臨海副都心を貫く近未来都市を快走する路線
海01 品川駅東口⇔門前仲町(経由)有明テニスの森・東京テレポート駅 深川・品川営業所
路線keyword:臨海副都心,東京港(海底)トンネル,首都高速湾岸線,お台場,有明地区
今話題のスポット・臨海副都心を横断する乗りごたえ充分な路線である。非日常的な空間を体験したくなったら、是非ともこの路線に乗ってみることをお薦めする。
門前仲町を出発すると越中島になり、左に曲がって東京商船大学前を通る。高層住宅の多い塩浜を過ぎて、枝川で右折し、豊洲で左折して、東雲となり、運河に囲まれた埋立地の四角い土地の上をバスは次々と渡っていく。運河を渡るたびにバスはかまぼこ型になっている橋を登っては降りるということを繰り返す。運送会社等の倉庫群が多くなってきた。
東雲で右折すると、いよいよ臨海副都心となる。副都心とは、都心部への業務機能の集中を分散させて多心型都市構造への転換を図るために設けられた地区のことで、池袋、新宿、渋谷、大崎、上野・浅草、錦糸町・亀戸、そしてこの臨海副都心の7つが副都心として指定されている。東京都市博覧会の中止決定以降、景気の低迷も影響して、臨海副都心開発の見直しについての議論が行われ、就業人口10万6千人、居住人口6万3千人の街から、7万人が働き、4万人が生活する街を開発することに変更された。開発目標年度は21世紀初頭を目指して国際化・情報化に対応した機能を整備する計画である。
さらに細かく臨海副都心を探ってみると、有明北地区、有明南地区、台場地区、青海地区の4つの地区に分かれており、それぞれテーマを設定して開発が行われている。ちなみに臨海副都心全体のテーマは「国際化、情報化に対応した未来型の副都心」となっている。左手奥に東京ビッグサイト(東京国際展示場)の逆三角形の建物が遠望でき、新交通システムの水色の高架橋が見えて、バスは有明北地区にさしかかった。
有明北地区の開発テーマは「うるおいゆたかな生活のまち」であり、中高層住宅やテニスの森などの公園・スポーツ施設を整備して人々が快適に生活できるような街を目指している。48面のテニスコートを有する東京都有明テニスの森、東洋一の規模を持つドーム型センターコートである有明コロシアムを右手に眺めながら、東へと進む。
左手に最新の設備を誇るクリーンセンター(下水処理場、清掃工場)を見て、首都高速のジャンクションをくぐり、のぞみ橋で運河を渡ると台場地区となる。開発テーマは「くらしを楽しむにぎわいのまち」であり、有明北地区同様生活に重点を置いた街づくりを展開しており、レインボーブリッジがベランダから眺められるという高層住宅や、人工浜が広がるお台場海浜公園、デックス東京等の商業施設やホテル日航東京等のビルが建ち並んでいる。フジテレビ本社も来年(1997年)の春に移転する予定であり、ビルの上部に丸い銀色の球体をはめ込んだ奇抜なデザインの建物が既に完成している。臨海副都心ではあちこちで奇抜なデザインの建築物を見ることができる。右手にはレインボーブリッジを背景にしたお台場海浜公園か見える。
6万トンの豪華客船クイーンエリザベス号と同じ形・大きさにした建物であるという船の科学館(1974年開館)を右手に見て、国際的な情報の受発信の機能を有する東京テレポートの中心的施設であるテレコムセンター前となる。首都高速湾岸線より南側は青海地区であり、開発テーマは「世界とむすぶ情報のまち」となっている。業務施設を中心とする開発地区である。いたるところ空地が目立ちち、その所々に高層ビルが建っており、空地の中には街路樹だけが植えられた歩道の道筋がはっきりと見て取れる、不思議な空間が広がっている。滅多に見れる光景ではない。青海地区をぐるりと周回して東京臨海高速鉄道東京テレポート駅のロータリーに入る。バス本数の半数程が東京テレポート駅での折返し便となる。
東京テレポート駅を出ると、バスは13号地ランプより首都高速湾岸線に入り、東京港トンネル(13号地海底トンネル)を快走し、大井埠頭へと渡る。大井ランプの料金所を通って高速を降りる。高速を走る都バスはこの路線のみである。他の都バスと同じ料金であるから、何だか得した気分になる。
ここからは品98系統と同じルートを走る。大井・品川火力発電所前を通り、天王洲アイルのビル群を見て、終点品川駅東口に到着する。