上46 南千住汐入⇔上野松坂屋[都バスで東京発見]

上野から浅草をじっくり堪能して汐入まで結ぶ下町路線

上46 南千住汐入⇔上野松坂屋(経由)南千住駅入口・浅草寿町 南千住営業所

路線keyword:汐入の都営住宅,山谷界隈,浅草,浅草公園六区,狭路


かつては「迷路のまち」といわれるほと毛細血管のように細く曲がった道に木造住宅が密集する地域だったところが汐入(しおいり)である。しかし、近年の再開発によって高層住宅が建ち並ぶ団地に大変身した。そこへのアクセス路線である。
上野松坂屋前を出発すると、上野広小路のアブアブ、しのばずの池などの繁華街を走り抜け、JR線のガードをくぐって上野駅正面玄関を左に見て、浅草へ向け走って浅草通りをいく。仏壇仏具の問屋街が現れて下谷、合羽橋道具街が左手にちょこっと見えて菊屋橋、そして浅草寿町となる。
国際通りへ左折し、雷門前の商店街、昭和初期の大繁華街・浅草公園六区、花やしき遊園地を見て、言問通りへ右折する。するとすぐに2車線の狭い道路に左折し、商店街の中を走っていく。浅草のずいのずいまで堪能できる。江戸時代からの遊郭があった吉原の入口だったところが「吉原大門」で、これはバス停名にその名が残っている。路線バスの楽しみは、このように地域の歴史的な背景が停留所名に残っているところにある。大通りに出て、左手に黄色いシェル石油のスタンド前に1本だけ立っている「見返りの柳」の木を見ると、バスは右に曲がって山谷界隈に入っていく。見返りの柳とは吉原で遊んだ男どもが、帰るときにもう一度後ろを振り返って、余韻を名残惜しんでいくところから付けられた名称であるという。
山谷は、日本最大の日雇い労働者の街で、1泊2000円台の簡易宿泊所が軒を連ねている。道路横断者が後を絶えない。歩道にしゃがみ込み酒を飲んでいる者、日陰で寝っ転がっている者、日本の高度経済成長の国土建設を真に支えてきた人々である。泪橋(なみだばし)で明治通りと交差し、南千住駅となる。
JR線のガードをくぐらず右折すると、雰囲気ががらっと変わる。ガス会社のタンクが現れ、貨物のヤードが見えてJR貨物の隅田川駅となる。都立航空高専前を過ぎると、目の前に都営住宅の高層住宅群が忽然と現れ、バスはその中をしばらく走り、終点南千住汐入の操車場に到着する。かつては、ただただ空き地の広がる原っぱと、迷路のような昔ながらの下町の街並みが広がっていたところであり、あたりの様相は様変わりした。