同潤会・青山アパート【東京考察#5】

The DOJUNKAI apartment at Aoyama

 

 同潤会は、現在の都市基盤整備公団の前身であり、関東大震災後における大量の住宅供給を目的として、義捐金から出資して造られた外郭団体であった。この同潤会は1930年から40年にかけて住宅供給計画・住宅団地計画の上で、技術的に重要な特筆すべき点があげられる。それは、鉄筋コンクリート造のアパートを大量に取り入れた点である。この青山アパートは昭和2年に建設され、実に70年以上に渡って建ち続けている貴重な鉄筋コンクリート造りのアパートなのである。

2002年10月末,安藤忠雄氏の設計による地上6階,地下6階建てのガラス張りビルに建て替えられることが公表され,2003年春までには取り壊されることが発表された.一部保存も検討したが構造的に問題があるとのことで,造りを復元することで現在のアパートの面影を残すこととなった.またひとつ,鉄筋コンクリートの歴史的なアパートメントが消えることになる.築70年余り,日本の建物は70年程度で終わりのようである.



表参道のケヤキ並木にとけこむ同潤会アパート


おしゃれなギャラリーに改装している。レトロな建物が実によくマッチしている


階段を照らす電球が何ともいえない


この同潤会アパートに突きつけられている問題が、老朽化による建て替えである。テレビのドキュメンタリーなどにもたびたび登場しているアパートであり、今後の集合住宅の老朽化問題を考える上で、先駆的な事例として注目されているところである。そんな中、この青山アパートもついに取り壊しが決定され、このアパートを見られる日もそう長くはなくなった。


  
階段と入口。  手すりが木製であり、電球が裸である。


1階の表札。「第拾号館、壱階、貳階」と書かれている。



建物の裏側。改造の跡が年月の経過を物語る。


四角い穴は、ダストシュートの排出口。建築年は昭和2年である。