京島(木造住宅密集市街地)【東京考察#3】

The wooden housing high density city area at Kyojima


車も通れない道に木造住宅が建ち並ぶ
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 京島(きょうじま)、あまり聞き慣れない地名かも知れない。向島(むこうじま)界隈といったほうがピンとくるだろう。隅田川と荒川に挟まれた地域であり、昔ながらの東京を色濃く残す下町である。その向島界隈の中でも、良くも悪くも情緒ある風情を残している地区が京島なのである。車も通れない道路に木造の住宅がぎっしり建ち並ぶ。隣の家の話し声が聞こえてきそうな、プライバシーなど関係ない程の密集した街並みである。この街を歩いていると、ふと昔にタイムスリップしたような気分になる。そして、不思議なことに、歩いていて心がほっとするのは、人間の尺度=ヒューマンスケールで建物や道路が形成されているからに違いない。



これも公道である。人とすれ違うのがやっと。


洗濯物を干すスペースは道路である。


迷路のような狭路


建て替えのための空き地も多くなってきた


これも道路
マンホールがある(つまり下水道などの公共施設が埋設されている公道)


「究極の狭路」といったところか.


井戸があった


洗濯物は道路に・・・

 


都市計画的(「役所の立場で」と言った方がいい)には非常に問題のある街である。木造住宅がほとんどであり、大地震や大火事などが発生したときにおける防災の上で好ましくない。今の法律では4m以上の道路に面していないと家が建てられないようになっているため、この地区では住宅を建て替えるためには、セットバック(敷地を道路として提供し、建物のファサードをひっこめること)を行わないといけない(下の写真で道路が広くなっているところがセットバックを行ったところ。左の家は新築である)。そうなると、ただでさえ狭い敷地の京島、家を建て替えたくても建て替えることができず、一向に居住環境が向上しない。そこで、京島まちづくり公社によって木造住宅密集地域の整備事業により、よりよい居住環境を造るためのまちづくりが行われている。そのため、空き地がぽつりぽつりと存在している。下町の風情ある街並みは、都市計画的には不合格であり、次第に姿を消していく。



セットバックで新築部分だけ広くなった道路


キラキラ橘商店街


京島2丁目、3丁目が密集の度合いがすごい。街を歩くときはキラキラ橘商店街を中心として、脇の路地裏を歩いていくといい。この地域の密集のすごさが実感できる。電車では京成押上線の京成曳舟駅、東武亀戸線の小村井駅、都バスでは日暮里駅・亀戸駅間を走る路線で橘通り停留所で下車。迷路のような街なので地図をお忘れなく…。