アピントン[南アフリカ旅行記#4]

Pretoria —  Upington
<プレトリア→アピントン

プレトリアからアピントンへ ~インターケープの長距離バス

ひたすら砂漠の乾燥地帯を走る

今日はアピントンまでの移動日である。プレトリアを午前8時30分定刻に出発、アピントンまでは11時間の道のりである。南アの道路はかなりよく整備されており、ドライバーも非常によくスピードを出す。N12からR507を通りN14へ。ひたすら乾燥地帯の中をバスは走っていく。

車内は快適で、コーヒーや茶菓のサービスがあり、休憩時間も1回あたり30分ほど取るので、バーガーショップで軽食をとることもできる。ビデオ上映もある。南アのコーヒーは日本で言う「コーヒー牛乳」のようなものであり、ミルクがたっぷり入っておりノーシュガーでも甘い。現地の人は、その甘いコーヒーにさらに黒砂糖を入れて飲んでおり、あまーいコーヒーが嗜好されているのかと思う。

乗客は半分が黒人、半分が白人であった。南アの黒人にとっては料金が高い(プレトリア・アピントン片道190ランド=約4,500円)ため、黒人も身なりのいい人が乗っている。安い交通機関はミニバスである。南アの長距離バス会社は、グレイハウンド、インターケープ、トランスラックスの3社があるが、どのバス会社もさほどサービスに差はなく、深夜・早朝に治安の悪い地区のターミナルに到着する便(特にヨハネスブルグ)を利用しなければ、そんなに安全について神経質になる乗り物ではない。女性車掌が2人、ドライバーが2人乗車していた。

アピントンのダウンタウン

アピントンは人口6万人の田舎町である。日本人観光客はほとんど立ち寄ることのない内陸部である。これといって見るところもなく、オレンジ川のほとりに街が形成されている。
南アを知るために、観光客が行かない小さな田舎町に行ってみたかった。南ア全土で治安が悪いのか。
どの国も田舎はのんびりとしている。このアピントンも同じであった。すれ違う人々の顔も硬直しておらず、じろじろにらまれることもない。何処から来たのかと聞かれ、ようこそ南アフリカへと笑顔が返ってきたこともあった。プレトリアやヨハネスブルグでよく設置してあった塀の上の有刺鉄線も、アピントンではほとんど見かけることがなかった。本屋に入って地図を買おうとうろうろしていると、警備員が僕の隣にやってきて、
「May I help you?」
と、逆に警戒されることもあった。

オレンジ川 Orange River

乾燥地帯に悠々と流れるオレンジ川。川のほとりに寝転んで、旅の疲れを癒すことができた。このホッとしたリラックスできる感覚は、久しぶりに経験する。
アピントンは人間らしさを取り戻せるいい街である。

鉄条網

それでも,アパルトヘイト時代の名残なのか、ときどき街の中で鉄条網を見かける。黒人と白人の区域を区切っていたときの境界線なのだろうか。それとも、治安の悪い南アなので、立ち入り禁止の場所には鉄条網が張ってあるのか。