鬼怒川温泉駅からDL大樹に乗車
鬼怒川温泉駅の自動改札を出て,駅舎の外に出ると,すぐそこに転車台があって,これから乗車するディーゼル機関車が回転していた.
SLは1日3往復しているので,1日3回,駅前広場の転車台でショーが行われている.今日は,ディーゼル機関車の代車であったが,それでも機関車に手を振る親子が沢山いた.
「イトだ!」
息子が叫んだ.
東日本大震災の直後,ガソリンの供給が不足し,新潟から磐越西線経由で郡山まで,タンクローリーで石油を運んでいた.そのときの実話が「はしれディーゼルきかんしゃデーデ(発行:童心社)」という絵本になっていて,活躍した機関車がDD51-852(デーデ),DD51-759(ゴク),そして目の前にいるDE10(イト)の3台の機関車だった.イトは会津若松から猪苗代にかけて続く急な上り坂を走れなくなったとき,後ろから助けにきてくれた頼もしい機関車なのであった.DE10という形式が同じであって,機関車自体が同じものではないのだが,イトと同じ機関車が見られたので息子も喜んでいたのである.
なるほど,SLが運行中止でも,DLを見られる違った楽しみ方があったことに気づかされた.
ホーム手前にある記念撮影のボード.
転車台からディーゼル機関車が戻ってきて連結する直前の様子.記念撮影をする大人,連結するところを見る子供たちでホームは賑わっている.
入り口にはアテンダントが立っていて,案内をしている.客車は14系客車と呼ばれるもので,JR四国から譲渡されたものだという.僕にとっては若い頃に旅行したときに使った夜行急行「はまなす」のイメージである.
車内にて
昔ながらの昭和の雰囲気.今はデザインに凝った車両が多い中,とても懐かしい車内だった.
リクライニングシートも,体重を後ろにかけている間は背もたれが倒れているが,体を起こしてしまうと「バタン」と前に上がって戻ってしまう.
「あれ,壊れているの?」とみんな言っていた.これも懐かしい.
ポケットにはSL大樹の案内などが入っている.
しばらくするとアテンダントがやってきて,切符の拝見と乗車記念のプレゼントがある.
「本日はSLの故障により申し訳ございません」
改札の駅員からアテンダント,車内放送と,この言葉は10回以上聞いたと思う.
記念乗車証.
上下に傾けるとSLの車輪がグルグル回転するのみならず,後ろの風景や機関士も動くリアルな動画が楽しめる面白い仕掛けがしてあって,息子も興味津々.乗る列車によって絵柄が違うらしい.
続けてワゴンサービス.といってもお土産やグッズの販売がメイン.
「写真の撮影は無料ですのでいかがですか?」
ポラロイドカメラを持って声をかけられた.息子がすかさず,
「やりたーい」
あとから出来上がった写真を見せて,購入するならお金ちょうだい!,という商売だとは思ったが,きっぱり断って買わなければいいかと思い撮影を了承.
「はい大樹!ぱちり」
・ ・ ・
そして出来上がった写真を持ってきて
「いかがでしょうか.1枚1,100円です」
た,た,たか~い! しかし息子は,
「ほし~い~!」
結局買うはめに.....
車窓に見える自動車教習所の看板.「列車の運転は教えられません」 面白い!SLにすればもっと面白い!
あと少しで終点,下今市駅到着.アテンダントの方も山の紹介をしたり,SLの話題を話したりと,気さくにフレンドリーに対応をしていた.
途中,沿線の住民が手を振っていた.あるお宅では常連で,毎回手を振ってくれるとのことで,沿線を上げておもてなしをしていることを感じる.SLが故障しても手を振ってくれる姿を見ると,なんだかジーンとしてしまう.
ところで,このチラシは日光市観光協会と東武グループで作成しているもの.取組みは素晴らしいが,田植えをする風景は昭和前期といったイメージ.現在の鬼怒川にて感じられるイメージとはちょっとかけ離れているような気もしないではない.
SL展示館(下今市駅)
下今市駅に到着.跨線橋から見たSL機関庫(左奥).手前に転車台(転車台広場)がある.今日は「東武鉄道創立120周年記念SL感謝フェア」のイベントをやっており賑やかであった,が肝心のSLが故障であり....
SL展示館が併設されている.下今市駅の構内にあるので乗車券もしくは入場券がないと見ることができないが,特別な入館料はとられず観覧できる.
SL復活プロジェクトの軌跡や運転室のひみつ,蒸気機関車のしくみ,鉄道ジオラマなどがあり,休憩室も供えられている.
機関庫で修理中のSL大樹.復活はいつの日か・・・・