乗り継ぎ専用の自動改札機【東京考察#73】

The automatic ticket gate only for changes


乗り継ぎ専用の自動改札機(オレンジ色)

 


 ちょっとパズルのような話しなので,頭を柔らかくして読んでください.

電車の運賃というのはキロ制となっているので,同じ会社であれば乗り換えても通しの切符で乗ることが出来る.つまり,同じ会社であれば乗換駅でも改札を通らないで済むのである.ところが,営団地下鉄の場合,駅によっては離れているときがあって,構造上改札口を通らないと地下鉄を乗り換えることができないことがある.そんなときは,改札を出ても再び切符が必要となるので,検札をするだけで切符が再び出てくる自動改札機を通らなければならない.その改札機が「乗り継ぎ専用の自動改札機」なのである.

乗り継ぎ専用自動改札機は,オレンジ色に塗られており,この改札機を通ると切符が再びでてくる仕組みになっている.これ以外の改札機を通ると,乗り継ぎしないで当駅で下車するものとして切符が出てこないで回収される.

この「乗り継ぎ専用自動改札機」には賢い仕組みが取り入れられている.乗り継ぐ予定のなかった乗客が誤ってこの改札機を通ると,扉が開いて切符も回収されずに出てくるが,乗客は下車するつもりなので切符をとらないでそのまま通り抜けていく.すると,出ていた切符は5秒くらいくると自動的に引っ込んで回収される仕組みになっている.こうすれば,次の乗客がきても問題なく通常の待ちの状態に戻る.さて,ここで問題となるのが,乗客が混雑していて連続で乗り継ぎ専用自動改札機に進入したときである.

通過する人すべてが乗り継ぎ専用自動改札機の仕組みを知っていて,切符をとってくれれば問題は起こらない.次々とスムーズに乗客をさばいてくれる.
ところが,1番目の乗客が下車するつもりで切符をとらないで通過してしまったあとに,乗り継ぎ予定の2番目の乗客が切符をいれて自動改札機を通過すると,まだ前の人の切符が出ている状況で,その前の人の切符をとってしまうという現象が起こってしまうのである.さらに3番目の乗客も乗り継ぎ予定だと2番目の人の切符をとってしまい,4番目の人は3番目の人の切符をとってしまい・・・と.つまり前の人の切符を次々と取ってしまうのである.さらに問題なのは,本人たちには前の人の切符を取ってしまったという自覚がないから,そのまま乗換路線へとすたすたと去ってしまい,目的駅で降りるときに,「あれ,切符が入れ替わっている.目的地まで切符を買ったのに,この切符じゃ精算しなければならない」という事態に陥るのである.
「おやっ」とした顔をして乗客たちが立ち止まり,井戸端会議をしたあとに首を傾げながら切符をとっていったり,改札機の仕組みを知っていて気が付いた人は前の人の切符を取って捨ててから,自分の切符を取り直す人もいる.しかし,遠くまでの高い切符を買ったのに,取り違えて乗換駅までの切符にすり替わっていた時は,最悪のシナリオである.


パターン 1


この人は乗り継ぎ目的ではないので,
出てきた切符を取らないで通過した.
この切符を後ろの人が取ってしまうと,切符がすり替わる.


パターン 2


この人は前の人の切符を取って確認し,
自分の切符を入れて通過しようとしている.


パターン 3


この人は下車するつもりだったのに,
切符が再び出てきたので驚いている様子.
このあと,とりあえず切符をとって,首をかしげた.


地下鉄にご乗車の際,乗り換えの時はオレンジ色の「乗り継ぎ専用改札機」を,下車するときは普通の改札機を通りましょう.賢い使い方としては,途中下車ができるということですが,乗り継ぎ時間に制限がありますのでご注意を.