「■福島県の文化」カテゴリーアーカイブ

BANCHAN WORLD の福島県内をテーマにしたカテゴリーです.

うつくしま・みずウォーク2012やないづ大会(柳津町)【会津考察#30】

The Utsukushima water walk 2012 in Yanaizu town


うつくしま・みずウォーク
赤べこの郷・やないづ大会

 


 うつくしま・みずウオーク2012柳津大会は,柳津町・福島民友新聞社・読売新聞社・福島中央テレビ・福島県ウオーキング協会による実行委員会の主催で2012(平成24)年6月2日に開催されたウオーキング大会である.日本市民スポーツ連盟認定大会,健やか爽やかウオーク日本1800認定大会となっている.2012年に開催される「みずウオーク大会」は,この柳津大会のほかに福島大会・三春大会・西郷大会・いわき大会の5大会が開催されており,柳津大会はその一連の大会の一つである.
今年は15kmコースが復活し,7kmコースと10kmコースとあわせ,3コースの設定となっている.私は手軽な10kmコースに参加し,赤べこ発祥の地・虚空蔵尊のある町として知られる柳津町を満喫した.天候にも恵まれ,主催者発表によると約2000人の参加であった.
 
スタートは道の駅「会津柳津」
国道252号は,参加者の車で大渋滞していた!
受付でエントリーを済ませる.

さすが,赤べこ発祥の地.
ステージ脇には巨大な赤べこがあった.

靴や帽子を忘れても,即売会が行われているので安心.
 
約2000人の参加.大勢の人で賑わった.

スタート直後,只見川の堤に向かって歩く.

只見川に沿って歩く.

田んぼの中も歩く.
 
東北電力の柳津発電所(柳津ダム)
発電開始は1953(昭和28)年8月.最大出力75000キロワット.

福島県は元気です!

婦人会によるサービス.

只見川と棚田.
赤い橋は国道252号の瑞光寺橋.
 
正面は虚空蔵尊(左写真)
只見川に沿った遊歩道を歩く(右写真)
 
そうめんの差し入れ(月見亭).

ちょっと登りが続く.

お坊さん(一休さん?)がお出迎え.
 
JR只見線の線路が見えてくると会津柳津駅.
  
会津柳津駅では,柳津名物の粟まんじゅうが振る舞われた.

粟まんじゅうの老舗菓子店では行列ができている.
 
階段を登ると,福満虚空藏菩薩圓藏寺(虚空蔵尊).

虚空蔵尊(こくぞうそん)からの眺め.

酒屋さんではビールも.

ゴール到着.
 
ゴールでは,やないづ汁が振る舞われ,
抽選会で景品があたることもある.
 
配布されたもの.
【公共交通案内】
●会津若松駅から JR只見線 会津柳津駅下車 大会当日は無料送迎バスあり

石部桜(会津五桜)【会津考察#29】

Ishibe cherry tree (One of five Aizu cherry trees)


石部桜

 


 石部桜(いしべざくら)は,会津五桜にあげられる桜(エドヒガンザクラ)の銘木であり,中世会津の領主・葦名氏の重臣であった石部治部大輔の庭にあった樹であると言い伝えらており,「石部桜」の名もここからきている.幹が8本に分かれている大樹で,樹齢は約600年,田んぼの中にぽつんと1本立っている姿はとても様になっている.東日本大震災から1年が経過した5月のゴールデンウィーク,今年は寒い日が続いて桜の開花がゴールデンウィークまで大幅にずれ込み,天候にも恵まれて多くの観光客が訪れていた.通常の見頃は4月中旬から下旬となっている.
来年の2013(平成25)年に放送されるNHK大河ドラマ「八重の桜」のオープニングの桜の木に,この石部桜が使われるらしく(今は,使われています!),テレビクルーが田んぼの中で撮影を行っていた.放映が楽しみな「八重の桜」である.田んぼの中に1本ぽつんと立つ石部桜=ハンサムウーマンとして気丈に生き抜いた新島八重(八重の桜),こんな構図ができあがるかもしれない.
 
観光客専用の市営無料駐車場
(飯盛山北駐車場,4月~11月 8:30~17:00 小型15台駐車可)
車の場合,ここに停めて歩いていくと便利
 
初めは,住宅地の中を歩く
 
そして,田んぼの中を歩いていくと・・・

石部桜に到着

田んぼのなかに1本ぽつんと立っている
桜が咲くと,ひときわ目立つ存在に
 
樹齢600年の巨木,枝分かれした幹は支柱で支えられている

周囲の田んぼは個人の所有地
警備員の人が見張りをしている
【公共交通案内】
●会津若松駅から 周遊バス・あかべぇ乗車 飯盛山下下車 徒歩約15分 (逆回りの周遊バス・はいからさんでも下車可能)

白河見聞録【#1-#13】[一括掲載]

(このページは2011年~2012年に掲載したものです)

No.13 白河よ,ありがとう(最終回)

短い期間ではありましたが連載を続けてきたこのコーナーも,今回が最終回となってしまいました.白河らしい出来事,住んでみないとわからないこと,白河の情報を少しでも多くの方に知ってもらいたくて,情報を発信しました.ご訪問してくださった方々に改めて感謝いたします.また新たな地域の新・見聞録を立ち上げますので,他ページ共々,今後ともよろしくお願いします.(2012,03)

No.12 ホームセンター「カンセキ」

新白河の白河信用金庫本部の裏手にホームセンタ「カンセキ」がある.本社は栃木県宇都宮市にあるホームセンターであり,福島県内には白河市と会津若松市に店舗を構えている(かつては会津田島にもあったが閉店となった).白河店の場合,大通りより中に入った分かりづらくて,入りにくい場所にあり,店舗の大きさもそこそこなのであるが,玄人好みの品揃えと,駐車場からもすぐに店内に入れるとあって,コアなリピーターが結構多いとのことである.そして,スマイルカードのポイントが曜日によって違っていて,土日は2倍,たまに5倍となるときがあって,年2回は10倍セール(つまり購入価格の10%付与)となるから見逃せない(2月11日を挟んだ前後数日間は10倍セールであった).灯油販売もあるので,10倍のときに購入すれば,お得感倍増である.(2012,02)

No.11 白河だるま

2月11日の建国記念日に,毎年開催されているのが「白河だるま市」である.白河藩主であった松平定信が,花市で縁起物のだるまを販売するため,お抱えの絵師である谷文晁(たにぶんちょう)に絵付けさせたものが始まりとのことで,眉は「鶴」,ひげは「亀」,あごひげは「竹」,耳ひげに「松」と「梅」を図案化しており,「鶴亀松竹梅」が特徴となっている厄除け・開運・家内安全などをかなえる縁起物のだるまである.白河だるま市は白河駅前の天神町・中町・本町に貫く目抜き通りに約700店の露天が並び,今年も約15万人の人出があり賑わっていた.
さて,白河だるまは,毎年一つずつ大きなサイズのだるまを買っていくのが慣わしとなっているそうで,どのくらいサイズがあるか調べてみると,実に18種類のサイズがある.大きいものは「特大」で高さ93cm,値段が5万円也.次に「大福」で75cm・2万8千円也.順に,「一番」「二番」「三番」「大のい」「い(35cm・5,600円)」「ろ」「は」「に」「ほ」「へ」「と」「ち(20cm・2,000円)」「り」「ぬ」「る」「小(8.5cm・300円)」と続く.慣わしに従えば,全部そろえるのには18年かかるということになる.
白河だるまは,渡辺だるま製造所と佐川だるま製造所の2カ所で作られている.一番見分けがつくのが「唇の形」だそうで,だるまの形をした白河だるま市のポスターは,毎年それぞれの製造所のものが交代で使われている.だるま市では,だるまを値切るのもOKとのことで,値切れば値切るほど福がやってくるとの言い伝えもある.だるま市が終わると,春の訪れを感じる白河の風物詩であった.(2012,02)

No.10 南湖公園

白河の観光名所といえば,小峰城とともに南湖公園があげられる.白河藩主・松平定信公が1801年に水利開発等のために築造した回遊式自然庭園で,南湖という名は小峰城の南の湖という意味でつけられたと言われている.日本最古の公園であり,日本で最初に周辺整備を行った貯水池(つまり日本最初の公園整備を行ったダム)としても知られている.1周約2kmである.周囲には,松平定信公を祀る南湖神社や,松楽亭と茶室秋水庵がある日本庭園・翠楽園もあるが,なんと言っても南湖公園名物は小粒の「南湖だんご」.松平定信公により南湖公園造築の際に,この公園を作る職人の方に振る舞われたことがはじまりとされている.南湖のほとり,南湖神社の入り口のところで,南湖だんごを販売するお店がいくつか並んでいるが,店ごとに味は若干異なっており,あん・みたらしをはじめ,ゴマ・みそなどの味が楽しめる.公園も,神社も,だんごも,すべてが白河藩主・松平定信公にちなむところが「南湖」なのである.松平家にあやかろうと,今年の初詣は南湖神社で御祈祷をしていただき,1年の無病息災,家族の健康増進,厄除け(厄年なので)を南湖で願ったのであった.(2012,01)

南湖だんご

No.9 中町小路「楽蔵(らくら)」

白河は城下町であり,奥州街道の玄関口として賑わっていた.白河駅近くの中町通りはかつての奥州街道がそのままの形で残っているところであり,その一角に蔵をイメージして2011(平成23)年6月にオープンした施設が「楽蔵(らくら)」である.テナントが9つ入っていて,喫茶コーナー「ひなのや」・渡辺だるま屋,アップルツリー(フェアトレード店)・ひだまりうさぎカードショップGACHI・白河ラーメン「いまの家」・カフェ「アル・コニーズ」・白河見聞館とおみやげ寄合い処・和食「花蕗」・農産物直売所「り菜あん」である.白河が凝縮されているところなので,白河に立ち寄った際には必ず足を運んでみることをお勧めする.だるま屋さんでは,実際にだるまを店内で制作しているところも見られる.2月に開催される白河だるま市は,この楽蔵の場所を中心に開催され,この場所でだるまが販売されるので,名実ともに白河の歴史を楽しむことができる施設である.駐車場は中町通り側に5台程度,裏側に5台程度止められるのだが,満車の時は白河駅の交番裏にある無料の市営駐車場に止めて,歩いてくることも可能である(駅から徒歩5分).
白河にきて感じたことなのだが,白河の街中にこれほど多くの歴史的な施設が点在して,蔵が多く残っている街だとは,正直白河に住むまで気がつかなかった.白河は歴史を感じさせる素材が豊富なのである.素材の生かし方とPR次第によって,福島市や郡山市の比ではないくらい,白河を楽しめる観光を演出できる街であると感じる.(2012,01)

No.8 えきかふぇSHIRAKAWA(JR白河駅の駅カフェ)

JR白河駅は1921(大正10)年に完成した三角屋根の木造駅舎である.吹き抜け部分にはステンドグラスがはめ込まれていたりと,なかなかオシャレな造りとなっている.「ステンドグラスのある赤瓦の屋根の大正ロマン漂う駅舎」として,東北の駅百選に選定されている.駅舎からホームにかけての通路や,ホームで木造の柱が立ち並んでいる風景も,駅舎とともに,なんとも歴史を感じさせてくれて心が和む.
そんな白河駅の中に「えきかふぇSHIRAKAWA」がある.オープンは2009(平成21)年9月で,白河市中心市街地活性化基本計画の白河駅舎活用事業で整備を行ったとのことである.朝はモーニングセット,昼にはランチセット,もちろんケーキセットもある.なかなかオシャレな空間で,電車やバスの時間待ち,そしてちょっとお話をしたいときに,とても便利な喫茶店である,そして,店内には白河周辺の物産を販売するコーナーもあって,なかなかお客を飽きさせない.駅前の交番裏に無料の市営駐車場もあるので,電車を利用しなくても気軽に利用することができる.
面白いメニューとして,土日限定の「白河だるまバーガー」がある.今回は平日に行ったので食べることができなかったが,次回行ったときには絶対に白河だるまバーガーを食べてみたい!営業時間は8時~19時.定休日は不定とのこと.(2012,01)

No.7 白河市立図書館が新しくオープン

2011(平成23)年7月,これまで市役所隣りにあった図書館が閉鎖となり,白河駅の西側に新しくオープンした.愛称は「リブラン-Libran」.東日本大震災の影響で4月のオープンから遅れること3ヶ月,ようやく待望のオープンとなった.新しい建物とあって,中は明るくて開放的でとても快適である.本の貸し出しは21日までとなっているが,1人あたりの貸し出し冊数は「貸出期間内に読める冊数」となっているところ,借り手側のそれぞれのニーズにあわせている(自動貸出端末もある).館内ではインターネットにつながれたパソコンがあるほか,公衆無線LANも完備されている(ただし,コンセントがないためバッテリーを充電してこなくてはならない).
2階の北側は,窓側にずらっとテーブルと椅子が並べてあるカフェのような造りになっていて,窓の外にはJR東北本線と白河駅,そしてその背後に小峰城(石垣が崩れてしまってはいるが)が眺められるのは面白い.1時間に数本しか電車はこないが,大宮の「テッパク」に子供を連れて行かなくてもここで電車を見せることが可能であり,また鉄道ファンの隠れた名所となりそうである.東北新幹線が開業する前の東北本線だったら,さぞかし色々な特急や急行が見られて面白かったと思ってしまう.
1階にはカフェも併設されているので,ちょっとしたケーキと飲み物をとることもできる.なんといっても感心したのは,いまもっとも市民の関心事である放射能や原発事故をテーマにした本や雑誌が置かれている「原発事故コーナー」という特設のコーナー(棚)が設けてられてあったこと.新聞は地元紙や全国紙のほかに,栃木県に近いということもあって栃木県の地元紙「下野新聞」も置かれていた.白河駅から徒歩5分という好立地にあって,このような図書館が白河にあることを嬉しく思った.
開館時間は平日(火~金)10時~20時,土・日・祝9時30分~18時,休館日は月曜日(祝日の場合は開館して翌日休館),館内整理日(毎月第一水曜日,祝日にあたる場合は翌日),年末年始,特別整理期間.蔵書数は図書12.3万冊,雑誌161タイトルとなっている.(2012,01)

No.6 雷の通り道「白河」

この話題,夏に更新しようと思っていたら,冬になってしまった.夏に夕立が「ザーッ」と降ると,雷がセットになって「ゴロゴロ」と鳴り出す.白河は雷の通り道であるとのこと.地元の人の話だと,特に○○地区から△△地区に雷が流れていく,××地区ではいつも雷が落ちる(なのでテレビが何台も壊れた!),などといった情報も持っている.もともと北関東地方では雷の通り道として有名で,栃木県の宇都宮は「雷都」として知られているし,群馬や茨城も上昇気流によって発生した雷が利根川沿いに東に移動していくということで知られている.白河の場合も,この群馬県や栃木県で発生した雷雲が,那須連邦からの風にのってやってくるのだという.白河のパチンコ屋にいたときのこと.いつの間にか外では激しい大雨になっていたらしく,「只今,外では落雷が発生しております.落雷による保証はしておりませんので,ご了承ください」との館内放送が流れた.白河らしい?案内サービス.夏の夕方のパチンコは,大当たり中も雷が落ちないことを祈りつつ,あまりにもすごい夕立と雷だったので,途中で切り上げて自宅に帰った夏の思い出であった.(2012,01)

No.5 フリーペーパー「ワンダフル」

ホットペッパーやシティー情報などの雑誌がない白河地方で,似たような媒体として,毎月1日に発行されているクーポン付きのフリーペーパー「ワンダフル」がある.たべる,きれい,いやし,あそぶ,くらしの5つの項目からページが構成され,それぞれお店の紹介とクーポン券が記載されている.配布している地域は,白河市・西白河郡・東白川郡(一部除く)・須賀川市・岩瀬郡・石川郡となっており,県中地方の須賀川市以南の地域が読者エリアとなっている.発行は人材・求人や広告業などを手がける(株)マザールという会社で,こちらの会社では須賀川市釈迦堂川花火大会の会場管理等も請け負っていたという.発行部数は合計約5万5千部で,そのうち約4万7千部が福島民報と福島民友の地元誌新聞折り込みによる配布となっているので,結構奥様方の目には止まっていると思われる.1月号のテーマは「新年会特集号」.全国チェーンの居酒屋から,へぇ~こんな店があるんだ,と意外な発見もあったりする.パソコンのホームページでもクーポンをゲットできるので,折り込み広告が入らない地域の方も,白河に御用のある方は調べてみる価値あり!(2012,01)

No.4 3つの大型ショッピングセンターが勢揃い

白河市の人口が約6万人,西郷村の人口が約2万人,この規模の街並みにしてはスケールの大きいショッピングセンターが3つもある.これはとても便利.なにしろ人口比にして広大なショッピングセンターなので,日曜日に行っても人口密度が低くてらくらく買い物ができる.
まず,西郷村の国道4号沿いにある「イオン西郷ショッピングセンター」.イオン白河西郷店を中心に専門店街などで構成されていて,大きな箱形の建物の中に入っているショッピングセンターである.2011(平成23)年3月にジャスコからイオンへ店名を変更している.ショッピングセンター全体の店舗面積は23,686m2である.
つぎに,新白河駅近くの国道289号沿いにある「メガステージ白河」.ヨークベニマル,ゼビオ,ヤマダ電機,ユニクロ,100円ショップなどの店舗が,駐車場を中心としてロの字型に構成されているショッピングセンターである.店舗面積の合計は17,816m2である.
さらに,メガステージ白河の国道289号向かい側にあるのが「ベイシア白河モール」である.群馬県高崎市に本社のあるベイシアグループのショッピングセンター「ベイシア」,ホームセンターの「カインズホーム」,家電の「ベイシア電器」,カー用品店の「オートアールズ」などが,それぞれ別棟で大きな建物の中に入っている.店舗面積の合計は16,093m2である.
このように,15,000~20,000m2クラスの大型ショッピングセンターが3つも存在していて,それぞれがそれほど距離も離れていない場所にある(メガステージとベイシアはお向かいさん)ので,住民としてはとても便利な白河である.それぞれのショッピングセンターの詳細は,また後日照会!(2011,10)

No.3 白河地方の総氏神様・鹿嶋神社

白河市内で大きな神社といえば鹿嶋神社である.白河駅の東方向,阿武隈川のほとりに鬱そうと茂る森(山)が見えたら,そこが鹿嶋神社となっている.770年(宝亀年間)に光仁天皇の御代を祀り、811(弘仁2)年に坂上田村麻呂が常陸国鹿島大明神(現茨城県の鹿島神宮)を勧請した神社で,白河地方の総鎮守となっている.1910(明治43)年に火災にあって建物・備品のほとんどを焼失しているが,その後再建されて現在に至っている.西暦で奇数の年には,日本三大提灯祭りの一つとして,白河提灯祭りが開催されているが,2011年の提灯祭りは東日本大震災により次年(2012年)開催することに順延された.参道には立派な杉並木が一直線にならんでいて,荘厳な雰囲気を醸し出している.そして社殿に向かう参道の途中に石造りの太鼓橋(神橋)がかけられていて,とても絵になる風景である.
そして,パワースポットとして崇められているポイントが2カ所ある.ひとつが,本殿西側に立っている樹齢1000年といわれている杉の大木(ご神木)で,さすがにでかい!もうひとつが,磐座(いわくら)と呼ばれる大きな岩で,ご神木の脇にパイプ階段があって足場の悪い山道を少し歩いていくと,紙垂(シデ)が巻かれた大岩が現れる.古代からの祭祀が行われた聖地といわれていて,なんか不思議なパワーをもらった感じになる.
駐車場はそれほど広くなく,県道から狭い道で入るしかないので,初詣時やお祭りの時はとても混雑しそうな鹿嶋神社である.(2011,10)

No.2 ゴミは指定袋に入れて

アパートの管理人さんから,「ゴミは指定の袋に入れて出してください」とのこと.これまで5回引っ越しをしているが,最近ではスーパーや市販の半透明の袋でも大丈夫な自治体が多くなっている.管理人さんも建前上話しているだけで,実際は市販の半透明ゴミ袋でみんな出しているのだろうと思いきや,ゴミ出しの日に集積場をのぞいてみると,みんな白河市民は律儀に指定ゴミ袋に入れて出しているではないか.これはまずいと思い,さっそくゴミ袋を買ってきた(全6種類,合計120枚分,計3,540円)のだが,驚いたのはその種類の多さと値段の高さ.きちんと分別すれば同じ種類の指定袋を利用してよいわけではなく,きっちり種類ごとに袋がわかれているのである.
具体的にみてみる.燃えるゴミ(大)1,100円(赤文字),燃えないゴミ(大)1,240円(黒文字),ペットボトル(大)360円(オレンジ文字),プラスチック類(大)360円(紫文字),かん類・金属類240円(青文字),びん類240円(緑文字),すべて20枚入りで,半透明ではなく中身がすっかり丸見えの透明ゴミ袋.大サイズといっても45リットルも入らないような大きさなのだが,この大きさで燃えるゴミ袋が20枚で1,100円とは,ちょいと驚きだった.値段をよく見てみると,資源ゴミとしてリサイクルできるものは240円や360円と大変安く,燃えないゴミに至っては1,240円と割高となっている.
白河市のゴミ収集は,西白河地方衛生処理一部事務組合により白河市・西郷村・泉崎村・中島村・矢吹町の5市町村をまとめて行っている.1995(平成7)年には西白河地方クリーンセンターが建設されているが,ゴミ袋の売り上げはゴミ処理経費の一部として使われているのだと思う.指定ゴミ袋を買わなければならないので,ゴミを増やさないようになったかなと少しは思うが,今のところ実情はゴミ袋が破ける寸前までパンパンに押し入れて出すようになった次第である.(2011,09)

No.1 東北の玄関口「白河」へ

白河市は東北の南の玄関口である.福島県浜通り地方の勿来関(なこそのせき),山形県日本海側地方の鼠ヶ関(ねずがせき)とならんで,奥州三関の一つに数えられる白河の関所が置かれていたところである.白河市の人口は約6万4千人,東北新幹線・新白河駅のある西郷村の人口は約2万人,あわせて約8万人となっている.白河は小峰城を代表とする歴史漂う観光素材が残り,一方で,首都圏から新幹線で1時間半程度の距離であることから,企業の工場などによる進出が盛んなところでもある.コンパクトな街並みは快適な暮らしを営む上で心地よいスケールであるように感じる.これから,白河の見聞録をシリーズで掲載します.お楽しみに・・・.(2011,08)

(このページは2011年~2012年に掲載したものです)

福島見聞録【#21-#41】[一括掲載]

(このページは2008年~2011年にかけて掲載したものです)

No.41 「福島市」よ,ありがとう(最終回)

4年間とちょっとにわたり連載を続けてきたこのコーナーも,今回が最終回となってしまいました.「福島市」らしい出来事,住んでみないとわからないこと,福島市の情報を少しでも多くの方に知ってもらいたくて,情報を発信しました.また,このコーナーには色々な方からメールや励ましをいただくことが多く,大変励みになっていました.ご訪問してくださった方々に改めて感謝いたします.また新たな地域の新・見聞録を立ち上げますので,他ページ共々,今後ともよろしくお願いします.

No.40 イトーヨーカドーのネットスーパー

イトーヨーカドー福島店では、インターネットから注文をして、当日に宅配してくれるサービス「ネットスーパー」を行っている。これがとても便利。1日3回の配達時間があって、9時までに申し込むと12:00~15:00に、12時までに申し込むと15:00~18:00に、15時までに申し込むと18:00~21:00の間に配達をしてくれる。体調が悪いときや、小さな赤ちゃんがいて外出ができなときなど、とても重宝する。配達料金は315円必要となるが、4000円以上購入すれば無料となる。4000円以上と聞くと高いように感じるが、ついつい多めに買ってしまって4000円をすぐに超えてしまう。料金の決済方法は、クレジット払いの他に、配達時の代引きもある。商品を選ぶときはすべての商品に画像写真がついているため、とてもわかりやすくなっている。ただ、気をつけなければならないのは、商品の大きさが画像からだけだとわからないので、購入してみたら超ミニサイズの醤油だった!なんてこともある。何ミリリットルといった数字もチェックして購入ボタンを押すようにしたい。また雨や雪の日などは申し込みが多いため、早めに配達数に達してしまい、申し込み締め切り時間前に×印がついてしまうこともあるので注意。(2011,02)

No.39 福島県ご当地手帳「ふくしま手帳」

福島市にある日新堂印刷所からご当地ネタを集めた手帳が販売されている.その名も「ふくしま手帳」.大きさはB6版160ページで,面白いのは1週間ごとの週間スケジュールを記入する日付欄ごとに,ご当地ネタを小さい文字で掲載しているところにある.例えば,「かつて東北のシカゴと言われた郡山市は,今では東北のウィーンと呼ばれている」,「ドクターヘリは時速約200kmで運航.福島県立医科大学から吾妻小富士までわずか約6分で到着!」,「相馬市名物「青海苔アイス」は潮の香りが漂う通好みスイーツ」などといったコメントが365日分掲載されている.それだけではなく,福島県概要や福島県お出かけマップとして県内の地図がついているほか,ふくしまキャラ図鑑として市町村ホームページなどを参考に公共性の高い物を中心として選んだキャラクター一覧が(何の役に立つかは?)掲載されている.手帳を購入すると,編集室行きのはがきが差し込まれていて,あなたの福島ネタ募集(2011年5月31日締め切り)としてご当地ネタが募集されている.ということは,来年も同じような手帳が発行されるということであり,みんなで造り上げる手帳が来年にも発行されるに違いない.価格は980円.購入は福島県内の書店の他に,インターネットでも購入することが出来る.話のタネにお一ついかがですか.(2011,01)

No.38 MAXふくしまオープン

曽根田にある旧さくらの百貨店跡地にダイユーエイトをキーテナントとする「MAXふくしま」がオープンした.1階に食品の「フードマックス」をはじめ,飲食,薬品,日用品など,2階には家具,文具類などのホームファッション,100円ショップ,バイキングレストランなどが入っている.さくらの百貨店が撤退してから約5年半の間は,5階のワーナーマイカル映画館のみが営業しており,4階以下は閉鎖されていた.これで中心市街地の活性化に一役買うだろうと思われる.
先日,平日の夕方に行ってみたところ,平日は高校生が多く利用していたように感じた.4階には自習室もあって,高校生の遊び場としても活躍しそうである.中心市街地の衰退の原因は,マイカー利用によって郊外の商業施設に皆,足を運ぶようになったためで,利用者は車を持たない学生が相対的に多くなるのは必然のことかもしれない.
そして日曜日,再度MAXふくしまに足を運んでみた.駐車場は満車で入るのに一苦労.中は大勢の人で賑わっていた.まず1階から覗いてみる.
1階はダイユーエイトMAX福島店となっていて,薬(ドラッグエイトMAX)と,食品(フードMAX)と,花(フラワーMAX),そして幸楽苑などが入るフードコートのコーナーがある.ダイユーエイトと聞くと日曜大工用品を中心に販売するホームセンターをイメージしていたが,品揃えは全く違っていると言っていい.フードMAXの品揃えはスーパーと同じである.
そして2階には,生活雑貨やインテリア,文具を売っているダイユーエイトOne’s MAXと100円ショップダイソーがある.100円ショップは想像通りの店内であるが,One’sMAXは,LOFTのような黄色を基調としたカラーで,カラフルに商品が並べられており,ユニクロの生活雑貨版といった感じがする.季節柄,クリスマスグッズを多く販売していた.2階には台湾雑貨を売っている五福もある.
3階は専門店街で生活雑貨などを売っているが,巨大室内遊園地のUS.LANDがある.入場料が必要であるが2時間で980円(子供)となっている.
そして4階は「A・O・Z」と書いてアオウゼのフロアーとなっている.アオウゼとは「みんなで会おうぜぃ!」という意味で付けられたのかと思うが,多目的的ホールや音楽スタジオなどがある市民の交流スペースとなっている.欲を言えば電気屋さんがあればよかったのになぁ,と思ったところであった.(2010,12)

No.37 バスICカード「NORUCA(ノルカ)」

福島交通の路線バスにICカードが導入された.その名も「NORUCA(ノルカ)」.郡山地区の路線バスには既に導入されていたが,今回は県北の福島市でも使えるようになったもので(といってもシステムの変更により,既に持っていた郡山地区の人もICカードの変更が必要となった),整理券を取ったりせずに「ピッ」とタッチするだけでバスに乗れるようになり,定期券としても使えるのでとても便利である.せっかくなので,JRのSuicaとしても使えるように出来ればいいのに(福島駅もSuicaが使用できる)と,素人ながら思ったのであるが,Suicaと大きく違う点は,バスICカードの場合はチャージしたときに1割分のおまけが付くところである.つまりこれまで回数券を買ったときに1枚多くついていたおまけと同じ額が,ICカードでも踏襲されているのである.そのため,このバスICカードでJRに乗れるとなると,値段の割引が違ってくるために相互利用ができないのである.JR(Suica)もバス(Pasmo)も両方乗れる東京ではどうかというと,チャージの時に割引加算額がない方式であったが,その代わりパスポイントによってバスに乗ったときにだけのポイント制度が設けられている.いずれ,Suicaのように電子マネーとしても利用できるようになると,財布の中に色々なカードを入れなくて済むようになるのでありがたい.(2010,12)

No.36 飯坂電車に乗って片岡鶴太郎美術庭園へ

福島駅から飯坂温泉までを結んでいる電車に,福島交通の飯坂線というローカル私鉄がある.地元では飯坂電車,略して「いいでん」と呼ばれている.車で行けば20分程度で飯坂まで行けるのであるが,たまにはのんびり飯電に乗ってぶらりと出かけるのも悪くはない.飯坂温泉駅の一つ手前に花水坂(はなみずざか)駅があって,そこで下車して2分ところに片岡鶴太郎美術庭園があるので行ってみることにした.
飯坂電車の福島駅は,駅ビルの北側に改札口があって,保原・梁川方面へ向かう阿武隈急行電鉄と同じホームから発車する.左が阿武急,右が飯電の線路となる.やってきた電車はステンレスの2両編成,どこかで見覚えのある車両だと思ったら,これは東急電鉄で活躍していた車両だとのこと.車内に入ってもドアの形など,東急の雰囲気がいまでも残っている.ドアが閉まり発車した.
車掌さんが,前に行ったり,後ろに行ったり,忙しい.ドアの開閉は運転手さんが行っているが,切符の回収と販売を車掌さんが行っているため,駅の改札口に一番近いドアのところで待機していて,ドアが開くとすぐに下車した乗客の切符を回収し,笛を吹くと運転手さんがドアを閉めるようになって発車,そして,乗ってきた乗客の切符を販売する.
途中で列車がすれ違う駅があるが,乗客の乗降が終わると発車時間がきていなくてもとりあえずドアは閉めてしまう.そして反対側に交換列車が来ると発車していく.これは,運行時間の遅延防止,切符回収の際のチェック判断を早めるため,引き返しの乗り換えを防止するためか.桜水駅には車庫があって,東急独特のディスクブレーキが車輪のところで銀色に光っている.桜水を過ぎるとくだもの畑が広がる田園地帯となるが,車輪が刻む線路の音が不規則に「ガタン,ガタン,ガタン・・・」と連続するところ,ローカル私鉄ならではである(つまり,線路のつなぎ目が短いということ).医王寺前,そして車窓から片岡鶴太郎美術庭園が見えると,花水坂駅となる.
片岡鶴太郎美術庭園は,飯坂に本社のある(株)松屋(県内のミスタードーナツのフランチャイズなどを行っている会社)が運営している美術庭園で,美術館のほかに,菓匠「吉兆松屋」や「松屋レストラン」が併設されている.美術館に入館するには大人950円が必要となるが,美術館に入らずにショップだけを見ることも可能である.落ち着いた和の空間を演出しており,ぶらり立ち寄るのも楽しい.(2010,10)

No.35 あぶくまの里納涼列車「ほろにが号」

福島駅を18:24に出発し,宮城県丸森町のあぶくま駅まで約30分揺られて,駅舎に併設されている産業伝承館内で,生ビールと焼肉が食べ放題となる臨時列車がある.その名も「ほろにが号」.福島駅では缶ビール2つとおつまみをもらって阿武隈急行線の電車に乗り込む.ほどよく酔いが回ったところで,あぶくま駅に到着し,蔵王高原のハーブ豚焼肉が食べ放題となる.約1時間30分の時間が経った20:33に帰りの臨時列車が発車して福島駅には21:11に戻ってくることが出来る.宴会会場には冷房が入っておらず(屋内),なかなか暑い中での納涼パーティーなのであるが,到着する頃には生ビールがすでに席に用意されていて,すぐに乾杯をすることができる.豚肉・やさいセットが食べ放題,生ホルモンはなくなり次第終了,飲み物は生ビールの他に焼酎(冷),日本酒(冷),ソフトドリンクがある.そのほか,おにぎりやアイスは有料で販売されている.途中で抽選会があったり,カラオケが行われたりと,大変賑やかなパーティーであったが,参加している客層は会社の暑気払いなどといった団体がほとんどなので,カップルなどでの参加にはちょっと不向きである.運行は,6月末から9月上旬までの毎週金曜日(設定のない日もある)で,1人3,600円,毎回定員100名となっている.食べ放題,飲み放題でこの値段はお得である.(2010,08)

No.34 JR東日本の旅行商品「TYO」

福島駅のみどりの窓口に行くと,旅行商品のパンフレットがズラズラと並べられている.JR東日本が企画している「びゅう」ブランド旅行商品のツアーとなっているが,その中で「TYO」という旅行商品がある.TYOはTokyoの略で,まさしく地方発東京方面行きの旅行商品の総称となっているのだが,新幹線で東京方面に行こうと思っているのであれば,断然このTYO旅行商品に申し込んで行った方がお得である.
TYOの旅行商品には色々なテーマが設定されていて,ホテルがついた1泊2日のコースや,日帰りのコースなどバラエティー豊富に揃えられている.例えば,ディズニーリゾートに行きたいのなら「東京ディズニーリゾートの旅」,鉄道博物館に行きたいのなら「鉄道博物館日帰りツアー」,東京の話題のスポットに行きたいのなら「東京スニーカー」,女性のエステなどが付いた「きれいになろう」,グリーン車利用のちょっとリッチな東京の旅「東京コンシェルジュ」など,様々なニーズに合わせてツアーが設定されている.
私が見た中で最もお得な商品をいくつかご紹介する.
連休の谷間の土曜日など,あまり利用者のいない日に設定されることが多い商品が「TYOトレイン」で,東京行きの新幹線は専用の臨時列車(上野9:38着)を走らせて,帰りは列車限定のやまびこ号で帰ってくるというもの.2010(平成22)年夏には,7月24日と9月25日の土曜日に設定されていて,1泊2日コースでは最も安いプランで芝パークホテル宿泊で12,100円となっていて,日帰りコースの場合は上野アトレで3000円分のお買い物券がついて10,600円(買い物券を差し引けば実質7,600円で新幹線往復できることになる)となっている.
日帰りの商品でお得なプランは「TYOでハッピー1day」という商品で,新宿プリンスホテルのランチバイキングクーポン券付きの場合は13,700円,プランタン銀座・SHIBUYA109・アトレ上野などで3,000円分のお買い物券が付く場合は14,400円となっている.買い物券3,000円を差し引くと実質11,400円で往復できることとなる.
福島駅から東京駅まで往復かかる通常の運賃は,新幹線の普通車指定席を利用した場合17,200円,JR・福島交通の高速バスを往復割引で利用した場合8,600円,さくら交通のツアーバスを利用した場合5,600円となっている.福島駅から東京まで高速バスだと約5時間もかかることを考えると,福島駅から東京まで2時間もあれば東京駅に到着することができる新幹線を利用することが時間の有効利用から考えても得策かと思われ,その場合はこのTYO商品に申し込んで新幹線を利用した方がお得である.なお,注意点としてTYO商品は2名以上となっている(TYO東京ひとり旅という商品もあるが,これは割高となっている)ことと,旅行商品への申し込みとなるため,宿泊ツアーの場合は20日前から,日帰りツアーの場合は10日前からキャンセル料が発生するという点にある.賢く利用して楽しい夏休みを.(2010,07)

No.33 いかにんじん

福島県の北部地方で伝わる郷土料理に「いかにんじん」というものがある.正直,はじめていかにんじんを出されたとき,なんの変哲もない,細く切った「するめ」とにんじんの千切りが混ぜられて皿に盛られているだけの料理だったので,なんなんだろうこれは?という感じであった.食事の時などに酒のつまみや,ご飯のおかずのちょっとした一品として出されるのである.食べてみると,これまた素朴な味,まぁ,いかと人参だな,という感じなのである.ところが,各家庭では普通に,簡単に作られている料理なので,度々出されるのであるが,そのたびに,このシンプルな味に洗脳されていき,無性に食べたくなってくる.いかにんじんの作り方は,各家庭によって異なっているが,基本は,するめと人参を細く切って,醤油と日本酒とみりんで味付けしたもの.晩秋から冬にかけて作られている.松前漬けの原形とも言われているが,家庭によってよっては,松前漬けのように昆布や数の子を入れるところもある.最近は,福島県内の物産プラザなどでレトルトパックに入ったいかにんじんも販売されているので,機会があったらお試しを.(2010,06)

No.32 FMポコのJ-WAVE(福島コミュニティーFM)

福島市を中心に放送されているコミュニティーFMが「FMポコ」である.周波数76.2MHZ,1996(平成8)年に開局し,出力は10W,高湯温泉のあたりにアンテナが立っているらしい.スタジオは置賜町にある.福島市を中心に放送されているFM局であり,地元情報発信として貴重なFM局であるが,車通勤をしていないため,なかなか地元番組を聞く機会が持てない.休みの日に車で遠出するときは,たいてい福島市外に向かうため,FMポコにダイアルを合わせていると,すぐに市外になって聞こえなくなってしまうため,最初からふくしまFM(全県放送のFM局)を選んでしまう.だからといって,FMポコの放送を聞いていないかと言えば,ラジオを聞くことが好きな僕としては,そんなことはなく,夜の時間帯に東京のJ-WAVEと同時放送されている番組をよく聞いている.特に休みである土日の夜は電気を消してフトンにごろんとなりながら,このFMポコ(つまりはJ-WAVEなのであるが)の番組をまったりと聞くのが,リラックスできてストレス解消になる.
お気に入りの番組を2つほど紹介します.
土曜日の21時からは, ジャズピアニストの小曽根真さんがパーソナリティーとなっている「OZ MEETS JAZZ」.毎週テーマ毎にジャズの演奏を流して,わかりやすく紹介する1時間の番組で,小曽根真さんの軽快なトークがまた聞いていて心地よい.ジャズファンにとっては,遠くのジャズライブハウスまで行かなくとも,毎週気軽にジャズが聴けて嬉しい番組である.
日曜日の21時からは,八木亜希子さんがパーソナリティーとなっている「東京コンシェルジュ」.六本木ヒルズなどを開発した森ビルディングが提供で,東京の新しい話題やエンターテイメントなどの情報を,J-WAVE本社スタジオのある六本木ヒルズから伝える番組で,旬の話題やコンサート,歌舞伎まで,東京のエンターテイメントなどについてゲストを迎えながら紹介している.コマーシャルの時に入る「東京コンシェルジュ」とフランス語っぽく入るジングルなんか聞いていると,「さすがぁ~オシャレだなぁ」と感心してしまうが,東京のレアな情報も含めて知ることが出来て面白い.番組終了の時間になるとBGMが流れるが,これを聞くと「あ~,また休みが終わってしまったか~」と寂寥感がこみ上げて眠りにつくのであった(この番組は,現在はFMポコでは放送されていない).是非,布団に入って電気を消してお試しを.(2009,10)

No.31 ペットワールド「アミーゴ」がオープン

南沢又の西道路沿いにペット専門店となる「ペットワールドアミーゴ」がオープンした.ダイユーエイトのホームセンターでもペット類は取り扱っていたが,さらに商品を充実させたペット専門店となっている.犬や猫はもちろんのこと,熱帯魚,鳥,ハムスター,うさぎ,そして,は虫類までもが販売されており,非常に珍しい種もあるので,店内を歩いているとさながら小さな動物園に来たように感じる.熱帯魚に関して言うと(かつて飼っていたのが唯一これ!),グッピーやネオンテトラといった定番のみならず,赤いシュリンプ(小エビ)など珍しいものもあり,また水草も様々な種類が販売されているので,見ているだけでも飽きずに楽しめる.熱帯魚は,おとなしいものや凶暴な性格などがあって,一緒の水槽で飼うことができるものとできないものがあり,また,水草は成長が早いものや水質管理が必要で成長に手間がかかるもの,すらっと長いものや横に広がっているものなど,特色やデザインなどがいろいろあって,自分だけの美しい水中の世界を創造したい衝動に駆られてくる.値段を見てみると,犬や猫は1匹10万円,高級魚は数万円など,ペットの値段もなかなか高いんだな,と感じた.(2009,10)

No.30 花見山とまちなか周遊バス「ももりん号」

今年も花見山のシーズンがやってきた.桜が満開となる4月中旬の週末は,大勢の人で賑わう福島市である.2009年は4月11日・12日であった.4月中は交通規制がかけられて,花見山のある渡利周辺は一般車の通行制限や駐車禁止があり,マイカーできて花見山を見る場合は,あぶくま川河畔にある親水公園に車を置いて,JRバス東北のシャトルバスに乗り換えて移動しなければならない.周辺は大渋滞となる.また,福島駅からは福島交通の臨時バス「花見山号」が約20分おき(最も混雑する週末は,増発されてピストン輸送となる)に運行されており,マイカーで来るよりも電車バスを利用した方が,アクセスは便利であるように思う.
春になると約20万人以上が訪れる花見山であるが,この観光客を福島市内へいかに誘導するかが課題となっていた.花見山は見るけれど,あとは他へ行ってしまうといった具合である.そこで,今年から福島市内の観光地を回るまちなか周遊バス「ももりん号」が4月の期間限定で運行を開始した.9:15~16:45までの運行で30分間隔(12~13時は60分間隔),御倉邸や福島競馬場,古関裕而記念館,花の記念館,県立美術館などを,反時計回りにぐるりと走って結んでいる.4月12日の日曜日に乗車したときはボランティアガイドも車内に乗車して観光地を案内しており,福島市内の新たな発見があって大変よいものであった.通常は大人300円で1日乗り放題となっているが,今日(12日)は特別キャンペーンだったからなのか,花見山から福島駅に向かうバスに乗車するときにスタンプラリーのパンフレットとともに,無料で乗車できる優待券を配布していた.古関裕而記念館や花の記念館も,今年4月から入館無料となっており,ぶらりと散策しやすくなっている.さらに福島駅前の仮設花見山案内所では,1000円のチケットを販売して周辺の加盟飲食店で特典付きの食事クーポン券(1000円)としてランチが食べられるキャンペーンをやっていた.JR福島駅の発車メロディーも古関裕而氏が作曲したものに変更されており,福島市が一丸となった観光PRの気運を感じた.(2009,04)

No.29 茶房「ダンケシェーン」

中合デパート2番館の3階に茶房「ダンケシェーン」がある.このダンケシェーンは,福島駅東口から置賜町に向かう路地で開いているアイスクリーム屋が出している喫茶店で,このアイスクリーム屋は夜遅くまでオープンしていることから,サラリーマンにも人気があると巷で言われているお店である.このアイスクリーム屋が出している中合内にある喫茶店(茶房),どのメニューも美味しそうなのであるが,お薦めはトーストセット(700円)である.小さく正方形に切られたパンが4つ,そして,サラダと飲み物(コーヒーか紅茶)が付くが,このパンがとても美味しい.出来合いの味といった感じではなくて手作りパンの味で,バターの塗られたパンとジャムがたっぷりのったパンがそれぞれ出され,決して大きなサイズではないが,小腹が空いたときにはちょっとした軽食となる.コーヒー・紅茶はおかわり自由なので,これまた嬉しい.ケーキセット(700円)やパフェ,クロワッサンなども美味しそうで,百貨店の中にある喫茶店としては値段も手頃なので,買い物帰りに立ち寄ってお茶するのもたまにはよい.(2009,02)

No.28 オンドルがある焼肉店「アンドン」

福島の飲み屋街といえば置賜町.ここにある本格的な韓国焼肉のお店が「アンドン」である.入口を入ると韓国語の自動案内で「アニョアセヨー.○○○」と声が流れ,まるで韓国に来ている雰囲気となる.出される料理も韓国の味そのままのようで,韓国の人も懐かしの味付けを食べに足を運んでくるに違いない.そして,なんといっても特に冬,嬉しいのは「オンドル」が完備されている点が素晴らしい.オンドルとは床暖房のことで,韓国ではどこでも見られる暖房形式である.ポカポカの床の上で焼肉を食べることができるのである.韓国の冬は寒いので,薪や藁を燃やして床下に熱を供給する床下暖房が普及していた.今では温水式の床下暖房となっているが,それを福島市で体験できるのは非常に興味深い.ちなみに,壺漬けカルビが美味しかった.(2009,02)

No.27 伊達の蜜桃(モモのシーズン到来)

福島といえばフルーツ王国,サクランボ,リンゴ,なし,ブドウ,モモ.その中でも人気が高いのが「桃」である.桃は今が一番の収穫期.7月から9月にかけてが桃のシーズンであるが,中でも甘くて人気の高い「あかつき」と呼ばれる品種は,8月上旬から下旬にかけて,まさに今が旬なのである.
さて,福島市の北に接する伊達市にあるJA伊達みらいでは「伊達の蜜桃(だてのみつもも)」として,期間限定の甘さにこだわった桃を出荷している.糖度が最高となる期間に店頭に並ぶもので,あかつきの中で糖度が15度以上の桃を厳選し,千個に1個の割合でしか出荷されないとか.地元のJA直売所や通信販売でも販売しているが,ヨークベニマルのスーパーでも2個売りで売っていた.この蜜桃は8月中旬頃にしか手に入らない.買って食べてみた.やはり,甘い.桃は,いつ食べても美味しい.食べる1~2時間前に冷蔵庫でちょっと冷やして食べるのが一番美味しい食べ方となる.ちなみに,福島で桃が本格的に栽培され始めたのは約100年前の明治30年代とのこと.残り少ない桃の収穫時期に,もっともっと桃を食べようっと!(2008,08)

No.26 福島わらじまつり

毎年8月上旬に福島市で開催されるお祭りが「わらじまつり」である.今年(2008年)は8月1日(金)と2日(土)にわたり開催された.江戸時代から300余年の伝統がある「信夫三山暁まいり」に由来して開催されるのが「福島わらじまつり」で,初日は,長さ12m重さ2tの日本一の大わらじを会場に奉納したあと「平成わらじ音頭」にあわせて華やかな踊りが続く.わらじ踊りは福島市内の企業などがチームをつくって踊りに参加しており,1時間毎に1部(18時~)と2部(19時~)で構成されている.そのあとには,色とりどりのコスチュームを着た若者やサークル団体などによってヒップホップの軽い音楽に合わせて自由に踊る「ダンシングそーだナイト」が続く.2日目には,わらじ競争とダンシングそーだナイトの第2部が繰り広げられ,暑い熱い夏の祭りが催される.駅前通りと信夫通り(国道13号)の交差点には,大型液晶ビジョンがついたステージが設けられ,「わらじ~!わらじ~!」と大きなかけ声と共に,熱気ムンムンの踊りが繰り広げられる.踊りそのものもそんなに難しい感じではなく,市民が気軽に参加できるようなもので,青森のねぶたや,秋田の竿燈などのような「見せる祭り」というよりは,市民が参加して自らが楽しむタイプのお祭りであった.わらじ踊りは最後の5分間だけ,一般の観客も参加することが可能となっている.
また,わらじ祭りに引き続き,3日(日)に山車フェスタが開催された.市政100周年を記念して昨年行われた山車フェスティバル,福島市内の各町内会の山車が勢揃いするとあって,こちらも迫力ある山車の練り歩きが今年も見ることができた.(2008,08)

No.25 吾妻小富士の雪うさぎ(残雪)

福島県と山形県にまたがる吾妻連峰(吾妻山).その中の吾妻小富士の山肌に,春になると雪解けとともに徐々に姿を現すものがある.それは「うさぎ」である.地元では「吾妻の雪うさぎ」と呼ばれており,春の訪れを告げる風物詩であるとともに,農家の人々が種まきを始める時期であることから「種まきうさぎ」とも呼ばれているという.うさぎの耳がピンとたったような残雪姿は,寒い冬から暖かい春へ向けて,気持ちを明るくさせてくれるものである.これから,様々な花が咲き乱れ,草木が芽吹いてくるのである.桜の名所として有名となった「花見山」も桜のシーズンへ向けた準備が着々と進んでおり,賑やかで華やかな季節がもうすぐやってくる躍動感が伝わってくる.ところで,この雪うさぎをモチーフとしたお菓子が,福島市にある丹治製菓から発売されている.その名も「あづまの雪んこうさぎ」.100%果汁のフルーツゼリー(やや硬めのゼリー)をホワイトチョコレートでくるんだもので,ゼリーの酸味とチョコレートのマッチが面白い.チョコレートでくるんでいるのであるが,お茶にも合うお菓子である.白桃とリンゴの2種類がある.6個入り630円でインターネット販売も行っている.(2008,03)

あづまの雪んこうさぎ

No.24 福島フォーラム(映画館)

福島市には2系列の映画館がある.ひとつはワーナーマイカル福島であり,曽根田の旧さくら野百貨店5階にあって1998(平成10)年にオープンした比較的新しいシネコンである.そしてもうひとつの映画館が,同じく曽根田に昔からある「福島フォーラム」である.ワーナーマイカルが完成したときは,時代に取り残されたような雰囲気のフォーラムから客足が遠のいたときもあったと思うが,3ヶ月以内に3回来場すると1回無料となるポイントカードの発行や単館ムービーの上映などで映画ファンの心を繋ぎ続けている.特に単館映画・B級映画の上映に関しては,福島県内で最も多くの作品を上映していると思われ,映画ファンとしてはありがたい限りである.大資本の映画会社が製作したストーリーが,必ずしもメッセージ性の高い内容になっているかといえば,そうとも言えず,お金をかけれなくても内容の濃い映画がある.単館映画にはそのような作品が多い.決してオシャレで綺麗とは言えない映画館であるが,頑張ってもらいたい映画館である.無料駐車場あり.FAXサービスあり.スクリーンは72席から153席まで合計6つあり,3つの建物に分かれている.(2008,2)

No.23 焼き鳥文化

無性に食べたくなるときがある焼き鳥.福島市にも数多くの焼き鳥店が存在しており,「福島焼き鳥党」という名の,焼き鳥を食べて焼き鳥を語る市民の会が設立されているほど,焼き鳥を愛している人が多く住んでいる.昨年の9月末には福島競馬場において,全国やきとり連絡協議会に加盟している全国7都市の名物やきとりを中心に一同に集めて販売した「第1回やきとリンピック」が開催され,多くの人で賑わっていた(来年は室蘭市で開催予定).また,今年の1月末には福島市やきとりキャンペーンソング「やきとりじいさん」のCDが発売され,焼き鳥の話題に事欠かない福島市である.そんな福島市の焼き鳥であるが,私が連れて行ってもらったことのあるお薦めの店を2つほどご紹介する.
1店目は「とも江」.福島銀行本店の裏手にある小さな焼鳥屋で,夕方5時過ぎるとすぐに店が満席となってしまう.メニューはドイツ語で表現された6種類の焼き鳥(全て豚)と酒のみ,それ以外では最初にお通しとして漬け物が出されるだけで,まさに串に刺さった焼き鳥通にはたまらない店である.熱燗はアルマイトで温められた日本酒が出され,熱燗党にはこれまたさらに,たまらないらしい(私は焼酎党である).もう1店は「鳥安」.東北電力の裏手奥に入っていった陣馬町の一軒家で営業しており,全国やきとり協議会の発起人となった方が店主を務めている.焼き鳥もさることながら,鳥わさや鍋,鶏の焼き物,水炊きなど鳥料理全般を扱っており,味の評判は高い.焼き鳥のPRに関して,精力的に活動をされているお店のようである.
商業や経済を牽引している郡山市に対して,福島市は県庁所在地・官公庁街としての性格が高い街であり,東京の新橋駅前的なサラリーマンの要素が高い地域なのかもしれない.それが焼き鳥文化の形成に多少なりとも寄与してきたのかなとも思う.ただ,最近は女性にも焼き鳥が人気となっており,福島焼き鳥党の党首も,公式ホームページによると女性である.福島市にお出かけの際は,やきとり文化を煙と共に是非どうぞ.(2008,02)

No.22 峠の力餅小旅行(奥羽本線峠駅)

12時54分,米沢行きの2両編成普通列車が福島駅を発車した.これから板谷峠を越えて米沢まで向かう奥羽本線の電車である.福島から米沢までの普通列車は1日6往復のみ,普通列車だけで見ればローカル線の部類に入る区間である.(同じ線路を走る山形新幹線は米沢まで停車せずに峠を登っていく).庭坂駅を出発すると右カーブとなって右手に福島盆地を眺めながら,上り勾配となって景色が一変し,峠へ挑むこととなる.板谷峠は新幹線開業前までは4連続のスイッチバックの駅(赤岩駅・板谷駅・峠駅・大沢駅)があったことで知られており,そのうちの一つである峠駅(山形県)では,駅前にある峠の茶屋がホームで「峠の力餅」を販売していることで全国的に有名な駅である.この峠の力餅の歴史は古く創業は明治27年,奥羽本線が開通したのは明治32年であった.当時の峠駅は蒸気機関車の給水・石炭を補給する駅として設けられた.板谷峠の勾配は最大38‰(パーミル)で,現在のJR線では最高勾配となっている.技術が進んだ今となっては,新幹線の開業によってスイッチバックも廃止されたが,峠の力餅のホームでの販売は現在でも細々と続けられているのである.
13時23分,峠駅に到着した.大きなスノーシェルターに包まれたホームは昼でも薄暗い.停車時間はわずか30秒,「ちから~もち~」と叫びながら販売員の声がホームと車内に響いていた.峠駅で下車しない人にとって,この短い時間で車内から降りて力餅を買うには,駅に着いたら素早くホームに降りて購入しなければならない.峠の力餅をホームで販売しているのは,9時~18時頃に到着する3往復のみである.値段は12個入りで1000円.
さて,私は米沢まで乗り通したのではなく,峠駅で下車した.というのも,13時28分に福島に戻る普通列車が反対側のホームにやってくるのである.ゆっくりと力餅を購入し,販売の人と共に反対側のホームに電車がやってくるのを待っていた.福島駅13時57分到着,小一時間の力餅の旅であった.家に帰って,上品で柔らかい真っ白な力餅をほおばった.(2008,01)

峠の力餅
峠駅ホーム

No.21 円盤餃子

餃子といえば宇都宮を思い浮かべるかもしれないが,実は福島にも餃子の専門店が多いことは,全国的にあまり知られていない.福島の餃子は戦後に満州から引き上げてきた人々によって飲食業を始めたのがきっかけで,現在まで受け継がれているのだという.福島市商店街連合会ではふくしま餃子の会における「ふくしま餃子めぐりマップ」を作成(15店舗が掲載)し,福島市の名物としてPRを図っている.福島市の餃子店の多くでは,薄く引いた油でさらりと「焼く」というよりは,たぷたぷの油に餃子を浸して「揚げる」といった感じの餃子で,フライパンの丸い形に餃子をきれいに並べて,そのままひっくり返して円形のお皿に盛りつけることから「円盤餃子」とも呼ばれる.まるで花びらのようである.あつあつでカリカリの餃子を酒のつまみとして一杯やるのが,福島流餃子の食べ方である.円盤餃子のお店は夕方からの営業しているところが多く,注文も一皿単位である.餃子とライスといった雰囲気ではない.(2008,01)

(このページは2008年~2011年にかけて掲載したものです)

会津絵ろうそくまつり【会津考察#28】

The Aizu picture candle festival


鶴ヶ城

 


 会津絵ろうそくまつり(ゆきほたる)は,毎年2月の第2金・土曜日の夜に開催されている冬の祭りで,500年以上受け継がれてきた会津の伝統工芸品である「絵ろうそく」を,鶴ヶ城や御薬園で灯すお祭りである.絵ろうそくを知っていただこうと,2000(平成12)年に御薬園で初めて開催されたのが始まりで,今では鶴ヶ城や街なかで絵ろうそくの幻想的な灯火が,2日間点灯している.
会津の「絵ろうそく」とは,今から500年ほど前の領主・芦名盛信が漆樹の繁殖栽培を奨励して漆器の製造と共に,その実からとれる最上級の木ろうから「ろうそく」を作らせたことから始まる.その後,蒲生氏郷や保科正之による会津産業の振興のため,会津塗りやろうが多く生産されるようになった.そして,江戸時代には,参勤交代の際に献上品として「南天と福寿草(難を転じて福となす)」が描かれた絵ろうそくを献上したところ,時の将軍綱吉に喜ばれ、会津絵ろうそくは広く世間に知られることになる.主に,神社仏閣への奉納や高級な贈答品として使われるなど上流社会で愛用され,婚礼の際には一対の会津絵ろうそくが灯され,また,花のない会津の冬には仏壇に供える花の代わりに絵ろうそくを飾るようになったといわれている(会津絵ろうそくまつり実行委員会ホームページより抜粋).
(鶴ヶ城会場)

かわいい灯籠

メッセージの書かれた灯籠が迎えてくれる

優しい灯の「会津絵ろうそく」

中学生の製作による灯籠
 
四角い灯籠もある

絵ろうそく点灯中は,係員が定期的にろうそく芯の清掃を行っている.

(御薬園会場)

鶴ヶ城会場から御薬園会場へは,100円のバスに乗って移動する.
もともと,この絵ろうそくまつりは御薬園から始まった.

竹筒に灯された蝋燭

御茶屋御殿では琴の演奏が行われていた
(御薬園の写真は,暗くてうまく撮影できなかった)
【公共交通案内】
●会津若松駅から 周遊バス・ハイカラさん乗車 鶴ヶ城下車・御薬園下車

松平家御廟(院内)【会津考察#27】

The Matsudaira house mausoleum


松平家御廟所

 


 松平家御廟所は,東山温泉の手前である東山町院内にある会津松平家のお墓である.1657(明暦3)年の藩祖保科正之の子正頼が亡くなったときにはじまり,二代目の保科正経から九代目松平容保までの墓所がここにある.大名家の神式墓所として1987(昭和62)年に国の史跡に指定されている.二代目の正経(まさつね)は仏式で,三代目正容(まさたか)から九代目容保(かたもり)までが神式となっている.神式の墓として,まず前面には亀形の石の上に碑石があり,その奥の高い場所に灯篭が並んでいる.さらにその奥に墳丘を造ってその上に八角形の鎮石が置かれている.麓から頂上までは階段を登って約20分程度はかかるので,ちょっとした登山であり,気軽に訪れれる場所ではない.しかし,お墓とはそういうものではないかと思う.

山の麓まで院内の住宅街を歩いていく

ここから山を登っていく

急な石段を登っていく

道標では「松平家御廟 すぐ」と書かれているのだが,
その上にテプラで「ここから3代正容の墓所まで徒歩15分~20分かかります」と追記されている.
テプラの方が真実を伝えているのだと感じた.


松平家墓所案合図
  
昔のままで,急な石段が続く.
でも,この整備されていない道が,かえって昔を彷彿させていい雰囲気.
(でも,登るのは辛い!)
 
これが,神式の墓となる,亀形石の上に立つ碑石.

その奥に,鎮石がある.

9代目容保(かたもり)の墓は,さらに上がった奥にある.

9代目 松平容保(かたもり)の墓
【公共交通案内】
●会津若松駅より 周遊バス・ハイカラさん 「院内」下車

満田屋(味噌田楽)【会津考察#26】

Mitsutaya (Miso Dengaku)


満田屋(田楽・味噌)

 


 満田屋は1834(天保5)年に,味噌の製造と販売を始めたのが始まりで,店内の囲炉裏で焼いた味噌田楽を食べることができる.そもそも「田楽」とは,田植えなどの農耕の儀礼として笛や鼓などによって舞った日本芸能(能楽より古い)のことであるが,そのときの白装束の踊りが串形豆腐の形に似ていることから,豆腐を竹串に刺して味噌をつけて火であぶったものが「田楽焼き」となっているという(満田屋ホームページより).食事の営業時間は10時から17時まで.
 
奥にある食事処

囲炉裏で田楽を焼く

こんにゃく

カウンターでも食べられる

味噌なども含めお土産を購入できる
【公共交通案内】
●会津若松駅から 周遊バス「ハイカラさん」 大和町下車 徒歩3分
●JR只見線・会津鉄道 七日町駅から徒歩10分

道の駅ばんだい(磐梯町)【会津考察#25】

The road station at Bandai


道の駅ばんだい

 


 道の駅ばんだいは,2009(平成21)年8月に磐梯町の県道猪苗代塩川線沿いにオープンした道の駅である.愛称は「徳一の里きらり」となっているが,これは,近くにある慧日寺(東北地方では開基の明らかな寺院としては最古のものとして知られている)を平安の初めに開いた南都法相宗の高僧徳一からとったものである.レストラン・売店・コンビニの他,農産物直売所も設けられており,地元の特産品を購入するのに便利な施設である.トイレは24時間利用が可能.面白いのは,「ばんだい」にかけて,おもちゃメーカーの「バンダイ」の製品が売られているところ.特産品も含め,レアな商品も置いてあるので,必見である.喜多方から猪苗代,会津若松から裏磐梯方面へ向かうときの,国道49号線のバイパス的な役割をしている県道沿いにあるので,休憩がてら途中で立ち寄るにも便利な場所にある.

コンビニ「ヤマザキYショップ」 7時~21時まで営業
東北限定商品も並べられている

こちらはお土産品コーナー
 
BANDAIのおもちゃ売り場 ウルトラマンシリーズなどが置いてある
 
農産物直売所 鮮度が良くて美味しそう
  
そばソフトクリームがある
三色団子も.

研修所などを備えた磐梯町地域活性化センターが併設されている

トレイには可愛い子供用もある
【交通案内】
●県道猪苗代塩川線 磐梯町町内

山都・宮古集落の水そば【会津考察#24】

Water soba in Yamato/Miyako


宮古集落

 


 福島県喜多方市の旧山都町は,「山都のそば」として美味しいそばを味わえるところである.一番粉を使用してつなぎを一切使わないそば粉100%のそばが味わえ,福島県内のスーパーでは「山都そば」として生そばも販売されている.山都のそばが美味しい理由は,標高が高くて昼夜の寒暖の差が大きいこと,朝霧のたつ耕地でそばが栽培されていること,そして,飯豊連峰の伏流水による水のおいしさ,これらによってコシのある美味しいそばを食べることが出来る.その「山都のそば」の中でも,水につけて食べる「水そば」として有名なところが,JR磐越西線山都駅から国道459号線を約10km北西に走ったところにある宮古集落である.宮古集落は全戸数30戸のうち12戸が農家の客間座敷を解放した農家食堂としてそば屋を営んでおり,そばの打ち方やつゆ,一品メニューまで,それぞれのお店で独自な製法でそばを提供している.なお,料金は宮古地区の組合で決められており,どの店に入っても料金はほぼ同じである.完全予約制となっていた店がほとんどであったが,最近は予約無しでも食べることができるようになっている.

山都駅から山道(国道459号)を約10km走っていく

宮古そば街道の旗がでている

宮古トンネルを抜けると宮古集落となる
 
ようやく宮古集落に到着
  
全30戸中12戸がそば屋とのこと
 
このように普通の農家がそば屋となっている(西村屋)
 
今回は「とのや」で食べることに.
コース料金はどこも同じだが,
店ごとにそばの打ち方やつけつゆ,
だされる山菜料理が違う.

壁に貼られている「宮古そばの里組合」の料金表
値段はどこでも同じだが,
内容が店ごとに違っている.
最近はリーズナブルなコースを
設定しているところもあり,
Dコース1,500円,
そば1枚700円などとなっている.

とのやのメニュー
Aコースは3,500円で,
天ぷらや川魚の塩焼き,山菜料理,そば食べ放題
Bコースは3,000円で,
天ぷら又は川魚の塩焼き,山菜料理,そば食べ放題

こちらは,Cコース2,500円
自家製そば豆腐やこんにゃく,山菜料理など4品がつく.
このほかに,そば3枚
(1枚は水そば,2枚はつゆにつけて食べるもりそば)

こちらは,Dコース1,500円
そば2枚(「水そば」と「もりそば」)とこんにゃく,
山菜料理などの2品がつく.
このコースでも結構お腹いっぱいになる.

こちらは,そば1枚700円
ただし,「水そば」ではなく「もりそば」が出てくるので,
水そばを食べたい場合は,
Dコースを注文すること.(各店でメニューは違う)

これが「水そば」
水につけて出される.
甘みがあってそば純粋の味が堪能できる.
この中に塩をいれて食べる「塩そば」もおすすめ.
(個人的には,水につけないで,
もりそばをつゆにつけずにそのまま食べた方が好き)

【公共交通案内】
●JR磐越西線 山都駅からタクシー利用 約15分

田季野(わっぱ飯)【会津考察#22】

Takino (Wappa-meshi)

 


 田季野は「わっぱ(輪箱)飯」の店として有名である.わっぱ飯は,尾瀬を有する檜枝岐村における山人の弁当の器として用いられてきた「曲げわっぱ(輪箱)」に,会津の食材を活かした料理を盛り込んだ創作料理で,1970(昭和45)年にオープンしている.わっぱ飯の他にも,会津の郷土料理が食べられ,会津に来たら一度は立ち寄りたいお店である.また,建物も歴史があり,築150から200年前に建てられたもので,会津西街道の旧家であったものを移築復元したものとなっている.

田季野の店構え
 
わっぱ飯 いくつか種類があるが,色々と入った五種輪箱がお薦め.

会津西街道にあった旧家を移築した店内

【公共交通案内】
●路線バス
・ハイカラさん
若松駅→若松市役所前→鶴ヶ城→飯盛山→若松駅  若松駅からバス約20分
・若松駅より西若松駅行,本郷行,高田行,芦の牧温泉行などで神明通り下車.徒歩5分.

冬の只見線(ローカル線)【会津考察#23】

JR Tadami line in winter (Local line)


究極のローカル線・只見線

 


 只見線は,福島県会津若松(あいづわかまつ)駅から新潟県小出(こいで)駅まで,135.2kmを結ぶ日本でも有数のローカル路線である.只見から小出までの区間には国道252号線が並行して走っているが,冬期間は道路が通行止めとなり,鉄道が唯一の交通機関となることから,国鉄再建法による赤字ローカル線廃止の対象から除外となった路線である.1972(昭和46)年に全線開通している.秋の紅葉はすばらしく,只見川に沿った山間をのんびりと走り,冬には2m以上も雪が積もる只見を通る.会津若松から小出まで,途中には大きな都市もなく,時速60km程度のスピードでマイペースで走っていく.乗り通すと約4時間もかかる.国鉄時代からの赤字ローカル線の雰囲気を残す路線として,全国からファンがやってくるのである.スピードと効率化が求められている時代に,この只見線の雰囲気を味わってみるのも,たまにはいい.

会津若松駅の時刻表
小出まで直通するのは1日3往復のみ
必然的に,連絡がよく景色が見られる列車は,昼の13:08となる.

3連休の中日とあって車内は満席
2両編成のうち,1両はロングシートの場合もある.
 
只見川沿いを走っていく.
電源開発で行った水力発電のダムにより水が貯められている.
  
会津宮下や会津川口,只見などといった沿線で核となる駅では,
列車交換などのため10分程度の停車時間がある.
車内の乗客も降りて,写真を撮影したりする.
 
豪雪地帯には欠かせない除雪機械
ホームの雪を掻くためのハンド式除雪機械である.

停車時間中,子供達も大はしゃぎ
お兄ちゃんにやられた仕返しに,今度は妹がお兄ちゃんを雪の中へ!
子供を連れて乗り通している家族も多かった.
 
美しい只見川の風景の中,のんびりと走っていく.
 
こちらは線路の除雪車
前のアームにより細かい作業ができそう
 
車内は非冷房車.扇風機のスイッチがある.懐かしい.
 
只見に近づいてくると,雪の量も多くなる.
駅舎待合室の屋根の積雪もごらんのとおり.
ちなみに只見(蒲生)の警戒積雪深は280cmだとか.
2m80cmまでは普通の積雪ということになる.
  
  
只見線の雪景色
 
只見駅

只見駅の外にある防雪柵

除雪で積み上げられた雪の山
 
田子倉湖と田子倉駅 冬期閉鎖の駅

田子倉駅をでると六十里越トンネルで新潟県へ.
夕刻となり,梅酒で乾杯!
 
17:42小出駅到着
長い旅でした.

【公共交通案内】
●本数
会津若松から小出まで,直通する列車は1日3往復

会津武家屋敷【会津考察#21】

Aizu Samurai residence


会津武家屋敷

 


 会津武家屋敷は会津藩の家老西郷頼母邸を中心に,江戸時代の会津藩の生活・文化がわかるテーマパークである.重要文化財の旧中畑陣屋,茶室, 藩米精米所,会津歴史資料館の他に,会津の郷土料理を味わえるレストランも併設されている.

駐車場から階段を登って入口へ

家老屋敷・西郷頼母邸をぐるりと一周見て回る.

容保公接見
上級の部屋から順番に見る順路となっている.

福島県の重要文化財に指定されている旧中畑陣屋
矢吹町から移築復元されたもの.

茶室もある

弓道体験もできる
このほかに,赤べこ絵塗り体験,ガラス絵彫りができる.

【公共交通案内】
●路線バス(ハイカラさん)
若松駅→鶴ヶ城→会津武家屋敷→飯盛山→若松駅
・若松駅からバス約30分,タクシー10分

新宮熊野神社の長床(喜多方市)【会津考察#20】

Nagatoko in Singu kumano jinja shrine (Kitakata city)


新宮熊野神社(喜多方市)

 


 新宮熊野神社は,源頼義(みなもとのよりよし)・義家(よしいえ)親子が1055(天喜3)年に紀州熊野から熊野堂村(河東町)に勧請創建したのが始まりで,その後1089(寛治3)年にこの地に遷座して現在まで至っている.その中にある長床(ながとこ)は,平安末期から鎌倉初期の時代に拝殿として建てられたといわれており,長くて太い柱の配列が特徴の建築物である.直径1尺5寸(45.4cm)の円柱44本が10尺(303cm)の等間隔に5列並んでいる.1963(昭和38)年に国の重要文化財に指定されている.
長床は,1611(慶長16)年の大地震で倒壊してしまい,蒲生氏郷が旧材を用いて一回り小さくした長床(拝殿)を再建した.1974(昭和49)には解体修理が行われて,出来る限り当初の姿に復元している.境内には創建時に植えられたといわれている約8mの大銀杏があり,紅葉時には黄色に色づいた美しい姿を見ることができる.
ちなみに,1089(寛治3)年に長床が建立されたとすると,東北地方では長床が一番古くなり,その後1124年に平泉の中尊寺金色堂(岩手県)が建てられ,続いて1160年に白水の阿弥陀堂(いわき市)が建てられたことになる.

参道が続く

イチョウの木と長床

イチョウの木の下には,落ちた葉っぱで「黄色いじゅうたん」となっていた

長床(拝殿)の正面

奥の階段上部に熊野三社の本殿がある
ここが拝殿であることがわかる

太い柱が並んでいる.窓や壁はない.

3つ並んだ本殿

【公共交通案内】
●路線バス(会津バス)
喜多方駅→新宮(長床)→真木   1日5往復運行(要時刻確認)
・喜多方駅からバス約25分,タクシー15分
※路線バスは通勤通学主体のダイヤのため,タクシーの利用をお薦めします

神指城跡【会津考察#19】

Kozasi-jo Castle (Aizu-wakamatsu city)


神指城跡(北東端の櫓台の土塁)

 


 知る人ぞ知る「神指城跡」である.地図の標記では,「神指城跡」というよりは「高瀬の大木(ケヤキ)」と記されていることが多い.神指城は,慶長年間(1600年)に領主上杉景勝が家老直江兼継に築城を指示して工事を開始した.築城の目的として,会津鶴ヶ城は東に山が迫っていて拡張の余地がなかったため,徳川家康との戦いに備えて拡張のため築城したとも,東日本における中心都市をつくることが目的であるともいわれているが,関ヶ原の戦いが徳川家康の勝利に終わったため,お城が完成せずに土塁や石垣,水堀と門が完成したところで工事は中止し,幻の巨城となった.
高瀬の大木は,神指城築城前から既に大木だと言われており,根本の周囲が12.55m,樹高約25mのケヤキの木で,1941(昭和16)年に国指定の天然記念物に指定されている.なお,この高瀬の大木があるところは,二の丸・北東端の櫓台の土塁であり,本丸の土塁はここから南に300mほどいったところにあるが,本丸の土塁跡は繁みや畑などになっていて,看板などは何も建っていない.
2009年のNHK大河ドラマ「天地人」では直江兼継が主人公となっているが,直江兼継とゆかりのある史跡として,注目を浴びるかもしれない.この神指城跡は,史跡の名所としてきれいに整備されているわけではなく,築城後の跡地がそのまま400年にわたってひっそりと時を過ごしてきたといった感じ(ちょっと悪い表現をすれば「ほったらかしのまんま」)で,駐車場やお土産屋などがあるわけでもなく,田んぼの中に大木の繁みがあって,石垣の石がごろんと置かれているので,あえて説明をされないと「単なる石」だと思ってしまう.でも,このような雰囲気の方が,なんだか歴史の事実をそのまま素直に,手を加えずに伝えてくれているようで,私は好きである.この大木や石が,戊辰戦争の会津を眺めていたかと思うと,なんだか不思議な気分になる.大木の脇に立って稲刈りの終わった会津盆地と猫魔ヶ岳・磐梯山の姿を眺めて,そう思った.

何の飾り気もなく,田んぼの中にぽつんとある土塁跡地(北東櫓台)

これが高瀬の大木(ケヤキ)

ここから南に300mの本丸跡地にあった石垣の基礎石をここに移設したもの

ちょっとした休憩施設がある

高瀬の大木(二の丸・北東側櫓台土塁)と本丸との関係図
赤い矢印を入れていないが,高瀬の大木の左(西)側の田んぼの真ん中に不自然にある地図上の○線も北西側の櫓台土塁跡である

稲刈りが終わったばかりの会津盆地.背景の山は猫魔ヶ岳と磐梯山

【公共交通案内】
●路線バスなし
タクシーで約10分,距離は約5km.

塔のへつり【会津考察#18】

Tou-no-hetsuri (Simogo town)


塔のへつり

 


 「へつり(岪)」とは会津地方の方言で「危険な崖」という意味である.塔のへつりは,大川(下流にいくにしたがって,阿賀川,阿賀野川となる)沿いに広がる景勝地で,浸食と風化を繰り返してできた奇岩奇石である.百万年の歳月をかけており,1943(昭和18)年に国指定の天然記念物に指定されている.岩にはそれぞれ名前が付けられており,屏風岩・烏帽子岩・護摩塔岩・九輪塔岩・櫓塔岩・獅子塔岩・鷲塔岩などとなっている.吊橋をわたって対岸にわたって,これらの奇岩を見ることができる.また,対岸には虚空蔵菩薩がある.
 
国道121号からちょっと入ったところに駐車場がある.
大型バスも止めることが出来る.

階段を下りて吊り橋に向かう
 
階段の途中におみやげ物屋がある.ナメコ汁無料プレゼントを行っていた.

対岸から見た塔のへつり

昭和時代の看板.なんか懐かしい感じ.

1987(昭和62)年に架け替えられた吊り橋.結構ゆれます.

手すりはないので,けっこうスリル満点.

昔は奥まで歩いて行けたが,現在は危険なので立ち入り禁止となっている.

細くて急な階段を登ると,虚空蔵菩薩がある.

新緑と紅葉の時期は,より一層美しい景観となる

【公共交通案内】
●会津鉄道 「塔のへつり」駅下車 徒歩5分程度
会津若松-湯野上温泉-塔のへつり-会津田島-鬼怒川温泉-(東武鉄道)-浅草

雄国沼のニッコウキスゲ【会津考察#17】

Nikko-kisuge (The yellow lily) in Oguni-numa


雄国沼湿原

 


 雄国沼湿原は,周囲4kmの雄国沼を中心に標高1100mの高原に広がる高層湿原であり,ニッコウキスゲやヒオウギアヤメ,ミズバショウなどの高山植物が群生しており,雄国沼湿原植物群落として国の天然記念物に指定されている.雄国沼湿原は,ミズゴケやヨシなどの植物が枯れて腐食して積み重なって泥炭層をつくり,長い年月をかけて(何千年,何万年の世界で)造り上げたものである.雄国沼の高層湿原の泥炭層は深さ約1.3mあるという.高層湿原とは,ミズゴケ等の泥炭により地下水位より高いレベルに発達した湿原のことをいう.
雄国沼へは,裏磐梯の檜原湖(国道459号)から登ってくる「雄国せせらぎ探勝路」や,ラビスパ裏磐梯から登ってくる「雄国パノラマ探勝路」の登山道が一般的だが,会津盆地側の喜多方から狭い道路を利用して車で金沢峠まで登ってくることも可能である.しかし,シーズン期になると多くの訪問客がやってくることから,6月上旬から7月下旬までの期間は,ふもとの雄国萩平駐車場(駐車無料)から金沢峠までを一般車通行止めにし,シャトルバス(有料)による輸送を行っている.金沢峠から雄国沼湿原までは,整備された約500段の階段を下りて湿原に降りる.30分程度で木道を一周して金沢峠まで戻ってくることが可能であるが,静寂で神秘的な雄国沼湿原の空気をゆっくり味わって戻ってみたい.帰りは上り階段となるので,段数を数えながら金沢峠のバス乗り場駐車場まで頑張ろう.
 
雄国萩平駐車場
ここでシャトルバスに乗り換える
 
標高1000mまで約25分かけて登る
狭い道路でエンジンを轟かせながら登っていく.会津盆地のパノラマは絶景.
バスは無線機で位置情報の連絡を取り合いながら,すれ違う.
余談だが,昔マイカーで金沢峠まで登ってきたら,
エンジンがオーバーヒートしてしまった経験がある.
 
金沢峠.ここからは歩いて雄国沼へ.
最終バスに乗り遅れたらタクシーを呼ぶこともできるが・・・.

これが金沢峠から眺める雄国沼と雄国沼湿原
 
ひたすら階段を下りていく
ウッドチップが敷いてあり歩きやすい

湿原が広がる

ニッコウキスゲの中を歩く

咲き乱れるニッコウキスゲ.ユリ科の植物
漢字で書くと「日光黄菅」.朝咲くと夕方にはしぼんでしまう1日花
朝から午前中にかけてが見頃のようだが,
この写真は夕方17時頃のものであり,夕方でも見応えは十分

アヤメも咲いている

静寂な湿原の中で

五色沼自然探勝路(裏磐梯)【会津考察#16】

The Goshiki-numa nature enjoying route (Ura-Bandai)

五色沼自然探勝路(裏磐梯)

 


 五色沼は,1888(明治21)年の磐梯山噴火によって長瀬川が堰き止められて出来た湖沼群である.水中に溶け込んでいる鉱物の層(アロヘン)が太陽光を浴びることにより,青・緑・エメラルドグリーン・コバルトブルー・茶褐色(水というよりは鉄分により植物の根っこが赤くなっている)など多彩な色を見せることから「五色沼」の名称がついている.これら五色沼湖沼群は,約3.6km・1時間10分程度の自然探勝路で見ることができ,標高800mの高原に位置することから,夏でも爽やかで涼しい空気の中をハイキングすることができる.観光バスなどのツアーでは,五色沼湖沼群の中で一番大きな毘沙門沼だけを眺めて,写真を撮って帰ってしまう旅行者も多いが,多彩な五色沼を十分に堪能するためには,自然探勝路を歩かないと本当の良さは感じられない.中間に位置する弁天沼の美しさは神秘的である.
五色沼入口バス停(裏磐梯ビジターセンター隣),または裏磐梯高原駅バス停(檜原湖畔)付近には無料駐車場が設けられているので,車をそれら駐車場に置いて,帰りは路線バスで戻ってくることも可能である.休日などのシーズン期には臨時バスも運行される.なお,裏磐梯高原駅側から歩いた方が,やや下り坂のハイキングコースとなり,最後に一番大きな毘沙門沼が現れてゴールとなるので,磐梯高原駅から五色沼入口バス停に向かって歩く方がお薦めである.1時間10分となっているが,景色が変化に富むことから,あっという間に時間が過ぎ去るハイキングコースである.五色沼自然探勝路は,急な登坂はなく比較的平坦で,誰でも気軽に歩くことが可能であるが,さすがにハイヒールでは歩きづらいのでご参考までに.

緑の中をハイキングする.
ひんやりとして涼しい

そのものずばり「青沼」

るり沼から流れ出る水
裏磐梯湖沼群の水質は日本でもトップクラスで
透明度の高い,透き通るような水を見ることができる.
 
木々の間にブルーの沼が見えてきた

中間にある「弁天沼」
個人的に,最も美しい沼だと思う.
(写真ではなかなかこの美しさ・神秘さが伝わらないが,
太陽の出ているときにハイキングして,この沼が現れたときは感動する)
 
せせらぎを聴きながら休むこともできる

コケに覆われた不思議な沼(名前はないらしい)

黄緑と茶褐色の「みどろ沼」

酸性度の強い「赤沼」
植物の根っこの部分が鉄分で赤くなっている

最も大きい「毘沙門沼」
背後の山は噴火口をバックリと開けている磐梯山

毘沙門沼のお決まり撮影ポイント
背後に裏磐梯の山姿を望むことができる

磐梯東都バスの路線バスで駐車場まで戻ってくることが可能

【公共交通案内】
●路線バス(磐梯東都バス) 五色沼入口または裏磐梯高原駅下車  ハイキングコースは約1時間10分
猪苗代駅→五色沼入口→裏磐梯高原駅→桧原 (猪苗代駅から約30分)
喜多方駅→裏磐梯高原駅→五色沼入口 (喜多方駅から約1時間)
※五色沼入口・裏磐梯高原駅間は,シーズン時期に臨時バスが運行されます.

うなぎの「えびや」(馬場町)【会津考察#15】

EBIYA in the eel restaurant


大きな「う」ののれんが目印

 


 明治時代に創業した老舗の鰻屋であり,現在の店主は4代目.若松でうなぎと言えば「えびや」である.店前には炭火で焼かれている鰻の香りが漂い,大いに食欲をそそる.おおきな「う」の字ののれんが目印で,年末年始には縦長のカレンダーが配られる.うなぎはもちろんのこと,ご飯も炭火で炊かれている.かつての中央公民館の斜め前,市中心部の馬場町にある.入り口の扉を開けると,2階へ上る大きな木の階段が目に入り,冬には炭の炉が暖かく迎えてくれる.
 
歴史を感じさせる店内

観光パンフレットやお店の案内など,
お店の人が渡してくれる.

これ,たばこ盆.木製で懐かしい.
(うちのじいちゃんもこんなのを使っていた)

うな丼(きも吸い付き)
今回はサービスで茶碗蒸しもついていた.
手前の箸入れには会津のことが書かれていて,
記念に持ち帰る人も多い.

【公共交通案内】
●路線バス(市内3コース・西若松駅行・芦の牧温泉行・本郷高田行・坂下行など) 郵便局前下車徒歩5分程度
若松駅→郵便局前→神明通り→各方面
●まちなか周遊バスはいからさん 市役所前下車徒歩5分程度
若松駅→七日町駅→市役所前→武家屋敷→飯盛山→若松駅

福島見聞録【#1-#20】[一括掲載]

(このページは2007年に掲載したものです)

No.20 クリスマスイルミネーション

クリスマスのシーズンがやってきた.福島では駅前とパセオ通りの2カ所でイルミネーションが点灯している.
福島駅前イルミネーションは,東口駅前広場を中心にツリーや花壇への約5万球の電飾となっており,2007年11月30日から1月6日の16:30~22:00まで行われる(その後,2月14日まで延長されることが決定).樹木への電飾はブルーを基調としており,幻想的な空間を演出している.そして,今年は市制施行100周年を記念していることもあり,大がかりにイルミネーションを行っているのがまちなかの「パセオ通り」である.例年は数本の電飾しかされていないが,今年は約50本のほぼ全ての街路樹に約10万球の電飾を施しており,ちょっとした話題となっている.パセオ通りの電飾は最近流行の白や青の電飾ではなく,昔ながらの暖かみのある電球色のイルミネーションであり,これだけ徹底的に電飾がならんでいると,見ていて気持ちがいい.クリスマスイブには,一方通行の車道にはこのイルミネーションを一目見ようと車が列をなしていた.12月14日から翌年2月14日のバレンタインデーまで点灯しており,もうしばらくは福島版光のページェントが楽しめる.パセオ通りのイルミネーションは17:00~23:00点灯.(2007,12)

No.19 カレイナニ早川氏の講演会(コラッセふくしま)

福島駅西口インキュベートルーム講演会として,映画フラガールのダンス教師・平山まどかのモデルとなったカレイナニ早川氏の講演会がコラッセふくしまで行われた.カレイナニ早川氏は,常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)付属の常磐音楽舞踊学院最高顧問となっており,昭和39年のハワイアンセンター設立当時のフラダンス講師として,常磐炭坑で働く家族の少女達をダンサーに育て上げた人である.スパリゾートハワイアンズは,斜陽化していた石炭産業をなんとかしようと,炭坑から噴出していた温泉水を利用して東北に常夏のハワイを造ったリゾート施設で,全て炭坑で働いていた人々によって運営されていた.その施設内で行われるフラダンスショーにも,もちろん炭坑で暮らしていた少女達を起用していた.
講演は,まずフラガール映画の話から始まった.平山まどか先生が酔っぱらって登場するシーン,あのシーンには実際の育成生徒さんに対しても侮辱した脚本であるとクレームをしたそうだが,演出だと言うことでそのまま放映されることになったとのこと.女優さんのプロ意識はすごく,短期間のレッスンで驚くようなレベルに達していき,恐らく見えないところで努力していたのではないかとのこと.最後のシーンの涙は,映画とはいえダンスを習得していった女優さんたちの本当の涙だったということ.そして,ハワイアンセンター建設時代の苦労話,ハワイの話と続き,あっという間に時間が過ぎていった.(ちなみに,借金取りの話も脚本らしい)
「ダンスがいくら上手でも,礼儀や挨拶がだめでは,一流にはなれない.他人に対して謙虚に生きなければならない.」
そのため,育成の生徒さんに対して,ダンスの指導だけではなく,挨拶から箸の持ち方までマナーや礼儀についても厳しく教育していたとのこと.今では,その生徒さんも立派な家庭を持って充実した生活を送っているとのことであった.
講演最後には,なんとフラダンスを全員でレッスンすることになった.右と左にステップを踏み,お日様や波・椰子の木などを手で表現し,楽しい踊りのレッスンとなった.最後のレッスンの時のカレイナニ早川氏は,一番楽しそうに生き生きと話をされていた.予定時間をオーバーし,みんなでワンフレーズのフラダンスを踊って終了となった.本物を身につけている人の心の大きさ,余裕を垣間見ることができた.70歳を越えているのであるが,年齢を感じさせない.感性豊かで生き甲斐を持っている人は,いつまでたっても歳をとらないのかもしれない.私も,いつまでたっても感性豊かに生き生きと生きていきたいものである.(2007,11)

No.18 中合百貨店の北海道物産展

福島駅前にある老舗百貨店に中合がある.しかし,郊外型店舗のオープンや仙台への格安な高速バス運行によって,駅前の中心市街地は衰退の一途をたどり,中合百貨店もその影響を大きく受けている.中合百貨店の歴史は古く,1830年の太物行商が始まりである.そんな中合であるが,人気のある催事として「北海道物産展」が行われる.デパートの最上階にある催事場では,北海道で人気のお菓子や食材,カニが山盛りとなった弁当など,北海道に行かずとも北海道が味わえるので,いつも多くの人出でにぎわっている.先週,この催しが行われていたが,中合も人で混雑しており,最上階から下の階に移動するお客さんによって,デパート内も賑わっていた.中合は福島市でデパートと呼べる百貨店なので,頑張ってもらいたいところであるが,三越と提携している郡山のうすいなどと比べてしまうと,ディスプレイや雰囲気・品揃えなど,どうしても時代に取り残されているようなところを感じたが,現在は新たな取り組みを行って頑張っている.福島市では中合の紙袋を下げた人を多く見るので,中合のステータスは健在である.(2007,11)

No.17 珈琲グルメ(喫茶店)

福島駅前アーケード内のビル2階にムードのよい喫茶店がある.その名は「珈琲グルメ」.1979(昭和54)年にオープンした自家製焙煎の喫茶店である.店内の席は多くの女性たちで埋まっており,休日などは入り口で待たないと席につけないことが多い.カウンター席やテーブル席の他に,中央には十数名が座れる大きなテーブルがあって,少人数のテーブル席が空いていないときは,中央の大テーブルに相席で案内される.飲み物とケーキやデザートがついたセットの人気が高く,久しぶりにあった女性友達同士,つきることなく,そして途絶えることなくおしゃべりが続いていく.また,自分の好きなカップを選んで珈琲や紅茶などを飲むことができ,食べ物だけではなく,器も楽しみながら歓談をすることができる.店の空間もクラシカルで落ち着いておりムードも良い.そしてさらに,店員さんはイケメンの(!?)男性が多く,これもリピータの女性をとりこにしているのではないだろうか.駅前の中心市街地の衰退が叫ばれているが,本物を提供するお店には,人は繰り返しやってくるのであり,街全体として人々が望んでいる魅力ある商業空間を呼び込むことができれば,福島市だって賑わいは取り戻せるに違いない.(2007,11)

No.16 磐梯吾妻スカイライン

紅葉の季節がやってきた.磐梯吾妻スカイラインは紅葉の名所としても知られる有料道路で,高湯温泉から浄土平を通って土湯温泉までを結んでおり,国土交通省が制定した日本の道100選にも選ばれている.この有料道路をドライブしていると,作家の井上靖氏が名付けた吾妻八景(白樺の峰・つばくろ谷・天狗の庭・浄土平・双竜の辻・湖見峠・天風境・国見台)が次々と広がり,雄大な吾妻連邦の景観を満喫することが出来る.
通行料金は普通車1,570円である.道路地図や観光ガイドブックだけを眺めてこの値段を知ってしまうと,「ちょっと割高だな,有料道路はやめて一般道(国道115号)を走るか」などと思ってしまうかもしれない.しかし,まだ一度もこの有料道路を走ったことがないのなら,だまされたと思って走ってみることをお薦めする.空に突き抜けるように道が続き,崖のすれすれをスリリングに走り抜け,信夫山がぽっかり浮かぶ福島市街を一望し,硫黄の臭いが立ちこめて「火山性ガス注意,車を駐停車しないでください」の看板が現れると,緑だった山肌が一変して樹木の植わらない荒涼とした浄土平のダイナミックな風景が目の前に広がり,浄土平では湿原を散策して(湿原といっても荒れている.これだけ自動車や人が入り込んでいれば当然かもしれない),下りにさしかかると今度は磐梯山の屹立とした頂と猪苗代湖が眼下(磐梯山の頂は眼下というよりは水平といった感じである)に広がって,会津盆地がかすかに望める.次々と変化して過ぎ去っていく風景に感動を覚えるに違いない.
浄土平の標高は約1600mであり,福島市の標高が約65mであるので,福島市からやってくると実に1500mも車で登ってきたことになる.スカイラインまでの道のりには温泉街もあって日帰り入浴が可能なので,温泉とドライブをセットにした小旅行が堪能できる.開通は1959(昭和34)年である.今の時代だったら,大自然の中をダイナミックに貫くこのような道路は,環境意識への高まりもあって造れないと思う.ちなみに,浄土平の駐車場は有料で,吾妻小富士へのハイキング登山やレストランなどの施設を利用しようとする場合,さらに普通車410円が必要となる.4月下旬から11月中旬まで通行可で,冬期は積雪のため通行止め.(2007,10)

No.15 阿武急の日フリー乗車券

毎月第1日曜日は「阿武急の日」となっている.この日に限って乗り降り自由のフリー乗車券を大人600円(子供半額)で販売しており,福島-槻木間を乗り通すと通常片道940円であることを考えると,大変お得なフリー乗車券となっている.阿武急とは,第三セクターである阿武隈急行株式会社が運行している鉄道で,福島-槻木間の54.9kmを運行している.かつての槻木-丸森間を結んでいた国鉄丸森線を引き継いだもので,その後1988(昭和63)年に現在のように電化されて福島県側まで延伸開通した.阿武急は,阿武隈川に沿って走っていくので,富野駅を出発すると,左手に阿武隈川が見え始め,兜駅からはいままでの盆地の風景から一変し,渓谷の中を阿武隈川とともに併走していくようになる.あぶくま駅からは,阿武隈川船下りの乗船場も近い.
このフリー乗車券を発売する「阿武急の日」にあわせて,沿線自治体のイベントが催されることも多く,2007年10月の第1日曜日には,「伊達家ふるさとウォーキング(高子駅)」,「マイレールコンサート」,「角田ずんだまつり」などが開催されていた.特に,フリーウォーキングについては,年間スケジュールをたてて毎月10km程度のコースが設定されており,スタンプカードも発行されている.阿武急の日の車内にはリュックを背負った人(年配の方が多い)が多く乗車して賑やかになっている.槻木駅では,仙台駅方面のJR線との接続もよいので,追加で400円を支払えば仙台駅まで乗っていくことも可能である.精算は仙台駅で行うこととなる.仙台まで行くときに単調な景色に飽きていたら,たまには阿武急で阿武隈川の渓谷を見ながら行くのも悪くはない.(2007,10)

No.14 2種類ある高速バス「あぶくま号」(東京への高速バス)

福島から新宿(東京)までを結んでいる高速バスがあぶくま号である(片道大人4,800円,往復8,600円,ネット割引・早割あり).あぶくま号は,郡山や須賀川を経由して東京の新宿駅までを結んでおり,福島はその出発地となっている.あぶくま号は1日12往復運行されているが,福島から発着するのは1日6往復のみで,残りは郡山始発となっている.なにしろ,福島駅から新宿駅まで乗車すると所要時間が5時間以上かかるため,あぶくま号の利用者は郡山駅や須賀川・西郷からが多くを占めている.ホテルと新幹線がセットになったJRの旅行商品「TYO」を利用すれば,値段は倍以上するがホテルもついて約2時間で東京駅まで到着してしまい,また週末2日間だけ有効の「東京週末フリー切符(前日まで購入・大人14,500円・子供3,000円)」を買えば首都圏JRが乗降可能なフリー切符もついてくるので,時間の有効利用や疲労度を考えると,多少高くても福島から東京までは新幹線を選ぶ傾向にある.
福島からの高速バスには2種類の経路がある.ひとつは,福島駅を出ると福島西インターから高速道路に入り,本宮インターで降りて郡山駅に直行するタイプと,福島駅から国道4号を走って蓬莱・二本松市役所に立ち寄って,二本松インターから高速道路に入って郡山駅に向かう鈍行タイプの2種類である.新宿までの所要時間は,直行タイプで約5時間10分,鈍行タイプで約5時間35分となっている.なにしろ,須賀川・郡山・二本松と福島県内をほとんど一般道で縦断するので,国道4号線の蓬莱から坂を下るときに左の車窓に福島市街の街並みが見えたときは,「あれが福島の灯だ!やっと福島に到着した!」などと感慨深いものがこみ上げてくる.2006年12月からは福島北警察署裏あたりに無料駐車場を備えた福島高速バスターミナルを設置し,車利用によるパークアンドバスライドの実現を図っている.福島までやってくる高速バスはこの福島高速バスターミナルが起終点となっている.ただ,「福島高速バスターミナル」などと聞くと,冷房付きの待合室が完備された立派な施設を想像してしまうが,現地は待合室などはなくバス停がぽつんと立って広大な敷地(駐車場)が広がっているのみである.(2007,09)

No.13 飯坂温泉

さらにもうひとつ飯坂温泉も.福島駅から地方私鉄の福島交通飯坂線(地元では「いいでん」と呼ばれている)に乗って約20分走ると,終点飯坂温泉駅となる.摺上川の両岸に大小旅館が建ち並んでおり,約60軒の施設が存在している.大型のホテルや旅館,飲み屋もあって,東北でも有数の大規模な温泉街であったが,日本人の旅行形態の変化によって団体客が減少し,他の大規模温泉街と同様,現在は大変苦況に立たされている.温泉街に入ると廃業した旅館が多く目に付き,温泉街全体が沈降しているのがひしひしと伝わってくる.
共同浴場は9つあって,大人1人200円で入ることができるが,そのうちのひとつは松尾芭蕉も浸かったとされる鯖湖(さばこ)の湯も含まれている.共同浴場にはシャワーなどはない.泉質は単純泉で無色透明である.毎年10月の第1土曜日を中心とした3日間開催される「飯坂けんか祭り」は,日本3大ケンカ祭りのひとつと言われており,大きな山車が街中を練り歩いて飯坂八幡神社への宮入りを行ったあと,山車同士が勇壮にぶつかり合う場面は,見ていて迫力があり大いに盛り上がる.是非,飯坂へ.(2007,09)

No.12 土湯温泉

つづいて土湯温泉のご紹介.福島市と猪苗代町を結ぶ国道115号線沿いに土湯温泉はある.荒川の上流に位置する温泉街で,街の真ん中に渓流が流れている.泉質は単純泉がメインとなっているが,施設によっては炭酸水素塩泉や硫黄泉が含まれているところもある.源泉は約70カ所あるという.土湯温泉はこけしの里としても有名で,約160年前から伝統工芸が受け継がれている.温泉街にはこけしを製作する工程を実演している「土湯見聞録館」と呼ばれる施設があったり,ちょっと立ち寄るカフェがあったり,温泉たまごを販売する店があったり,無料の足湯スポットが4カ所あったりと,もともとコンパクトな温泉街は観光客がぶらっと楽しみながら歩けるように努力がなされている.土湯温泉は源泉が150℃前後と高温であり,温度調整のために加水をしているところが多いが,温泉につかると体がポカポカと温まってくる.強烈な湯あたりの心配もいらず,程よい心地よさの温泉である.各旅館では日帰り入浴をやっていて,観光協会の脇には日帰り入浴をやっている施設の情報が掲示されており,さらに観光協会では2人で1200円になる割引の日帰り入浴券を販売しているので,地図とともに入手するとよい.通常は日帰り入浴料は1人700円となっている(温泉施設によっては安いところもある).(2007,09)

No.11 高湯温泉

福島市周辺には車でちょっと走らせれば温泉が数多くある.そのひとつに高湯温泉がある.福島市から浄土平へ向かう有料道路・磐梯吾妻スカイラインの料金所ゲートのすぐ手前に約10軒ほどの温泉宿泊施設があり,坂道をぐんぐんあがった標高750mのところに位置している.特徴は,なんといっても「硫黄泉」の成分であるということ.正式な泉質名は,酸性・含硫黄-アルミニウム・カルシウム硫酸塩泉質(低張性-酸性-高温泉)であり,温度は42~51℃となっている.硫黄の成分含有では日本で有数の温泉で,効能が高いといわれている.源泉は10カ所ほどあるという.
白く濁った温泉に浸かると,体の芯から温まって,体に成分が効いている感じがする.ただし,少しでも多く成分を効かせようと思って,温泉成分を洗い流さずに浴場をあとにすることが多いかもしれないが,この高湯の硫黄泉は成分が非常に濃く加水加温をしていないので,最初は長い時間浸からずに成分を水道のお湯で洗い流して出ることを勧める.僕も欲を張って洗い流さずに出たら湯あたりを起こしてしまい,その後家に戻ってから倦怠感やだるさが出てきて,その晩はふとんに横になる羽目になってしまった.
高湯には組合で運営管理している共同浴場「あったか湯」が平成15年にオープンしており,大人250円で入浴することができる.駐車場からは源泉の配湯(分湯)状況が見れるようになっている.最近は「源泉掛け流し」という言葉が流行っているが,あったか湯のパンフレットには「自家自噴源泉完全放流掛け流し方式(加水加温無し)」と記載されているので,完全な源泉掛け流しということになる(ちなみに,加水していても一部循環させていても源泉を流していれば源泉掛け流しには該当する).なお,あったか湯は洗い場は少なくて石けんやタオルなどはついていない.広い浴場を希望する場合は,入浴料は高くなるが周辺ホテルや旅館の日帰り入浴を利用するとよい.くどいようだが,くれぐれも湯あたりにはご注意を!(2007,09)

No.10 共通駐車サービス券システム(中心市街地)

福島駅前の中心市街地では,買い物金額に応じて発行している駐車券について,約44の駐車場で共通して利用できる駐車サービス券を発行するシステムを導入している.駐車券を発行する加盟店舗は約274店舗(2007(平成19)年3月末現在).(株)福島まちづくりセンターが介在して,駐車場契約者からサービス券を回収し,加盟店舗にサービス券を発券するシステムとなっており,中心部のすべての大型店で加盟していて,車で中心市街地にやってくるのには大変便利なシステムである.共通システムがないと,商店の契約駐車場がそれぞれ決まっていて,はしごして買い物しても駐車券が利用できるところが限られてしまい,結局駐車場料金を払わなければならなくなることが多い.
加盟している店舗や駐車券には,下記のステッカーが記載されている.基本的に30分単位の発行であり,加盟店によって発券枚数は違っているが,中合やエスパル(駅ビル)などの大型店では1時間単位の発券を行っており(3000円以上で1時間,5000円以上で2時間が多い),中合デパートでは休日に限っては1500円以上の買い物で2時間無料の休日共通駐車券(休日しか使用できない)を発行している.これら全ての駐車券には有効期限があって,発行日より3ヶ月間となっている.
中心市街地でも結構品物が揃うので,極力駅前にきてぶらぶら歩いて買い物をするようにしている.お盆前の休日にはパセオ通りで花市をやっていて,お墓参り用の花(ユリ,リンドウ,ホオズキ,ふまんじゅう(食べ物)なんていうのもあった)やササなどを売っていたので思わず買ってしまった.また,会津のふるさとの盆提灯が古くなっていたので購入しようと思っていたのであるが,街中を歩いていたらサンチェ・イゲタでいいものがあったので,そこで購入した(この「いげた」の店は細長い店の中を小径として地下から半階構造の中2階方式でぐるぐると3階まで巡れるようになっていて,小物などの生活雑貨からカーテンまで品揃えがあって面白い).中心市街地の店の方は,商品のことを詳しく知っていて,いろいろと丁寧にじっくり教えてくれるように感じる.合理的な生産流通を行っているホームセンターやチェーン店のバイト店員とはちょっと違う.ちなみに,私が福島の中心市街地であったらいいと思っている店は家電量販店である.せめてヨドバシカメラのような店が駅前にあればいいのにな,と思う.消耗品であるMDやDVD,プリンタのインクや用紙なども,車で行かなければ購入できないようなので.(2007,08)

No.9 ぐう゛ぇ~,暑いぞ福島市は!

福島市の夏は「あつい」と聞いてはいたが,噂は本物,本当に暑い熱い日が続いている.日中の気温も午後になると35度近くにまで上がり,夜になっても気温は下がらず寝苦しい日が続く(25度前後).盆地特有の気候で,夏暑く,冬寒いといった傾向である.郡山市や会津若松市でも日中は気温が高くなるのであるが,福島市と違うのは標高が高い(標高200m程度)ため,夜になると20度弱くらいまで気温が下がって寝苦しさは若干和らぐ.夜の暑さは福島市の方がひどいのである.ちなみに福島市の標高は約66mとのこと.もう,クーラーが欠かせなく,夜寝るときも扇風機はかけっぱなしで,汗だくだくで寝ている.それでも,東京の夜の暑さに比べれば気温が低いと思われ,夜でも26~8度で推移するコンクリートジャングルの東京よりはまだましか,と思って自分を納得させている.この暑さが,全国第2位の出荷量を誇る「モモ」の栽培に適しているとのことであり,果物王国福島市を築いているのである(モモはうまい!).でも,早く秋が来ないかなぁ~.(2007,08)

No.8 コラッセふくしま

福島駅西口(新幹線側・中心市街地とは反対側)にある複合施設のビルが「コラッセふくしま」である.コラッセとは福島の方言で,こちらにお出でくださいという意味で,一般公募によって決められた名前である.公的機関の施設が入っており,住民票などが受け取れる市行政サービスセンターや,県パスポートセンター,県内各市町村の案内パンフレットが置いてある情報ステーションなどもある.日曜日も住民票やパスポートが受け取れるのでありがたい.
1階の観光物産館では,県内各地の名産やおみやげなどの物産を販売しており,ここにくれば県内の物産はある程度手に入れることができ,観光情報センターもある.お酒だってよりどりそろえてある.2階には市産業交流プラザがあって,福島市内にある企業の工場で製作されているものが紹介されている.そして,現在市政100周年の企画展示として,福島市の100年を振り返る写真展が開催されていて,これがとても興味深くて面白い.養蚕業で栄えた福島市であるが,明治・大正・昭和にかけて時代とともに写真で紹介されおり,市中心部の変遷や,掛田(霊山)まで路面電車が走っていた頃の写真,弁天山から松齢橋と市街地を撮影した写真,中合と山田百貨店と長崎屋と遠藤チェーンとコルニエツタヤと,まだまだ中心市街地が賑やかだった頃の写真など,企画展に終わらせず,常設展示として永遠に展示してもらいたい内容であった.
12階の最上階には創作和食料理のレストラン「Ki-ichigo・きいちご」がある.結婚式場のエルティが運営しているもので,山に囲まれた福島市街の盆地の眺望を眺めながら,ランチやディナーを楽しむことができる.12階にはレストラン以外にも,テーブルや椅子の置いてある無料展望室もあるので,高いところから福島を眺めるには絶好のポイントである.
この他にも,各種会議室やミニ図書館,中小企業を支援する経営プラザや商工会議所などがテナントとして入っており,駅前にある公的機関として便利な施設である.ちょっと余談であるが,このように市街地中心部に人を呼び戻す方策として,駅前に公的機関の窓口を持ってくる事例は増えているが,岩手県の盛岡駅前にある「アイーナ」では,県立図書館や運転免許センター,県民活動交流センター,パスポートセンター,県立大学のサテライト教室,大ホールなど,大規模で主要な規模の施設を一つの大きなビルに入れていて,規模の点では岩手県盛岡の方が上であると感じた.(2007,08)

No.7 かわまたシルクピア(川俣町)

川俣町は福島市から国道114号線で東南方面へ約22kmいったところにある町で,阿武隈高地の北部に位置する丘陵地帯である.古くから「絹の里」として栄えてきたところで,養蚕業や糸紡ぎ,機織りの技術は平安時代から伝えられているとされている.そんな川俣町の絹織物産業を展示する施設が,国道114号線沿いの「道の駅川俣」に併設されている「かわまたシルクピア」である.施設は3つの建物からなっており,絹織物産業についての文献や常設・企画展示展を行っている「おりもの展示館」,機織りや染色が実際に体験できる「からりこ館」,そして川俣町の物産を販売している「かわまた銘品館シルクピア」となっている.展示資料館は入館料150円とられるが,物産館(銘品館)は無料で入ることができ,桑の葉のソフトクリームや,特産品である川俣シャモ,絹製品などを販売している.実際展示してある絹製品を触ってみると,肌触りが全然違い,ポリエステルなどの生地と比較する展示もあって,いかに絹が肌触りがいいかを実感することもできる.(2007,07)

No.6 福島市内100円バス運行

これも市政施行100周年事業の記念イベントの1つとして行われたものである.2007年7月1日(日)に限り,福島市内を発着する路線バスは,どの区間まで乗っても1回100円で乗れるというもので,高速バスと自治体バスを除いた福島市内を発着する路線バス(福島交通・JRバス東北)が対象となっており,福島市を発着している路線であれば,福島市外まで乗車しても100円で乗車できるようになっている.せっかくの機会なので,川俣町の道の駅にある「かわまたシルクピア」に路線バスで行ってみた.
福島駅から川俣まではJRバス東北がバスを運行している.かつては川俣まで松川駅から国鉄川俣線が走っていたが1972(昭和47)年に廃止,その後の代替交通機関として松川・川俣間をJRバス(当時は国鉄バス)が運行していたが,これも今はJRバスが撤退し,自治体バスとして別会社が運行している.そんな関係からか,川俣地区はJRバスが走っている地域なのであるが,福島駅から川俣までのJRバスは,かつては浪江駅まで運行されていた福浪線の一部で,2004(平成16)年4月に問屋前・浪江駅間が廃止され,短縮した現在の形で運行されているものである.そんなJRバスに揺られ,川俣まで往復してきた.下車するときに,路線バスに関するアンケートハガキを運転手さんからもらった.
地方都市で公共交通に人を乗せるためには,現在のバス運賃では高すぎる.家族全員で休日にバスなどを利用して中心部まで買い物にいくとなると,その交通費がバカにならなくなり,駐車場代とガソリン代を払って自家用車で行った方がよくなってしまうのである.根本的に,自動車をやめて公共交通への利用促進を図るのであれば,公共交通を利用した方が経済的に安くなるようにしなければ利用者は増えるはずもなく,土日には今回のような「どこまで乗っても1回100円」,「大人最高運賃200円まで」,「大人半額」,「バスを利用したら購入製品の配送費用は半額」などといった思い切った施策をやらないと,バス利用への転換は図れない.環境負荷への低減も図れるのであるから,公共交通への補助制度をもっと導入してもよいように感じる.ちなみに,100円循環バスはすでに福島市内で導入されている.(2007,07)

No.5 ふるさと100周年・祝賀山車フェスティバル

今年(2007年)の福島市は,市制施行100周年の記念行事が目白押しである.2007年6月30日の夜に,市内全域からの山車を中心部に集結して練り歩く「祝賀山車フェスティバル」が開催された.福島市政施行100周年記念事業のひとつで,合計38台の山車(だし)が集結した.山車とは祭礼の時に飾り物をして引き出す車のことで,もともとは「出し物」の意で,神の依代として突き出した飾りに由来するのだという.国道13号線を全面的に通行止めにして祭りが行われ,市内各町内の山車が国道13号線に集結して,大きなかけ声と太鼓の囃子とともに練り歩く様子は,大いに盛り上がるものであった.
各町内の山車は色々な形,そしてお囃子のリズムがあって面白い.街路樹の樹木に当たらないように,山車の先端の部分をいちいち折りたたむのは,見ていて大変そうであった.山車の提灯の灯りも,発電機を積んで電球にしているものや,本物のロウソクを灯しているものなどあって,ロウソクを灯しているものは,ゆらゆらと光りが揺れるので風情が感じられるものである.旧長崎屋前の交差点では,最後に飯坂温泉の3台の山車による飯坂ケンカ祭り(岸和田のだんじり祭りとともに日本三大ケンカ祭りのひとつとされており,毎年10月第1土曜日に開催されている)のぶつかり合いも再現され,迫力ある山車の押し合いが見られた(でも,本物のケンカ祭りの時の方が,もっと山車がぶつかり合って盛り上がりは大きいと思われる.今回のはセレモニーである).
まだ梅雨が開けていないが,これからやってくる暑い夏に向けて,夏祭りの前夜祭的な感じがするイベントであった.余談だが,福島の夏は相当暑いと聞いているので覚悟をしているが・・・.祭りの模様はこちらへ.(2007,07)

No.4 仙台が近い(仙台行きの高速バス)

1日47往復,15分~20分おきに出ているのが仙台行きの高速バスである.片道900円であるが,10枚綴り回数券を使うと片道750円,往復1500円(2枚綴り回数券では往復1600円)で仙台まで行けてしまうのである.時間は約70分.週末になると買い物客で高速バスはほぼ満席,補助椅子を利用することもしばしばあって,平日でもビジネス利用客がおり,利用客が多い高速バスである.こうなってくると,福島市はすでに仙台圏内といった感じで,仙台に行く方がなにかと便利な地域である.仙台空港も,仙台駅から福島寄りの場所(名取市)にあり,近年の空港アクセス鉄道の開通もあって,福島空港を利用するよりも,仙台空港を利用した方が便利なくらいである.
これだけ仙台へのアクセスがよくなると,打撃を受けるのは福島市内の商店街である.ご多分に漏れず,福島市でも駅前などの中心市街地の衰退は激しく,屋台村を設置したり,イベントや祭りをまちなかで開催したりと,中心街へいかに足を運んでいただくかといった視点での取り組みがされている.花見山のシーズンには,まちなかでのイベントも開催して,駅からのシャトルバスの案内放送でPRしたりといった努力もしている.でも,品揃えの豊富さや欲しい商品が手に入るといった仙台の持っている魅力は,大きなものがある.なるべく,日用品など福島で手に入るものは,福島で購入するように心がけている.(2007,07)

No.3 アンナガーデン(聖アンナ教会)

国道115号線を土湯方面に走らせていき,ちょっと道を左に曲がって門をくぐると,小さなショップが建ち並ぶ夢のような空間が現れる.聖アンナ教会を中心として個性的なお店が並んでいるスポットが「アンナガーデン」である.吾妻連峰の山麓に位置しているので,緑が豊かであり,園内は坂を巧みに利用して個性的な建物が色々と建ち並んでおり,アイスクリーム屋,雑貨屋,パン屋,みちのく福島路ビール,英国アンティーク家具の店,うつわの店,喫茶店,駄菓子屋,ピザ屋,ソバ屋など,ぐるっと歩いていると結構面白い.
聖アンナ教会は,英国ブリストル聖ミカエル教会の格式を受け継いでいる教会で,伝統的な英国スタイルをそのまま復元した建築で,ステンドグラスは聖ミカエル教会からそのまま移設したものだとか.森の中のガーデンウエディングとして,結婚式も行うことができる.また,ここは高台に位置していることから,福島市内でも有数の夜景スポットである.家族連れ,カップルでどうぞ.営業時間は店によってまちまちであるが,大抵午後6時前後で閉店となっている.ちなみに,アンナガーデンの正門は午後9時で閉まる.入園料はなし.(2007,07)

No.2 福島県立図書館

住宅の広がる森合に県立図書館がある.正面に信夫山が迫る敷地内には,広々として開放的なスペースに建物が建っており,左側が県立美術館,右側が県立図書館となっている.1984年に現在の場所に移転しており,蔵書数は約70万冊である.県内で最も参考資料が充実している図書館であり,調べものがあったりするときには,県立図書館に足を運べば一通りの参考図書や様々な百科辞典を見ることができる.雑誌コーナーや分野ごとの一般図書も置かれており,一人10冊まで借りていくことも出来るし,県立図書館のホームページからは,蔵書図書の検索ができるようになっており,在庫があるか貸し出し中になっているか,さらに会員手続きをとれば貸し出し図書の予約までインターネットでできるようになっている.このように,資料館などの公共施設が充実しているのも県庁所在地の魅力であり,早速福島市に関連する地名辞典のコピーを行ってきたところである.
ちなみに,図書館と美術館の中間に喫茶&レストランがある.公共施設の店なので「それなり(1杯400円の天ぷらそば,500円のカレーライスなど・・・)の」メニューかと思いきや,ランチセットで1200円~1500円,ワンプレートランチで1000円程度といった本格的な料理を出す店であったので,味見は次回してみることにした.(2007,07)

No.1 ようこそ,花も「み」もある福島へ

福島市は今年,市政施行100周年を迎えている.「ようこそ,花もみもあるふくしまへ」は,福島駅の新幹線ホームやコンコースにピンクの垂れ幕が下がっているキャッチフレーズである.福島市は,1907(明治40)年4月1日に誕生した.県内では会津若松市に次いで2番目の市政施行であり,当時の人口は31,835人で面積は8.8km2であった.現在の福島市は,人口289,395人(H19.6.1現在),面積は746.4km2,市中心部には阿武隈川が悠々と流れ,信夫山(しのぶやま)がインパクトとしてそびえている.福島市を歩いてみてここ一週間程度の印象は,ファミリーが生活する場として非常に居心地のよい空間が広がっており,県庁所在地であるということもあってか,郡山のような殺伐とした商業地の都会というよりは,ゆとりのある落ち着いた住み心地のよい地域である印象を持った.これから,福島の見聞録をシリーズで掲載します.お楽しみに・・・.(2007,06)

(このページは2007年に掲載したものです)

ぶらっと!渡利歩き

福島県福島市渡利.
阿武隈川と弁天山とに囲まれた地区.そんな街の表情をどうぞ.

エリア1[ぶらっと!渡利歩き]

国道4号線で郡山方面から走ってくると,阿武隈川の弁天橋を渡ります.するとそこが渡利地区.渡利弁天山交差点で,まずお迎えしてくれるのが「キビタン」のモニュメント!
キビタンは,平成7年に福島県で開催された「第50回国民体育大会(ふくしま国体)」のマスコットとして誕生したもので,その後,平成13年に開催された「うつくしま未来博」でも,マスコットキャラクターとして活躍しています.

ようこそ!渡利へ!!(キャラクターを考えると,ようこそ「ふくしま」へ!が正しいかも?)

阿武隈川に架かる「弁天橋」
国道4号線は福島県内を縦断する大動脈です.この弁天橋で「渡利」と「鳥谷野」を結んでいます.現在の国道4号と呼ばれる道路は,南バイパスとして造られたもので,昭和47年に弁天橋とともに完成しており,渡利地区はこのバイパスの完成により,南北に国道4号が縦断するようになりました.

渡利は阿武隈川の右岸に広がっています.阿武隈川との関係は,昔から大きかったと思います.たびたび大雨によって増水する阿武隈川ですが,過去の洪水の水位が土手に設置してありました.
昭和61年8月洪水の「ここまで水位が上がりました」が,近年では一番大きな洪水になっています.

土湯から流れてくる荒川と阿武隈川の合流点.昔は大きく「荒れた川」だったのでしょうか.子供たちが,川で遊んでいました.

渡利と杉妻町・荒町とを結ぶ「天神橋」
橋の背景に見える高い建物が,福島県庁の西庁舎となっています.渡利から福島駅へは,この天神橋を渡る方が,距離的に一番近くなっていますが,自動車を利用するときは,国道4号線を超えて天神橋に向かわなければならず,裏道的な道路を通っていかなければなりません.

阿武隈川の土手には,川を管理する国土交通省によってテレビカメラが設置されています.洪水時には水位状況を把握する上で,役立っていることでしょう.

阿武隈川に架かる「大仏橋」
大仏橋と書いて「おさらぎばし」と呼んでいます.この橋は「渡利」と「舟場町」を結んでおり,郡山から国道4号を北上していくと,つまりは,2回阿武隈川を渡ることになります.弁天橋で渡利に入って,大仏橋で渡利を去ることになります.渡利側の地名は「渡利舟場」といい,対岸の地名は「舟場町」.歴史をひもとくと,どうやら「渡し船」との関係がありそうです.(詳しくはエリア2の松齢橋で)

イタリア料理店「Di VERDE」
弁天橋の橋詰めにあるイタリア料理店.ちょっと洒落た雰囲気を味わいたいときはお薦めです.福島駅ビルにあるDUCCAと同じ系列店です.無休.24時まで営業.

コーヒーショップ「サリバン」
パスタやピラフなどもある本格的な珈琲を出す喫茶店で,いつも混雑している人気店です.国道4号沿いにあり,ランチタイム(11:30~15:00)にはサラダと飲み物のつくセットもあります.店内は木目調となった落ち着いた店内で,奥の空間が禁煙席となっています.ただし,乳幼児(5才以下)の子供は入店お断りの店なのでご注意を.料理は「Sullivan」のマークが入ったお皿に盛られています.1975年創業.月曜定休.22時まで営業.

エリア2[ぶらっと!渡利歩き]

松齢橋(しょうれいばし)
1925(大正14)年に架けられたもの

松齢橋の架かっているところには,かつて「信夫渡(しのぶわたし)」と呼ばれる渡し船がありました.渡利(右岸側)の舟場と杉妻町・舟場町(左岸側)とを結んでおり,江戸時代の渡利は塩の供給路として重要な役割を担っていたのです.渡利は,相馬方面の中村街道や飯野・川俣とを結ぶ街道が集まっており,渡利を経由して福島城(現県庁)や奥州道と結ばれていました.
渡し船は2艘あったとのことですが,暴風雨や増水により転覆事故が度々発生していたため,1883(明治16)年に船橋による橋が造られ,当時の福島県令三島通庸により「松齢橋」と命名されました.この船橋とは,舟を川に15艘並べて(浮き橋),鉄線でつないで両岸に柱を立てて舟をとめ,その15艘の舟それぞれに4本の柱と櫓を組んでその上に板を並べて橋としたものでした.この写真は今でも残っており,コラッセふくしま3階の「福島市産業交流プラザ」で福島市100周年の特別展で現在展示されています(2007年8月現在).
その後,この船橋は度々流されたので,1925(大正14)年に,旧松齢橋の上流100mのところに,鋼製の松齢橋が架けられ,これが現在の橋となっています.

欄干の街灯もレトロでオシャレです

橋には「大正十四年十二月竣功」と書かれたプレートが埋め込まれています.

左が国道4号の大仏橋.右が松齢橋.


渡利舟場.かつては交差点にセブンイレブンがありましたが,今はありません.

国道4号線の下をクロスする県道.松齢橋(渡利舟場)から天神橋方面に向かうことができます.降雨時に冠水する場合があるので注意!

コープマート渡利.街の小さなスーパーマーケットです.渡利のスーパーは「コープマート」の他に,「いちい」があります.

中華料理「十八番」
酢豚やエビチリなど本格中華もある中華料理店です.豚角煮のあんかけがのっている「十八番ラーメン」がメニューのお薦めとなっていますが,入店してきた半分くらいの人が注文していたのが「五目焼きそば」でした.見た目には庶民的な飾り付けなのですが,食べてみるとおいしい味で,次々と人が入ってきます.店内は机が多くあって結構広い.水曜定休日.11時-15時/17時-20時営業.

南高校近くにある「みぎわ靴店」.ダンスシューズなどと書かれており,味わいがあっていい.

七社宮神社(しちしゃのみや).境内には,松齢橋の碑が2つ置かれており,当時の橋建設について記載がされています.

松齢橋の碑

エリア3[ぶらっと!渡利歩き]

渡利といって思い浮かぶ飲食店は,やはり「喜久寿し」でしょう.国道4号線からもよく見えますので,一度は目にしたことがあるお店でしょう.お寿司やうなぎ,天ぷらなどがあり,晩酌セット2000円なんていうのもあります.定休日は木曜日.11時~14時/16時~22時営業.

喜久寿しの脇道をちょっと入った住宅街のど真ん中に,市立わたり保育所があります.朝8時頃の,窓越しに手を振って親と別れる子供達のちょっと寂しげな笑顔が印象的です.

弁天山の上には,渡利浄水場(現在は摺上川ダムからの導水により廃止)の配水池があります.そこから市内各地へ水道を配水するための水道管が道路下に埋設されているらしく,このような看板が立っています.

突然現れる「石」.石と言うよりは「岩」と言った方がよいですが,なにか言い伝えのある岩なのかもしれません.ちなみに,道路の向こう側の地名は,渡利字転石(ころげいし)といいます.これも何かのつながりでしょうか?
この石については,渡利のアパート関係を扱っている「ふくふく不動産」(国道4号沿いの弁天渡バス停前)の方に教えていただきました.ちなみに,渡利でアパートをお探しの方はお薦めの不動産屋です.

国道4号沿いのセルフ式ガソリンスタンド「会津ゼネラル」 土日になると会員は5円引きになるなどの割引を行うため,週末にはガソリンを入れにくる車で混雑しています.機械洗車も1回200円,ただし布洗車機ではありません.

そのゼネラルスタンドの先に,ひっそりと佇んでいる「福島りょうぜん漬」の販売店があります.車で入りづらいところにあり,見逃してしまいそうですが,おみやげに「りょうぜん漬け」の漬け物は喜ばれます.


福島市役所の渡利支所.住民票などはここで揃います.

支所前にあるコープマート渡利.ちょっとした買い物には便利です.総菜コーナーもあります.

福島南高校&福島中央高校
普通科は南高校,夜間の定時制は中央高校と名前が変わる高校だそうです.

その南高校前にある弁当屋「するがや」.弁当だけではなく,お総菜なども売っていて,聞いたところによると,鳥の唐揚げは名物です.

街を見守る交番.支所前.国道4号沿い.


喜久寿しのところから,中に入ったところに渡利郵便局があります.でも小さな郵便局なので,日曜日にATMでお金を降ろすことは出来ません.

街のほっとステーション「ローソン」
渡利のローソンは,住宅街のど真ん中にあって,夜などは灯りが暗闇の中に煌々と光っているので,本当に「ほっとステーション」という感じのコンビニです.

ローソンの斜め向かいにある「三共タクシー」 タクシーに乗りたいときはここに電話をすれば,迎えにきてもらえます.

渡利地区には,福島駅から2つの循環バスが走っています(1時間に1~2本程度).「渡利循環」と「渡利大回り」です.狭い渡利の住宅街を縫うように走っていくため,ちょっと小さめの中型バスがやってきます.ルートが複雑で,循環がいいのか,大回りがいいのか,はじめのうちは迷うバス路線ですが,地元の人には理解ができ,住んでいるうちに分かるようになってきます.

渡利地区は道路が狭く,その道が直角に交わっている交差点が多くあるため,カーブミラーがやたらと多く設置されています.運転するときは徐行して注意しながら走らなければなりません.

そば処「Q.庵」
弁天山の麓にあるそば屋です.北海道産のそば粉を使っています.店内は大きなテーブルが座敷とフロアーに2つのみ.10人くらいで囲む形で座るようになっています.ですから,2人で行っても相席となります.最近は,赤提灯が出るようになって,夜のお客さんも歓迎しているようです.

エリア4[ぶらっと!渡利歩き]

渡利で最も大きいスーパー「イチイ」
駐車場には焼き鳥を販売する店もあって,ついついあの匂いにつられて,焼き鳥も買ってしまいます.お酒が安いとの評判も.

居酒屋「えんや」
スーパーイチイの斜め前にある居酒屋「えんや」と美容室「EN(エン)」.居酒屋の方は,一時期営業を休んでいましたが,また最近営業を再開したようです.

イチイの近くには福島銀行もあります.渡利には東邦銀行も郵便局もありますので,何かと便利です.

「風と木(ふうとぼく)」
沖町にあるカフェです.玄米を中心とした自然食を出すお店で,野菜が多く使われているランチが食べれます.店内は木造で落ち着いた雰囲気.隣のアパート1階にはギャラリーもあるので,満席の時は時間をつぶすことができます.営業は平日は11~15時,土日祝日は11~19時まで.

食酒三味「豆蔵」
風と木の向かいにある居酒屋.住宅街の渡利にあって,貴重な居酒屋のひとつ.店内は宴会などもできる広さがあり,送別会や暑気払いなど,大人数での宴会も可能です.
名物は,ヘルシーな牛もつ鍋,やみつきになる手羽あげ.牛もつ鍋は,醤油味とカレー味が選べ,食べたあとにはチャンポン玉(太麺)を入れて仕上げればお腹いっぱいになります.(野菜が多く,モツがちょいと少ない品ですが・・).箸置きがナッツとなっているところ,「まめぞう」という感じです.

エリア5[ぶらっと!渡利歩き]

渡利整体院
岩崎町簡易郵便局の近くにある整体院です.かつて花見山の近くで開いていたものを移転させて開業したとのことで,隣に小さな託児所のある平屋建てアパート(真新しいとは言えませんが)の一室で開業しています.基本は10時~16時の営業ですが,木曜日と日曜日のみ夜22時までやっています.45分3,500円~で完全予約制です.別料金で出張もやっています.

小舟の茶屋「くりや」
小舟という地区にある蕎麦屋.飯舘産のそば粉を使用したおいしい蕎麦がだされます.花見山に向かう方面の途中にありますが,住宅街の坂の途中にあって,非常にわかりずらいでしょう.駐車場も小さくて,前の道路に駐車して店にはいります.猫をたくさん飼っているようで,店に入る前に「ニャーニャー」とお出迎えされます.天ぷら付きのそばが1000円前後と,非常に手頃.味も美味しく,お薦めのお店です.コーヒーも付きます.店内はカウンターとテーブルが2つのみの小さなところなので,時間を見計らっていきましょう.火曜日定休日.

エリア6[ぶらっと!渡利歩き]

このエリアには,桜の名所として有名な「花見山」があります.
花見山についてはこちらのページへどうぞ.

スタートまで[阿武隈川カヌー駅伝大会物語#1]

福島県中通りを流れる阿武隈川.西白河郡西郷村を源流として白河市・郡山市・福島市と福島県内を縦断し,宮城県の亘理町で太平洋にそそいでいる.「川に親しみ,川との触れ合いを通して自然のすばらしさや大切さを改めて再発見し,阿武隈川の舟運の歴史を偲び巡りながら,上流から下流までの人々の交流の輪を広げる夢を託す」という趣旨で,第1回阿武隈川カヌー駅伝大会が開催された.(主催:阿武隈川サミット実行委員会(事務局:福島市役所))
スタート地点は福島県福島市のわたり水辺の楽校と呼ばれる河川敷,約5~12kmごとに設けられた8つの中継地点でタスキをつなぎ,宮城県亘理町の船着場まで74.9kmの区間を2日間に渡ってタイムを競う大会である.全国的にもカヌーの駅伝大会は珍しいという.
参加チームは各沿川市町村の住民などで構成された16チームあり,我々も「チーム山土(やまど)」というチーム名で参加することになった.(私はサポート隊で車の提供とドライバー,そして取材広報!?(つまりHP作成)という役目を担った)
無事,ゴールまでたどり着けるのか!物語の始まりです.

撮影日:2007(平成19)年9月29日~30日開催


1.プロローグ

それは,携帯電話への一通のメールから始まった.
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日付:2007,07,23
件名:協力依頼m(_ _)m
内容:お願いがあります.・・・9/29,30の土日に第1回阿武隈川カヌー駅伝(県庁前~河口)があります.1チーム最低7名が必要となります・・・初心者でも全然OKです!選手じゃなくて,サポートでもOKです! 皆様のご協力をお待ちしております.
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メールの送信者はカヌーやラフティングの経験のあるI氏だった.メンバーに一斉送信をしているらしい.このI氏からは度々週末のお誘いメールが来ており,本当ならば断るときもきちっと返信するべきだが,10年前の職場からつきあいの続いているメンバーの一人であり,気心の知れた仲間でもあり,「また,いつものお誘いメールか.ほっとけばそのままお流れになるだろう!」と感じ,そのままほったらかしにしておいた.
そして,その1週間後,再びメールが入った.
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日付:2007,07,29
件名:お願いですm(_ _)m
内容:BANCHANさん,9/29,30のカヌー駅伝ご協力頂けないでしょうかm(_ _)m カヌーには乗らないで結構です.車回し等の応援をお願いしたいのですが・・・お願いですm(_ _)m
今のところ,F氏,G氏,E氏,N氏と私(I氏)の5名です.あと2名必要なのですが・・・BANCHANさんとN氏の友人のT氏にお願い出来ればと思っております.
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m(_ _)mマークが3つも入っていた.そしていつになく丁重な文面.どうやらこれは本気らしい.サポート隊として車の提供とドライバー,そしてメンバーの写真を撮影する広報担当として,私も阿武隈川カヌー駅伝大会にエントリーすることになった.

2.練習を経ていよいよ当日

今回のカヌー大会は,プロの競技というよりは,全くカヌーを経験したことのない人も対象としている.そのため,未経験者には事前に1日間の練習を行ってから参加することとなっている.練習は,スタート地点から第1区間の手前までの区間で行った.
カヌーには3人乗り込んで,パドルと呼ばれる水を掻くための漕ぎ棒を持つ.パドルは水を掻くブレードが1つだけついたシングルパドルを使用する.一番後ろの人は「舵取り」といって,カヌーの方向性を掌る役割もあって,それぞれがバランスよく漕いでいくことが求められている.練習はなんとかこなし,本番の当日を迎えることとなった.

福島県庁を背景にスタートを待つカヌー達

大会参加の受付テント

漕ぐための道具・パドル シングルタイプ

盛り上げグッズ・鳴り物の「笛」

いよいよ大会当日,秋晴れとなった.気温も暖かく,絶好のカヌー日和である.我々チーム山土のメンバーは,土休日は無料開放される福島県庁前駐車場に一旦集合し,移動車に乗り換えて,スタート地点である「わたり水辺の楽校」へ向かった.
受付を済ませたあと,貸与されるパドル,ライフジャケット,そしてなぜか応援グッズである鳴り物の「笛」も手渡され,出発への準備を進めた.
さて,当日集まった7人のチーム山土(やまど)のメンバー達.かつての職場で苦楽を共にした若者(当時)集団であり,私が最年長の部類に属している.集合時間は朝8時とあって,みんな目が充血しており,顔が青白く,冴えてない様子.はっきり言って,全然気持ちが盛り上がっていなかった.
「結局,誰も参加者がいなくて,お流れになると思っていたのに~」
「俺なんか,名前貸してくれって言われただけなのに,こんなことになっちまったよ~」
「残業続きで,大会に参加する体力がないんだけど・・・・・」
みなさん,ブーブーのご様子.カヌー経験者は,チームリーダーのI氏のみ.彼だけは,朝からテンション高く張り切っていた.それでも,これだけ正直に意見が言い合えるのも,気を遣わなくていい気心の知れた仲間という証.何だかんだ言っても,ジャージに着替えて現地までやってくるのだから,チームメイトとはありがたい,ありがたい(I氏に代わって代弁).

さて,競技について簡単に説明すると,カナディアンカヌーを3人一組で漕ぎ,駅伝方式でタイムを競うタイムトライアルレースである.1日目は福島市の「わたり水辺の楽校」をスタートし,途中の中継地点で駅伝形式のリレーを行って,2日目の亘理船着場を最終ゴールとするものである.駅伝形式といっても,途中の中継点では一旦カヌーを陸に揚げて全艇一斉再スタート方式を採用し,タイムを集計していき最も少なかったチームが優勝ということになる.
中継地点は全部で8カ所,合計9区間あり,1日目は宮城県角田市の角田船着場までの6区間,2日目は角田から亘理までの3区間となっている.1区間あたりの距離は5.1km~12.5km,1時間から1時間半程度となっている.リレーのタスキとして,ペットボトルに入った「阿武隈川源流(福島県西郷村)の水」を河口まで繋いで運んでいく.

参加チーム数は全16チームである.チーム名を紹介する.

①西郷・白河源流チーム ②玉川カヌークラブ ③買いましたカヌーチーム ④チーム大玉 ⑤アウトドア倶楽部 ⑥安達ファイヤーズ ⑦UFOの里飯野町 ⑧阿武隈OYAG’Z ⑨チーム山土(やまど) ⑩福島市役所R&Sスポーツ同好会 ⑪CITY.伊達 ⑫Team SHIBATA ⑬亘理町 ⑭がんばろう仙台 ⑮Team南 ⑯ふぐすま転覆隊

それぞれ個性的なネーミングで面白い.沿線の住民や自治体関係者,大学の学生チームなど,多彩な顔ぶれとなっている.

プラカード

タスキとなる「阿武隈川源流の水」

スタート間近 コースの最終確認

チームリーダーより連絡事項

スタート前の写真 みんないい笑顔が見られます
(悪いことはしていませんが,プライバシー保護のため目隠しをしています)

3.開会式とスタート

さて,開会式となった.福島市長や国土交通省,福島県など来賓からの挨拶が続き,そして各チームの紹介となった.司会者から順番にチーム名などが紹介されていき,いよいよ9番目,我々の番となった.

「続きまして,チーム山土(やまど)です.・・・・正直言って,このチーム名,何が言いたいのか分からない名前なのですが,とにかく,かつて職場が一緒だったメンバーだとのことで,福島市からの参加となっています.皆さん独身だそうで,優勝した暁には独身貴族を卒業することを誓うとのことです.」

司会者から痛烈なパンチ! 確かに,「山土(やまど)」という名前,分かる人にしか分からないチーム名である.これはかつての職場の略称なのである.世間的にはとりあえず,山と土とを愛する自然派集団ということにでもしておこう.

開会式 福島市長ごあいさつ

タスキの授与(河口まで繋げるか?)

まもなくスタート! 競技者全員集合

第1競技班 いよいよカヌーに乗り込む

いよいよスタートの時がやってきた.スタートの合図は,いつの間にか国道4号線の大仏(おさらぎ)橋に移動していた福島市長が,白い旗を振ったらスタートとなる.全16艇,緊張の一瞬である.太平洋の河口に向かって,阿武隈川カヌー大会の始まりである.
そして,スタートの旗が振られ,全艇一斉スタートをきった.チーム山土はゼッケン9番,無事にゴールまでたどり着けるのか.

あとは合図を待つのみ

大仏橋から市長が合図を送る

スタート直後  チーム山土は左に傾いているような・・・!?

スタート→県境手前[阿武隈川カヌー駅伝大会物語#2]

スタート:渡利水辺の楽校(県庁裏)⇒①第1中継地点:瀬上河岸(福島市)⇒②第2中継地点:伊達崎河岸(桑折町)⇒③第3中継地点:中田河岸(伊達市)

4.第1中継地点(瀬上河岸)まで

スタート地点を出発したカヌーは,緩やかに流れる阿武隈川を,第1中継地点である瀬上(せのうえ)に向けて下っていた.途中,橋の上からポツポツとやってくるカヌーを見ることができ,カヌーに向けて応援をする市民達が集まっていた.第1中継地点までは8.3km,約1時間のタイム予想となっている.そして,第1中継地点にはカヌーが続々とやってきてゴールとなった.

チーム山土第1班,順位は第9位,タイムは57分.全16チームなので思ったよりも好成績.
「めっちゃ疲れる! 漕ぐ手を休めることができないよ~」
「カメラで景色を撮っている余裕なんて全然ない!」
とのこと.約1時間もパドルで漕ぎっぱなしなのだから,体力的には相当きつい.カヌー競技者の顔色が力を出し切った表情となっていた.チーム山土は2班体制で1区間ごとに交代していって本日の全6区間を制覇するチーム編成としており,ゴールした第1班はあと2区間漕がなければならなかった.
漕ぎ手を第2班へと交代し,第2中継所へ向けて,再スタートをきっていった.

橋の欄干から見たカヌー

第1中継地点(瀬上)
岩がゴツゴツと露出している箇所である

再スタート地点に行くまでは,長靴などが必要

再スタートとなって,第2中継地点へ向かう

5.第2中継地点(伊達崎河岸)まで

第2中継地点は小石の広がる河原であった.続々とカヌーがゴールしていたが,チーム山土は後ろのほうらしい.到着したときは皆息切れしており,ゆったりと周りの風景を楽しんで眺めながら阿武隈川をカヌーでくだるというのではなく,タイムを競う駅伝大会なのである.
ゴールしたカヌーは,漕いでいるときに入り込んだ水で濡れており,競技者のユニフォームもびしょ濡れとなっている.カヌーをひっくり返して水を出し,再び次の区間に向けて,スタート地点までカヌーを運んでいく.
第2中継地点では,1回漕ぎ終わったメンバーが一同に会して,漕いでみた感想を語り合っていた.途中のコンビニで買った滋養強壮に効果のある「リポビタンD」を差し入れて,次の区間に向けて体力を保っていた.1回目の感想としては「思ったよりもきついねぇ~」という言葉が一番最初に出てきた.「川を眺めている余裕なんてないよ!」 これも素直な感想であろう.
そして,第1班に再びタスキを渡して,第2中継地点を再スタートした.スタート直後の「チーム山土」はというと・・・・.状況は下の写真で.

第2中継地点(伊達崎)は小石の広がる河原

続々とゴールするカヌー達
(チーム山土は遙か後ろのほう!)

ゴールしたチーム山土第2班
「疲れた~」といった感じで息が切れている

カヌーの中には水が入ってびしょ濡れ
ひっくり返して水を出してから再スタートとなる

1回漕いでみて,感想を語り合うメンバー
リポビタンDを飲んでファイト一発!

スタートの模様を動画で

第2中継地点スタート直後
1艇ひっくり返っている(沈).もしかして・・・

予感は的中! ゼッケン9「チーム山土」だった
頑張れ!

6.第3中継地点(中田河岸)まで

第3中継地点は福島県内で最後のポイントとなる.移動中の選手はというと,体力回復のため?至福の一服の時である.だんだんと丘陵地となっていき,県境に近づいてきているなという風景になる
この区間のチーム山土のタイムは,最初の沈(カヌーがひっくりかえって沈むことを「ちん(沈)」と言っている.2艘ひっくりかえれば「ちんちん」ということか?)がタイムに大きく影響し,堂々の16位.スタート時のカヌーの並びは,前区間の到着した順番となっており,一番上流側(つまり最下位)からのスタートとなる.

陸上移動時 「至福の一服!」
もちろん吸い殻は携帯灰皿へ捨ててます

第3中継地点(中田)は茂みの中を歩いて河岸へ

看板を超えたらゴール

チーム山土第1班ゴール

ひっくり返して水を出す

前区間の到着した順に並べてスタート
チーム山土は一番手前.手前が上流.ということは・・

7.いよいよ県境に向けてスタート

第3中継地点(中田・福島県伊達市)から第4中継地点(大張・宮城県丸森町)までは,このカヌー大会で最大の難所とされている県境越えの区間となる.いままでの田畑が広がる田園地帯から,緑の山が屹立と迫るあぶくま渓谷となるので,風景としては最高なのであるが,流れとして捉えると,岩の露出があり,流れの速い瀬があり,馬洗滝・猿羽根滝・野呂滝といった流れの速いせせらぎがあったりと,上級者にとっては張り合いのある面白いコースであるが,初心者にとっては難しいコースとなる.
共催となっているリバーズネット阿武隈のかたから,第4中継地点までの選手を集めて,コースやひっくり返ったときの注意点などについて説明があった.もちろんひっくり返ってもすぐに救助できるように,モーターの付いたボートも併走しているのであるが,川に落ちたときは乗っていたカヌーにつかまるようにとのことであった.このリバーズネット阿武隈のかたのアドバイスは,選手にとって心強いものがある.未知の区間への不安と緊張感を胸に抱えて,県境越えの阿武隈川へ16艇一斉に再スタートをきった.

次の第4中継所までは,難所の県境越え.
リバーズネット阿武隈の担当のかたからコース概況などの注意点について説明を受ける

難所の県境へ向けて,スタートをきっていった.

県境→1日目ゴール・角田市[阿武隈川カヌー駅伝大会物語#3]

③第3中継地点:中田河岸(伊達市)⇒(県境 福島県→宮城県)⇒④第4中継地点:大張(丸森町)⇒⑤第5中継地点:丸森船着場(丸森町)⇒⑥第6中継地点:角田船着場(角田市)

8.第4中継地点(大張)まで

このカヌー大会で最大の難所とされている県境越えの区間である.沿道の道路から阿武隈川を見てみると,どのチームも苦戦していた.急な流れによって次々と「沈」しているのである.いままでの田畑が広がる田園地帯から,緑の山が屹立と迫るあぶくま渓谷となるので,風景としては最高なのであるが,流れとして捉えると,岩の露出があり,流れの速い瀬があり,馬洗滝・猿羽根滝・野呂滝といった流れの速いせせらぎがあったりと,初心者にとってはやはり難しい.半分以上のカヌーがこの区間で「沈」したということである.あまりにも流れが速いところや浅瀬となっているところは,カヌーでの通過を禁止し,急遽陸上(河岸)をカヌーを持ちながら歩いて移動していた.
この渓谷を抜けると,流れは緩やかとなって,第4中継地点に到着となる.次の中継地点の再スタート予定時刻は14時30分であったが,時間になっても1艇も到着しなかった.それだけ難所の区間なのであった.最初のカヌーが現れると,河岸で待っていたギャラリーは大きな声で声援を送った.そして,大きな拍手で選手達をねぎらっていた.既に15時を回っており,前(第3)中継地点の再スタートが13時だったので,2時間以上カヌーとともに戦っていたことになる.

矢印のところに「沈」して流されているカヌーがいる

救助艇によって救助される

カヌーを持って河岸(陸)を移動する選手達(左から2番目がチーム山土)

漕げる場所まで歩いていくチーム山土

なかなか到着しないカヌーを待つ選手

第4中継地点は山に囲まれたところ

約1時間遅れてカヌーがやってきた.みんな総出で労いの拍手を送る

「がんばれ~ あとちょっとだ~」

やっとゴールしたチーム山土

区間タイム(順位)を見るメンバー.現在12位

時間がおしている.選手を交代し,すぐに再スタートとなって,河口を目指した.

9.第5中継地点(丸森船着場)まで

県境を越えた阿武隈川は,再び緩やかな流れとなっていた.第5中継地点(丸森)からは船着場が整備されており,そこがリレーの中継地点となっている.
チーム山土の成績は現在12位.朝のスタート地点では冴えない顔をしていたメンバーであり,第1・2中継地点での最初の競技を終えたときは疲労困憊の顔つきをしていて,このままゴールまでもつのかと心配していたが,段々と競技に慣れてきたのか2回目の競技を行った後は,みな顔つきが穏やかになっていた.
そして,
「どうやったら早く漕げるのだろう」
「いくら一生懸命漕いでもだめで,3人がリズムを合わせて漕がないと前に進まないよ」
「先頭の人が右側を漕いでいるときは,後ろは左側を漕いで,バランスを保たないとまっすぐ進まない」
「3人のコミュニケーションというか一体感が必要だ」
などといった感想が聞かれるようになっていた.
さあ,第5中継地点で選手交代すれば,本日最後の区間となる.疲労がピークに達しているが,もう一踏ん張りである.

第5中継地点(丸森船着場)

上陸地点を誘導するスタッフ

続々とゴールを目指すカヌー

チーム山土もゴール

第5中継地点での再スタートではちょっとした沈ハプニングがあった.スタート直後のカヌー達は我れ先に本流を目指して漕いでいくのであるが,そのときにあまりにも隣同士が接近していると,カヌー同士が接触して「沈」してしまうことがある.特に,第5中継地点では,コンクリートの岸壁があるために,一旦斜め上流側へ漕いでから下流側へ舵をきってカヌーを進めていくこととなっており,上流側に向かって漕いでいたカヌーがそれぞれの判断で下流へ舵を切ったときに,平行に漕いでいた隣のカヌーと接触して「沈」してしまったのである.
チーム山土はこれに巻き込まれることなかったが,3艇ほどのカヌーが沈をしていた.それでも,救助艇の救助により直ぐに体制をたて直し,ちょっと出遅れたがゴール目指して再び勇壮に漕いでいった.

スタート直後.一旦斜め上流に行ってから下流側に舵をきる

しかし,接触により次々と「沈」

これに巻き込まれなかったカヌー(上側)は,ゴール目指して漕いでいった

救助艇によって体制を立て直す.川は流れているので,放っておくとどんどん流される.

10.1日目のゴール・第6中継地点(角田船着場)

1日目最後の区間は約10kmの区間であった.だんだんと大きくなっていく阿武隈川をひたすら漕いでいく.そして,角田市にある船着場にカヌーが到着するころには,あたりは暗くなりかけていた.
全16艇が無事ゴールをすることができ,それぞれの選手たちが達成したという喜びの笑顔を浮かべていた.今日の区間は全6区間,まだ明日の3区間が残っている.ひとまず,1日目の駅伝レースを完走し,明日のレースへ備えるため,旅館へと向かった.

阿武隈川を漕いでいく

チーム山土のカヌー

1日目のゴール・角田船着場

17時をまわり,あたりが暗くなっていた

投光器を照らし,福島中央テレビの取材クルーもカヌーの到着を待っていた

ゴールしたチーム山土.笑顔が漏れていた.

1日目ゴール直後の「チーム山土」.みんないい笑顔になりました.

駅伝のタスキ(源流の水)もカヌーとともに河口を目指している.

2日目スタート→ゴール[阿武隈川カヌー駅伝大会物語#4]

⑥第6中継地点:角田船着場(角田市)⇒⑦第7中継地点:柴田船着場(柴田町)⇒⑧第8中継地点:岩沼船着場(岩沼市)⇒⑨ゴール:亘理船着場(亘理町)

11.2日目がスタート

さて,2日目となった.午前中,あと3区間を制覇すればゴールとなる.昨日の疲れがとれておらず,朝は相変わらずみんな調子が悪そうであった.今日の3区間の距離は,順に12.5km,6.2km,5.1kmとなっていて,河口に行くほど区間距離が短くなっている.ラストの区間は昨日もあわせた全9区間の中で最も短い距離となっている.このため,
「ラストの区間は距離も短いし,ゴールのテープを切れるので,花を持たせるため女性や年配者を選手にするか」
と判断するのは甘い.リバースネット阿武隈の方によると,最後の区間が最も体力的にはきつい区間なのだそうである.つまり,河口に行くにしたがって川の流れは遅くなり,風向きや潮の満ち引きの関係で,場合によっては逆流していることもある区間だとのこと.全力を挙げて漕がないと前に進まない区間なのである.そう考えると,1日目のコースよりも,2日目のコースの方が,より一層漕がなければならず,体力勝負の区間ということである.
2日目も開会式があり,亘理(わたり)町長からの挨拶があって,スタートとなった.スタート直後,本流に向かって漕いでいると思いきや,浅瀬に乗り上げてしまい,カヌーを押して本流に向かっているチームが次々とでていた.

濡れたウエアーを旅館で乾かす.暗闇で見ると陰が不気味.

2日目の朝,調子が悪そう.二日酔いか?

2日目のスタート前にも開会の挨拶があった

準備OK

さぁ,2日目も頑張れ

スタートをきった

と思いきや,みんな浅瀬に乗り上げて,カヌーを降りてジャブジャブ押していた!!

12.第7中継地点(岩沼船着場)まで

宮城県の阿武隈川には船着場が整備されていて,コンクリートで造られている船着場が中継地点となっている.チーム山土は,第7中継地点にゴールする直前,浅瀬に乗り上げてしまい,バランスを崩して川に落ちてしまった.この模様をテレビカメラが捉えており,福島中央テレビの夕方の情報番組「ゴジてれシャトル」で後日放映された特集コーナーで,この模様がばっちり写されていた.

第7中継地点(柴田町)にゴール.2日目は抽選で赤いカヌーとなった.

ファイト!一発!リーダーは本日3区間連続登板!!

柴田船着場から再スタート.チーム山土は一番右.最下位.でも,最下位は2区間のみである.

最下位からのスタートの模様(動画)

ギャラリーからは笑い声が聞こえるような・・・「漕げー,漕げー」 思うように真っ直ぐ進まない

本流を目指す

さぁ,次は岩沼だ

13.第8中継地点(岩沼)まで

河口に近づくにつれて,阿武隈川の川幅も大きくなっていた.途中,阿武隈大堰があり,そのままカヌーが通過できないので,堰のところでは一旦カヌーを陸上に上げて,選手は数百メートルを走って移動していた(カヌーは車に乗せて移動させる).
岩沼では工場を背景に,小さなカヌーがゴールを目指して懸命に漕いでいた.チーム山土もゴールに向けて,ただひたすら漕いでいるのであった.カヌー経験者であるチーム山土のリーダーは,皆を巻き込んで参加させた責任をとって(?)か,3区間連続の出場をしていた.中継地点に到着するたびに,リポビタンDを補給し,体力を保っている.さすがに第8中継地点に到着したときは,顔が引きつっているようであった.さぁ,残すはあと1区間である.最終ゴールに向けてラストランである.

岩沼では工場が見られるようになった.川幅も大きくなってきた.

最後の一踏ん張り.ゴールはすぐそこだ.

さらにもう一丁! ファイト!一発! 顔が引きつっていないか!?

左のお二方,クランクアップ.お疲れ様でした.

さぁ,最後の再スタートである.

河口へ向けて,悠々と流れる阿武隈川を下っていった.

14.感動のゴール(亘理町)

ついにゴールした.福島市の渡利(わたり)から,宮城県の亘理(わたり)まで,全長約75kmの阿武隈川の旅であった.ゴールには白いテープが貼られ,次々と拍手で称えられながら,感動のゴールをきっていた.

順位は以下の通り.
⑥安達ファイヤーズ ⑫Team SHIBATA ③買いましたカヌーチーム ①西郷・白河源流チーム ⑧阿武隈OYAG’Z ⑩福島市役所R&Sスポーツ同好会 ⑯ふぐすま転覆隊 ⑦UFOの里飯野町 ⑭がんばろう仙台 ⑬亘理町 ②玉川カヌークラブ ④チーム大玉 ⑨チーム山土(やまど) ⑮Team南 ⑪CITY.伊達 ⑤アウトドア倶楽部

最後に,スタート地点から運んできたタスキである「阿武隈川源流の水」を川に戻して,フィナーレとなった.第2回の開催を誓って,閉会となったのであった.

ゴールの亘理船着場

ゴールにやってきたチーム山土(右側)

白いテープを通過するところ

ゴールしてカヌーを運ぶ

インタビューを受ける選手.残念ながらこのシーンはカットされていた.

ゴールしたぞ!!

閉会式では,豪華賞品が渡されていた.ちなみにチーム山土は13位だった.

タスキとしていた「阿武隈川源流の水」を川に戻してフィナーレとなった.

15.エピローグ

無事終了した第1回阿武隈川カヌー駅伝大会.
我が「チーム山土(やまど)」のメンバーに,後日アンケート形式で感想を聞いてみた.

1.参加してよかった点はどこですか.

はじめてカヌーに乗ることができた。水のスポーツも良いかも。
川の水面からの視点は、なかなか経験できません。
カヌーに10年ぶりぐらいに乗れたこと。
皆の性格(個性)があまり変わってないことが確認できたこと。
楽しかった。
自己満足だけど、普通はできない経験ができたこと。
あとは、○○チームにいた女子のうちの1人がちょっと気になった(冗談です)。
結果は二の次。チームが一つになれたことでしょうか!俺だけ?
皆さん、来年もお願いします。
「自然多くて、街中通ったりロケーション的には楽しめた」byG氏コメント「ゴジてれシャトル」より

2.参加して苦痛だった点はどこですか.

ありません。夢中でした。
風邪気味だったので、のどが痛かった。
真っ直ぐに進めない。
俺の操縦がヘボだったこと。
体力が持たない。
自分のことを棚に上げて、N君にキツイ事いってしまったかんじゃないかなぁと、
自問自答してしまったこと。
とにかく疲れた。
あと、狭いスペースでの膝立ちはきつい。でぶっちょなので…
ありませんが…残念だったこととして、独身貴族を卒業出来なかったことでしょうか?

3.タイムをあげるためには何が必要ですか.

集中力。諦めない、強い気持ち。持久力。すべてにおいて、足りませんでした。
カヌーをうまく操縦することが慣用。
練習(筋力と持久力)、ダイエット?事前の下見
酒!黄色い声援!チアガール!ゴール地点で○○を○○げて待つ美女!
Iさんのおっしゃるように、黄色い声援。

4.大会全体に関して,何かご意見ありますか.

初めての開催にしては怪我人も居なく、それなりに成功したんじゃないか。
各チェックポイントへ早く(遅く)ゴールしても、カヌーの置く位置で順位が変わってしまっていたのはちょっとおかしいと思いました。
商品は皆に分けましょう。
タイム計測に疑問あり。第1回だからしょうがないか…
それと、あんなに景品があったのに、上位チームで山分けってのは、んーーー、どうでしょう?
まぁ、ゴール後は、自チームだけではなく、参加者全員が一つになれたように感じたのは、私だけでしょうか?
本宮市から出場し3位入賞の「買いましたカヌー」チーム、広報もとみやに掲載されてました。
事務局の運営に感謝したい。
この先ずっーと大会が続くことを願う。

参加して一体感が持てたこと,これが大きな成果だった.優勝した暁には独身貴族を卒業しますと誓っていたチーム山土,13位ということで,当分独身貴族は卒業できそうにもありません.上位チームで商品山分けっていう感想,勝負の世界は厳しいのですよ・・・.実力を上げましょう! 私としては,もう少し川を楽しめて眺められる区間(つまりタイムを競わない区間)が2つほどあってもよいのかと思いました.
最後に,この大会を陰で支えていた運営スタッフの労力には,第1回目ということもあり,並々ならぬ苦労があったことと思います.大会が成功したことが,最大の成果だったと思います.