メニューもきっちり書かれていて,「郡山のあさか舞こしひかりの鮭親子めし」「郡山の鯉の甘酢あん」「伊達鶏のてりやき」「いわきの目光唐揚げ」「天栄村のお漬物」「福豆屋自家製牛糸こん煮」「山の幸 細竹・栗・山菜」となっている.うまかった.

■鹿島臨海鉄道に乗り換えて(水戸→鹿島神宮)■

水戸からは,真っ赤な車体の鹿島臨海鉄道に乗り換えて,鹿島神宮を目指した.地図を眺めると,太平洋沿岸を走っているのであるが,車窓から海が一望できる区間はほとんどなく,海が車内から見られないのはちょっと残念であった.

しかし,今日は鹿島サッカースタジアムでアントラーズの試合があるようで,車内は赤い帽子や,赤いシャツを着たサポーター達で満席であった.

鹿島臨海鉄道はJR線ではないため,郡山駅で切符を購入できなかったが,水戸駅の発車ホームがJR線と同じであったため,車内で精算するように駅員さんから言われた.車掌さんから乗り越し精算を行うと,昔懐かしの「ぱちん,ぱちん」と紙にパンチで穴を開ける乗り越し精算切符が手渡され,ノスタルジックな気分になった.

 

試合開催日は,臨時駅となる鹿島サッカースタジアム駅に停車し,ほとんどの乗客がここで降りていった.

■ローカルバスで銚子へ(鹿島神宮→銚子)■

鹿島神宮駅から銚子へ行くには,JR線鹿島線と成田線に乗って行く方法がある.しかし地図を見てみると,利根川と鹿島臨海工業地帯に沿って国道が走っており,ここを走るバスがあるのではないかと時刻表を調べてみたら,関東鉄道のバスがありました!
土休日は1日6本で,利根川経由と海岸経由とある.次のバスは14:35発の海岸経由銚子行き,バスで向かうことにした.

バスは,いたって普通の路線バス.これで銚子まで1時間40分かかる.料金は1,360円.

鹿島臨海工業地帯の中を走っていく.かなり荒涼とした風景.

「海岸経由」となっていたので海の風景を期待したが,こちらも海沿いは走らず,ちょっと内陸の道を走っていく.

そして,利根川の最も河口寄りにある「銚子大橋」を渡ると,茨城県から千葉県となり,終点銚子駅となる.

16:15 銚子駅到着

銚子漁港・醤油の街[銚子・犬吠埼へ#2]

■銚子漁港■

銚子電鉄に乗って観音駅から歩いて10分程度のところに銚子漁港(第一卸売市場)がある.日本有数の水揚量を誇る港で,2006年は全国1位の約26万トンであった.

「夕陽と銚子漁港」
思わず写真を撮った.夕陽がとてもきれい.

■近くの海鮮店で「大はまぐり」を食べる■

銚子では,はまぐりも多くとれるとのことで,名物となっているが,お店ではまぐりを注文してみると,これがでかい!イメージしていたものとは違っていた.写真で見ると,あまり大きさが実感できないかもしれが,右上のレモンと比較してみても大きいのである.(皿も大きかった)銚子に来たら,是非大はまぐりを.

やっぱり刺身の盛り合わせは外せないでしょう! ネタも新鮮で美味しい.

カレイを揚げたものに,キノコと大根おろしのみぞれをかけた料理.これもうまかった.

机の調味料のところには「醤油」が2種類置かれていた.「ヤマサ醤油」と「ヒゲタ醤油」.銚子は,醤油の街としても有名なのであった.

■醤油の街・銚子(ヒゲタとヤマサ)■

銚子沖は,暖流と寒流がぶつかり合うので,夏涼しく,冬暖かく,湿度が高いという気候となっており,これが,醤油を醸造する際のこうじ菌などの活動には最適とのことで,江戸時代の初期にヒゲタやヤマサといった醤油造りが始められるようになった.さらに利根川の水運を利用して江戸へ運ぶのにもよい場所であった.
銚子駅のベンチにも,ヒゲタしょうゆ,ヤマサしょうゆの記載があるものが多くある.

銚子駅から西に向かって道路を歩き,南側に線路を渡って歩いて15分ほどで「ヒゲタ醤油」となる.1616(元和2)年創業.事前に電話連絡を入れれば(直前でもOK)無料で中を見学することができる.ただし,土日祝日は,映画上映と史料館のみの見学であるため,フレスコ画を見ることはできない.
通常よりもお得な値段で醤油を買うこともできる.「たまごかけご飯にどうぞ」「銚子ヒゲタ刺身醤油」「ヒゲタ醤油」の3本セットを買って帰った.

今度は,銚子駅から東側に歩いて10分ほど(銚子電鉄仲ノ町駅からも近い)で「ヤマサ醤油」となる.1645(正保2)年創業.こちらも事前に電話連絡を入れれば無料で工場見学をすることができるが,工場休業日は映画上映のみとなる.
ちなみに,うすくち醤油とは,塩の量が少ないという意味ではなく,色が薄いという意味で,塩の量はむしろ多いことを初めて知った.

ヤマサ醤油で販売していた「しょうゆソフトクリーム」.見た目,モカソフトクリームのようだが,味は間違いなく醤油味,甘しょっぱい感じで美味しかった.ヤマサの方が,見学者が多かった.

工場見学の最大の楽しみが記念品.醤油工場では,PRビデオ(上映映画)を見終えた見学客に対し,子供も含めて一人ひとつの醤油がプレゼントされた.
ヒゲタとヤマサの2カ所回れば,2本GETすることができる.(写真左がヒゲタの本膳,右がヤマサ醤油の記念品)

銚子電鉄・ぬれ煎餅[銚子・犬吠埼へ#3]

■銚子電鉄■

銚子電鉄は,関東地方の最東端に位置するローカル私鉄で,銚子~外川間の6.4kmを約20分で結んでおり,1923(大正12)年に開業している鉄道である.
しかし,2006(平成18)年に当時の社長の約1億円にのぼる横領が発覚し,モータリゼーションによる乗客減もあって,倒産寸前の状態になった.さらに,国土交通省の監査による,線路や踏切などへの改善命令も出され,車両の法廷検査の費用も必要となり,社員の給料さえも全額払えない状況になった.
そこで,副業として販売していた「ぬれ煎餅」を売ることにしたが,当初は売り上げが思うように伸びず,資金不払いが発生してしまう状況に陥っていたときに,インターネットへ「ぬれ煎餅を買ってください.電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」と書き込みを行ったところ,大きな反響を呼び,テレビなどでも取り上げられて,爆発的な売り上げを記録した.それにより電車の点検費用をまかなうことができ,線路などの施設の更新を行うことができ,今年夏には,車両の更新(中古ではあるが)も行うことができ,廃止を免れて銚子の街をのんびり走り続けているという鉄道なのである.

銚子駅改札口
片道切符は自動券売機で購入できるが,往復乗車券や1日乗車券は,銚子電鉄の車掌からしか購入できないため,そのまま駅員に断って改札内に入ってホーム(2番線の先)に行くことができる.

JR線の2番線ホーム先にある銚子電鉄のホームのりば.Suicaのタッチする機械が置かれている.

洋風の駅舎になっているが....塗装が剥げていて,銚子電鉄らしい.

銚子電鉄1000形
どこかで見たことがある車両.そうです,昔の地下鉄銀座線の車両を利用している.

車内で購入した片道切符.

車内にはゲーム「桃太郎電鉄」((株)ハドソン)から応援している広告が貼られている.車両のラッピングもこのとおり.

車内の壁の非常用補助ランプ,地下鉄銀座線は駅に到着する前に車内のライトが消えていたので,そのときに「ピカ」と光っていたのを思い出す.

キャベツ畑の中を走っていく.

■ぬれ煎餅・犬吠駅■

ぬれ煎餅は,犬吠駅舎の中で販売している.ただ,ぬれ煎餅はここでしか買えないわけではなく,街中のコンビニでも販売している.

目の前で実演して販売している.
1日乗車券を購入していれば,1枚無料でもらうことができる.

ぱりっとしておらず,しっとりしているぬれ煎餅.私としてはこちらの方が好みの食感である.

ぬれ煎餅には3種類の味があって,濃い口の「普通味」,うす口の「うすむらさき味」,甘口味の「甘じょうゆ」とある.

犬吠駅
壁のタイルは剥がれ落ち,廃車となった電車はかろうじて展示館として利用されているようだが,会社の経営状態が如実に表れているように感じる.

 

廃車を利用した「銚子の観光案内」

■昭和初期の電車■

この電車(700形),1942(昭和17)年に製造された電車で,いまだに現役で働いているのには驚かされる.しかし,この電車も老朽化によって国土交通省から業務改善命令がでており,2010(平成22)年7月に,代替車両の譲渡をうけてついに引退となった.2010年のゴールデンウィークにはかろうじて廃車前に最後の運行を行っていた.

床が木の電車.昔の電車やバスはみんな床が木だった.

この電車は,1949(昭和24)年製造の800形.すでに車体は錆だらけ,ボロボロなのである.

車内はこんな感じ.このレトロな車両を見に銚子電鉄まで訪れる観光客も多い.もちろん冷房は付いていない.

外川駅に置かれている700形.
既に引退しているが,駅の奥の引き込み線に置きっぱなしである.

同じく,外川駅に置かれているユ100形で,国鉄貨車を改造して造られたオープン式のトロッコ客車.当時NHKで放送されていた澪つくしから命名された「澪つくし号」という名前が付いている.ただし,現在は安全面の都合により休車となっている.

外川・犬吠埼[銚子・犬吠埼へ#4]

■外川の街■

銚子電鉄終点となる外川駅.外川は坂道の街としても知られ,1958(万治)年から6年あまりの歳月をかけて造られたとのこと.外川(とかわ)駅は,NHKの朝の連続テレビ小説「澪つくし」のロケ地となっていたところで,昭和時代の雰囲気を残すローカル線の駅舎である.

駅舎内の出札口も木造で,レトロな雰囲気を残している.

外川は坂の街として,坂道からは海が見え,道路は碁盤の目状になっている.石畳の坂道が残っている.

魚問屋が外川ミニ郷土資料館をオープンさせており,中にはいると,漁業の歴史などが写真と共に展示されている.入場無料で気軽に立ち寄ることができる.

豆腐屋さんの建物の壁面.「フ」が10個で・・・.

■犬吠埼■

犬吠駅から歩いて数分,海が見えてきた!

犬吠埼湧水.こんなに海の近くでわき水が湧いているのはなんか不思議である.

左に犬吠埼灯台が見えてきた.

犬吠埼灯台は,1874(明治7)年に完成した灯台で,高さ約27m,約35kmまで光が届く灯台である.現在は,船舶に気象を提供したり,人工衛星(GPS)の誤差情報を提供したりしているといい,真っ白な灯台が海を見守っている.

犬吠埼灯台の麓から見た海岸線.