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阿佐ヶ谷住宅【東京考察#281】

The Asagaya house

阿佐ヶ谷住宅
(傾斜屋根タイプのテラスハウス)


 阿佐ヶ谷住宅は,日本住宅公団が開発を行った分譲集合住宅であり,1958(昭和33)年に完成した.中層(3~4階)の住宅118戸と,低層2階建てのテラスハウスが232戸存在しているが,テラスハウスは公団が設計したヨウカン型の陸屋根タイプと,前川國男建築設計事務所が設計した傾斜屋根タイプの2種類がある.日本住宅公団が設立された当初の団地開発として,大変貴重な存在である.
この阿佐ヶ谷住宅では,築50年が経過して老朽化が激しいことなどにより,現在は全350戸中100戸程度しか入居しておらず,しかもその入居者のほとんどが70歳以上の高齢者であることなどから,1994(平成6)年から再開発委員会を発足させ,2006(平成18)年には組合が発足し,建て替え再開発の計画が進められている.一部6階建ての再開発組合側の案に対して,6階建て案に対する近隣住民からの反対意見などがあるが,再開発工事に向けて都市計画審議会が進められ,2009(平成21)年9月の解体工事,2012(平成24)年の完成を予定している.
 
傾斜屋根タイプのテラスハウス
 
陸屋根タイプのテラスハウス
 
中層の住宅

入居者がいないところはコンパネが立てられている

地盤沈下&老朽化の激しさが伺える

右の部分は庭に増築された部屋であろうと思われるが,
地盤沈下と思われる影響により,傾き始めている.

真ん中にある公園.ここも私有地だとか.

住宅案内図

近隣住民が立てている反対の旗

給水塔が見守っている

阿佐ヶ谷パールセンター【東京考察#280】

Asagaya Pearl center (The shopping district)

阿佐ヶ谷パールセンター

 


 阿佐ヶ谷パールセンターは,1922(大正11)年に阿佐ヶ谷駅が開通したときに,それまで円光院へのお詣りの狭い道(道幅は二間だったが,正味一間(1.8m)だった)を三間通りに拡げたときにできたものである.毎年8月7日を中心に行われる七夕祭りは,1954(昭和29)年以来毎年実施され,仙台と平塚の七夕祭りと並んで,日本三大七夕祭りの一つに数えられている.

直線ではなく,右左に緩やかにカーブしながら続いている商店街

阿佐ヶ谷駅方面を望む
 
「白いたいやき」 タピオカ粉が入っているモチモチとしたたいやきだった.

ミートソースパスタ専門店 ミート屋
食べてみたかった.(昼食直後に発見!)

東急世田谷線【東京考察#255】

Tokyu Setagaya line


東急世田谷線山下駅


 東急世田谷線は,三軒茶屋駅と下高井戸駅とを結ぶ全長5.0kmの路面電車である.路面電車といっても道路の上を走ってはおらず専用軌道となっており,環七通りと交差するときに信号機て停車することが,唯一路面電車の面影を感じるところである.都内で残った路面電車として,都電荒川線と共に話題にのぼる路線で,2両編成の電車がコトコトと走る姿は,どこかホッとする情景となっている.現在は世田谷線と呼んでいるが,かつて渋谷から二子玉川園までを玉川通りの上を走って結んでいた玉電(玉川線)の支線的な役割として存在していたもので,当時は下高井戸線と呼ばれていた.その後,玉電は1969(昭和44)年に廃止されたが,この世田谷線だけが廃止されずに残ったもので,かつての玉電の面影を残すものとなっている.車体は新しいものに一新され,ヨーロッパの路面電車を連想させる.
世田谷ボロ市が開催されるときは多くの乗客で賑わい,普段も車内は混雑していることが多く,地元住民に愛されているヒューマンスケールな世田谷線である.
 
三軒茶屋駅はキャロットタワーの隣にある
この駅には改札口があるが,基本的には乗車時に車内で運賃を払う.
大人140円均一.

三軒茶屋駅ホーム
再開発によって綺麗で近代的な空間となっている

宮の坂駅
階段を上らずにホームに上がれて,
踏切がすぐ脇にあるといった雰囲気がいい.
  
世田谷線にはカラフルな車両が走っている.
小さな子供連れの家族が電車に乗ると,
次の電車が何色かを当てっこするゲームが繰り広げられる.

現在の新型車両が導入される前は,
玉電の面影を残す,この色の世田谷線が走っていた.

宿91 駒沢陸橋-新宿駅西口[都バスで東京発見]

新宿から東高円寺を通り、環七で駒沢までを結ぶ路線

宿91 駒沢陸橋⇔新宿駅西口(経由)新代田駅・東高円寺駅 杉並営業所

路線keyword:新宿副都心,青梅街道,環七通り,駒沢


新宿から東急王国の世田谷区駒沢までの都バスがあったのか、と思わせるような路線である。かつては大森駅まで走っていたのであるが、環七の道路渋滞が激しいためか、区間が短縮された。
新宿から高円寺陸橋までは青梅街道を王78系統と同じルートで走る。
高円寺陸橋で左に曲がり、あとはひたすら環七通りを南下するのみである。
丸の内線の方南町駅を過ぎ、甲州街道や首都高速と交差し、代田橋を過ぎて新代田駅となる。ここに東急バスの操車場があり、大森駅行きのバスが出ている。小田急線の下をくぐり、都内で2カ所だけになったチンチン電車・東急世田谷線と交差して若林となる。上馬、野沢と過ぎ、駒沢通りとの交差点に駒沢陸橋があり終点となる。青梅街道と環七通りしか走らないので、車窓の変化に乏しい路線である。

王78 王子駅⇔新宿駅西口[都バスで東京発見]

ただひたすらに環七通りを走る東京23区内都営バス最長距離の路線

王78 王子駅⇔新宿駅西口(経由)豊玉北・高円寺駅入口 杉並・練馬営業所

路線keyword:環七通り(環状七号線),青梅街道,各種ファミリーレストラン,単調退屈


東京都23区(特別区)内の都営バスで最長距離(18.3km)を走る路線である。新宿と王子を結んでいるのだが、高円寺・豊玉北・東十条と環七通りをぐるりと迂回して結ぶルートとなっており、乗り通す乗客はまずいない。しかも、走る道路が青梅街道・環七通り・北本通りといった幹線道路であり、沿線風景も変化に乏しく、さらに交通量の多さ・渋滞の激しさでは悪評高き環七通りをひたすら走るとなれば、よほどの物好きでない限り本路線を乗り通す乗客はいないだろう。王子駅・新宿駅間の所要時間は約1時間となっているが、道路渋滞によっては2時間もかかってしまうことがある。
新宿駅西口路線バスターミナルを出発すると、左手に新宿エルタワー、裾の広がる安田火災海上ビル、新宿野村ビルの超高層ビル群が現れ、青梅街道を高円寺まで西に向けて走る。中野坂上で山手通りと交差し、相撲の二子山部屋が近くにある鍋屋横丁商店街を抜け、営団地下鉄丸ノ内線東高円寺駅を過ぎると、環七通り・高円寺陸橋となって、バスは右に曲がる。順調に走ればここまでおよそ20分である。
環七通りに突入である。東京には1号から8号までの環状道路が造られている。1号線から順に、内堀通り・外堀通り・外苑東通り・不忍通り・明治通り・山手通り・環七通り・環八通りとなっている。この中でも特に「かんなな」と呼ばれる環状七号線(環七通り)は東京湾部分を除く全区間において環状線が整備されており、東京都心部を通過したい自動車(例えば横浜から大宮に行きたい車)にとっては環状道路を使うことにより、都心部の密集した市街地を通ることなく短距離・短時間で通過することができる。そのためにトラック等の交通量も多くなるのであり、環状道路は交通政策上も重要な道路である。環七通りと郊外へ延びる放射状の幹線道路との交差点には、陸橋が設けられており、信号待ち等によって環状線を直進する車のスピードが落ちないように設計されている。
一般的に路線バスの停留所はそのような陸橋の下の側道部分に置かれていることが多く、陸橋の上を路線バスが走っていく姿はあまり見かけないが、本系統は陸橋下の停留所には停車せず、陸橋の上をバスが走っていく。
野方にて西武新宿線の下をくぐり、豊玉北を過ぎたあたりで西武池袋線の陸橋を越える。羽沢で西武有楽町線新桜台駅前となる。
沿線の風景はこれといった特徴があるわけでもなく、街路樹と車・トラックのひしめく道路が続くだけで退屈極まりないが、環七沿線に多く見られるある施設をつぶさに眺めてみると結構暇つぶしになる。それは、ファミリーレストランとガソリンスタンドである。特にファミリーレストランは、「デニーズ」や「ロイヤルホスト」等といったメジャーな店舗から、聞いたこともないマイナーな店舗まで、多種多様な店が次々と後ろへ過ぎ去っていく。おそらく、東京で営業しているファミリーレストラン企業のほとんどの店舗を環七沿線で見られるのではないかと思うほど、ありとあらゆる店が現れていく。
常盤台で東武東上線の下をくぐると、環七通りは右にカーブするが、その左手に赤提灯を並べた立ち食いラーメン屋「土佐っこラーメン」が現れる。夜になると赤提灯には明かりがついて、路上に車を止めてラーメンをすする客の姿が絶えない。この地点が先頭になって渋滞が起こることもあり、道路には、「夜間の違法駐車取締りを強化します-板橋警察署」と書かれた看板が立っている。
大和町にて高速道路(上側)と中山道(下側)と交差する。大和町交差点は大気汚染度が都内ワーストワンという記録を持つ交通量の激しい場所であり、都営地下鉄三田線板橋本町駅前でもある。
バスはさらに環七通りを東へ進む。JR埼京線を越え、なだらかな下り坂を走りながらJR京浜東北線と東北・上越新幹線と交差し、隅田川手前に位置する北区神谷町の宮堀陸橋にてようやく環七通りから北本通りへと右折する。そして、王子五・四・三・二丁目と王子のオンパレードとなって終点王子駅前に到着する。

渋66 阿佐ヶ谷駅-渋谷駅[都バスで東京発見]

渋谷駅と阿佐ヶ谷駅を幹線道路で結ぶ路線

渋66 阿佐ヶ谷駅⇔渋谷駅(経由)新高円寺・代田橋 杉並営業所

路線keyword:渋谷の雑踏と狭路,井の頭通り,甲州街道,阿佐ヶ谷のけやき並木


渋谷駅から阿佐ヶ谷駅までを、山手通り、甲州街道、環七通り、青梅街道を走って結んでいるが、見せ場は渋谷駅を出発してすぐやってくる。一時期、廃止の話が持ち上がったが、地元からの強い反対があって現在に至っている。京王バスと共同運行しているが、渋谷周辺の渋滞を考えると、廃止したい気持ちもわからないではない。
阿佐ヶ谷行きは、東急バスや京王バスの発車する西口からとなる。銀座線のガードをくぐり、北口ハチ公前広場を右に見て、スクランブル交差点を通過する。周りを見ると、人、人、人。さすがは渋谷である。しかし、この路線はこれだけで驚いていてはいけない。西武百貨店にて左に曲がり、一方通行の井の頭通りへと入っていく。非常に狭い通りで、ましてや渋谷一の繁華街・センター街が近くにあるため、道路には溢れんばかりの人の山となっている。人、人、人、人、人、人、人。そんな中を、大型バスがゆっくりと進んでいく。高い位置から、渋谷の雑踏を眺めることができる。よくこんなところを走って行くな、といった感じである。日本一の若者文化の発信地・渋谷をどっぷり感じることができるであろう。東急ハンズ横を過ぎ、宇田川町となり、NHK放送センタースタジオパークの裏を走って、代々木公園を右手に見ると、左折して富ヶ谷となる。休日はここまでで30分である。
小田急線代々木八幡駅となり、山手通りを北へ走っていく。首都高速環状線のための用地買収が進んでいるようで、一部工事を行っている区間もある。初台にて甲州街道へ左折し、東京オペラシティー、新東京国立劇場を右手に見て、西に走っていく。ここから先は、幹線道路の単調な車窓が続く。代田橋(大原)にて環七通りへ右折し、ますます単調な車窓に。高円寺陸橋で青梅街道へ左折し、杉並区役所で右へと曲がる。
ここから阿佐ヶ谷駅までは立派なけやき並木が続く道路で、昼間でも日陰となるほど道路を覆うほどの枝振りとなっている。まもなく終点阿佐ヶ谷駅となる。