「■東京の情報」カテゴリーアーカイブ

BANCHAN WORLD の東京をテーマにしたカテゴリーです.

南千住汐入【東京考察#15】

Housing redevelopment (in Minamisenju Shioiri)


上部の細い道路がかつての街路

 


南千住汐入(しおいり)、ここはかつて隅田川の中州だったところで、昔ながらの東京の風景を色濃く残す街だったところである。「東京23区物語」泉麻人著の中でも語られているとおり、この街は迷路のように細い路地が曲がりくねり、昭和30年代の東京の風景を色濃く残す地域であったところである。「あった」と過去形になっているのは、この隣に草ぼうぼうの日紡の工場跡地があったのだが、その跡地とともに再開発が行われ、現在では高層住宅が建ち並ぶ住宅団地が形成された。街の様子が一変したのである。住宅地再開発の事例として、「東京考察」に取り上げた。

再開発された街並み

取り壊される家。この家に住んでいた人々は、隣の高層住宅に移り住んだのであろうが、長年住んだ自分の家が取り壊されるのは、見ていてつらいであろう。


取り壊される家 防災の日の訓練にも使われた

かつての汐入の風景。1991(H3)年に訪れた時の風景。

京都都市計画事業白髭西地区 第二種市街地再開発事業

この事業は、震災対策の一環として防災拠点の整備を図るとともに、地域特性を考慮した生活環境の改善及び経済基盤の強化を図ることを目的としています。
計画内容は、混在した住・商・工を計画的に再配置し、安全でうるおいのある住環境を目指すとともに、隅田川と一体となった総合公園や近隣公園を整備します。また、災害時の避難路をなる都市計画道路をはじめ、各種の生活道路や学校・保育所・コミュニティー施設等の公益施設を整備し、水と緑の豊かな安心して住めるまちづくりを行います。

工事現場に掲げてあった看板の文面。

有楽町そごう閉店セール【東京考察#14】

The department store closing sale at ‘Yurakucho SOGO’


入口は1カ所のみ スピーカーで案内する社員

 


 経営破綻により閉鎖が続くそごう店舗。有楽町で逢いましょうでも有名な、庶民派デパートの老舗「有楽町そごう」も閉鎖が決定され、2000年9月3日から17日まで、閉店売り尽くしセールが開催されることになった。10万円の商品が1万円台になったり、1万円の商品が500円になったりと、破格のバーゲンセールであり、また、マスコミでも取り上げられたこともあり、初日の今日は2時間待ちの大混雑となった。
有楽町は、銀座数寄屋橋に有楽町マリオンが出現してから、人の流れが一層マリオン・銀座方面へと流れるようになった。銀座の復権とも言われ、線路を挟んで銀座の反対側に位置するそごうは苦戦を強いられていたと思う。さらに追い打ちをかけたのが、都庁の新宿移転。やはり商業施設の成功は、人の流れをどのように読むか、また、呼び込むか、これに尽きる。
中に入るのはやめて、そとの行列の模様をお伝えします。閉店は24日だということです。



東京国際フォーラムの中庭を利用して行列をつくる


中庭の行列


東京国際フォーラム(元都庁跡)の中庭だけの行列かと思いきや、そのまま地下鉄入口の階段に列は続き、地下鉄コンコースをぐるーっと大回りする大行列であった。これでは2時間待ちである。



地下鉄のコンコースも利用して行列が作られていた 地下が唯一の入口だった


JR有楽町駅には「そごう口」という出口がある。そごうが閉店してしまうと、名称が変わるのだろうか。
都庁跡地に建った国際会議場「東京フォーラム口」などとなるのだろうか。


丸ノ内(大手町)と皇居前広場【東京考察#13】

Marunouchi (Otemachi) and Imperial Palace Plaza


国道1号と丸ノ内


 丸ノ内の景観と皇居前広場の空間は、非常に好きな場所のひとつである。皇居前広場にいると、こんなに空が抜けるような開放的な空間が都心にあったのか、と改めて驚愕する。そして、その広場から丸ノ内のビル群を眺めると、「さすが日本、ここまで成長したのだなー」、という感慨深いものが皇居を背にしながらこみ上げてくる。
丸ノ内のオフィス街は、江戸時代には譜代大名の屋敷地であったところを、三菱地所の岩崎弥之助に払い下げて、民間資本によって一大ビジネスゾーンが建設されたのが始まりである。日本の近代都市計画において都市設計思想の感じられる最初の開発ではないだろうか。現在では超高層ビルが建てられるようになったが、かつての旧建築基準法では建物の絶対高さ31mの規制があり、なおかつ美観地区の規制もかかっているため、ビルの高さが一致した看板広告の見られないすっきりした街並みが形成されている。重厚な安定感のある景観である。ただ、ネガティブな意見として、夜になると誰も人が歩かない地域になってしまい、人間らしさの感じられない街である、といった意見もある。
そして、その隣の皇居前広場には、ここが都心なのかと疑うほどの、広い広い空間が果てしなく広がっている。ここを歩いている観光客は外国人観光客が多くみられ、韓国などのアジア各国からの観光客も多い。



明治生命ビル(重要文化財)


皇居前広場の芝生

  


丸ノ内のビル群


桔梗門


桔梗門の前には警察官が門番をしている


皇居周囲ではマラソンをする人が多い.

夜の銀座【東京考察#12】

The Ginza at night


銀座4丁目交差点 和光の時計台

 


 夜の銀座。ネオンが輝き、本当に日本は不景気なのか、と思わせるほどの明るさである。銀座は、渋谷・新宿の喧騒とは違って、どことなく落ち着きのある街であり、高級感ある大人のムードを味わえる街である。


 左側車線は客待ちするタクシーが並んでいる。後ろを走るバスの行先表示板が赤色になっているのは最終バスを意味する。ちなみに都営バスでは、最終の1本前のバスは緑色のランプを光らせて走る。


 夜11時を過ぎているが、人通りが絶えない。終電に間に合うように、人々は駅へ向かう。


 大都市の工事は、交通量の減る夜間に行われることが多い。ここでも下水道工事が行われていた。カメラを持った外国人観光客の姿も目立ち、この工事の模様をビデオに収める人もいた。

 


 パントマイム。


 高級クラブの並ぶ、銀座6・7丁目界隈。ママさんがお客さんを見送るため、下に降りてくる。



三愛ビル


おまけ…


江戸東京博物館
の展示模型
明治(銀座煉瓦街)時代の銀座4丁目交差点
右の建物が朝野新聞社(現 和光時計台)

同潤会・江戸川アパート【東京考察#11】

The DOJUNKAI apartment at Edogawa

 


 

 No.5の東京考察で、
同潤会アパートのことを取り上げたところ、反響が多かった。
よって、第2段をお送りします。


現存する同潤会アパートは、「三ノ輪」「上野下」「清砂通」「大塚女子」、そして今回紹介する「江戸川」、前述の「青山」のみである。なにしろ、老朽化が激しく、雨漏りはするわ、ガスや水道の配管は腐敗してるわ、電気のアンペアは10A、風呂なし、などという条件が重なって、どのアパートでも建て替えの話が持ち上がっている。2001年11月の江戸東京博物館(両国)では、建築-都市の企画展を計画しているようで、その中で実物大の同潤会アパートの部屋を再現する予定だという。
江戸川アパートの入口には、上記のような看板が立てられていた。違反すると「110番」。全国から見学する人がやってくるのだろう。というわけで、外観のみの撮影とした。「無断見学の禁止」と書かれていたので、事前に話をすれば見させてくれるのか。特に1号館には、食堂や談話室などの共同施設が残っているので、是非この目で見てみたい気がする。

そしてついに,ようやく建て替えの話しがまとまり,11階建てのマンションになることが決定した.またひとつ,鉄筋コンクリート住宅の歴史的遺産がなくなることになる.是非,建て替えの前に一般公開していただけないか,切に願うものである.

 


山谷の風景【東京考察#10】

Scenery of ‘San-ya’ (a day laborer’s town)


 山谷(さんや)。日本の高度経済成長における国土建設、そして現在も発展を続ける東京。この発展を本当に支えていたのは、ここに暮らす人々なのではないだろうか。

 


山谷通りにさしかかるまえに注意を促す横断幕


 1泊2000円代の簡易宿泊所が軒を連ねている。朝5~6時には手配師がやってきて,その日の仕事が決まる.


  


やはり人生の楽しみは「酒」。スタンド飲み屋があちこちにある。山谷地区交番では、人々を刺激しないよう私服によって勤務している。


 

 


地域ぐるみでの環境美化に努めているのだが…。横断歩道は関係なし…。


看板の隣→

   

ラジオセンター界隈(秋葉原電気街)【東京考察#9】

Radio center store (the Akihabara electricity town)



JR総武線の下にあるラジオセンター

 


 ネオン輝く秋葉原の電気街に、最も秋葉原らしい一角が存在する。それは、「ラジオセンター」と呼ばれるパーツ街である。ここはJR秋葉原駅に隣接したJR総武線のガード下に所狭しと商店が軒を連ねており、電気製品をはじめ無線機やパーツ類が並べられている。パーツに関しては素人では何がなんだか分からない。こんなものを買って何になるのか?と思ってしまうが、電気に詳しい人ならば一目瞭然なのだろう。ただ歩いているだけでも楽しめる空間である。なお、狭い上に人でごった返すので、スリにご用心!!



無線機売場


所狭しと並んでいる


パーツ類



ラジオセンター入口


こちらはラジオデパート


ラジオデパート内部


秋葉原電気街


駅前では実演販売が行われている

 

新宿副都心(超高層ビル街)【東京考察#8】

Shinjujku sub center (Skyscraper town)


都庁からの眺め


 新宿副都心は、東京都の市街地整備の一環として掲げられた8つの「副都心」のひとつである。「副都心」とは、都心に集中する(ここでいう都心とは大手町などの東京駅周辺(千代田区・中央区・港区)の本社業務の集中している地区を指す)業務機能の受け皿として、また各地域の商業や文化、生活などの広域的な拠点として設定された地域で、新宿の他に、池袋、渋谷、大崎、錦糸町・亀戸、上野・浅草、そして臨海副都心(お台場)が存在する。
新宿の開発テーマは「ビジネスとふれあいの広がる街」だぞうで、昭和47年の京王プラザホテルを皮切りに、次々と超高層ビルを林立させ、今ではニューヨーク摩天楼を思わせる立派な超高層ビル街が形成された。ここはかつての淀橋浄水場跡地を開発したもので、開発当時は今の臨海副都心(お台場)のように、ただただ空き地の広がる空間があった。「太陽に吠えろ」のテレビドラマを見ていた方は、かつての新宿副都心の姿を思い出すに違いない。
現在、新宿副都心で最も高い建物は、東京都庁である。新宿副都心のいいところは、大抵のビルの展望台が無料であるというところである。いやなことがあって遠くを眺めたいとき、よくここの展望台に足を運んだものである。



京王プラザホテル


東京ヒルトンホテル


ホテルセンチュリーハイアットホテル



三井ビル


住友ビル

 
野村ビルと安田火災海上ビル
(どれも古参ビル)



KDDビルとNSビル


都庁前広場から見た超高層ビル群



都庁・第1本庁舎



大ガード付近から見た高層ビル

渋谷スクランブル交差点と渋谷センター街【東京考察#7】

The scramble crossing and Centergai in Shibuya

 


 とにかく,ハチ公前のスクランブル交差点は,渡るたびに人とぶつかって非常に疲れる場所である.そんなスクランブル交差点を,東急百貨店(JR渋谷駅)と京王井の頭線渋谷駅とを結ぶ通路から撮影してみた.






渋谷センター街入口のスクランブル交差点前の点景をどうぞ.

  

  

  

隅田川橋梁群【東京考察#6】

The bridge at Sumida river (view from a water-bus)


水上バス

 


 隅田川にかかる橋梁(復興局施工による6大橋)は、土木史の中でも語り継がれるほど、優秀な土木構造物である。6大橋とは、相生橋・永代橋・清洲橋・蔵前橋・駒形橋・言問橋のことであるが、これらの橋は関東大震災の復興事業によって架けられたものであり、外国人技師らと共に当時の新技術を投入して、技術的にも工法的にも景観的にも高く評価されている橋である。
浅草~日の出桟橋間を走る水上バスから通過する全ての橋梁の写真を、浅草側から下流に向かって撮影した。当時の6大橋と近年架けられた橋(新大橋などの斜張橋)との対比などをしてみるのも面白い。
台風の翌日に撮影したので、隅田川の色がインドやタイの川のように濁っていた。普段はこんなには濁っていない。写真が18枚ありますので、全て表示されるまでに時間がかかるかと思います。ご了承ください。では、浅草から河口まで橋の旅をどうぞ。



東武鉄道の橋梁


吾妻橋


駒形橋


厩橋


蔵前橋


JR総武線の橋梁


両国橋


首都高6・7号の両国ジャンクション


新大橋


清洲橋


隅田川大橋(首都高9号)


永代橋


中央大橋


佃大橋


勝鬨橋 (真ん中がハの字に開く橋だった)

東京湾へ

同潤会・青山アパート【東京考察#5】

The DOJUNKAI apartment at Aoyama

 

 同潤会は、現在の都市基盤整備公団の前身であり、関東大震災後における大量の住宅供給を目的として、義捐金から出資して造られた外郭団体であった。この同潤会は1930年から40年にかけて住宅供給計画・住宅団地計画の上で、技術的に重要な特筆すべき点があげられる。それは、鉄筋コンクリート造のアパートを大量に取り入れた点である。この青山アパートは昭和2年に建設され、実に70年以上に渡って建ち続けている貴重な鉄筋コンクリート造りのアパートなのである。

2002年10月末,安藤忠雄氏の設計による地上6階,地下6階建てのガラス張りビルに建て替えられることが公表され,2003年春までには取り壊されることが発表された.一部保存も検討したが構造的に問題があるとのことで,造りを復元することで現在のアパートの面影を残すこととなった.またひとつ,鉄筋コンクリートの歴史的なアパートメントが消えることになる.築70年余り,日本の建物は70年程度で終わりのようである.



表参道のケヤキ並木にとけこむ同潤会アパート


おしゃれなギャラリーに改装している。レトロな建物が実によくマッチしている


階段を照らす電球が何ともいえない


この同潤会アパートに突きつけられている問題が、老朽化による建て替えである。テレビのドキュメンタリーなどにもたびたび登場しているアパートであり、今後の集合住宅の老朽化問題を考える上で、先駆的な事例として注目されているところである。そんな中、この青山アパートもついに取り壊しが決定され、このアパートを見られる日もそう長くはなくなった。


  
階段と入口。  手すりが木製であり、電球が裸である。


1階の表札。「第拾号館、壱階、貳階」と書かれている。



建物の裏側。改造の跡が年月の経過を物語る。


四角い穴は、ダストシュートの排出口。建築年は昭和2年である。


神田神保町本屋街【東京考察#4】

The secondhand bookseller town in Kanda Jinbocho


靖国通りに面した本屋街
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 ココに来れば手に入らない本はない、本好きな人ならば1日中歩いても時間が足りない場所である。一般的な本から手に入りにくいマニアックな本、文学全集や辞書などの古本、情報が欲しくなったときは是非神保町の本屋街を訪ねてみることを薦める。同じ内容の本でも、いろいろな種類のものが並べてあるので、自分にとって見やすい本を見比べることができる。三省堂書店の本店や、ちょっと専門的な本を売っている書泉グランデ、そして、所狭しと本がずらずらと野積みされている古本屋が建ち並ぶ。
この周辺は学生街として発展していくうちに,学生のたまり場となる繁華街が形成されるとともに,書店・古書店街も発展していったもので,大正から昭和初期にかけて大きく成長した.昭和15年頃には古書店が約300軒にも及んでいたが,現在でも約100軒程度は建ち並んでいる.



古本屋の入口


全集などの古本が並べられている


また、レコード店(客層:3~40代の男性)やアイドル関係の写真集・雑誌のみをを取り扱っている専門店(客層:10~20代の女の子達)、そしてアダルト雑誌専門の書店(客層:男一般)などが、ビルの中の1フロアーを使って店を開いており、そこには足の踏み場もないほど商品が並べられている。そのようなマニアックな店は、表からは一見してわかりづらいところに店舗を構えているので、怪しそうなビルの中に入っていったり、路地裏を歩いてみたりして見つけること。



レコード店


(普通の)古本屋の店内


 本を購入したら、路地裏の個性的な喫茶店に入ってコーヒーを注文し、読書に耽るのもまた楽しみのひとつであろう。

京島(木造住宅密集市街地)【東京考察#3】

The wooden housing high density city area at Kyojima


車も通れない道に木造住宅が建ち並ぶ
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 京島(きょうじま)、あまり聞き慣れない地名かも知れない。向島(むこうじま)界隈といったほうがピンとくるだろう。隅田川と荒川に挟まれた地域であり、昔ながらの東京を色濃く残す下町である。その向島界隈の中でも、良くも悪くも情緒ある風情を残している地区が京島なのである。車も通れない道路に木造の住宅がぎっしり建ち並ぶ。隣の家の話し声が聞こえてきそうな、プライバシーなど関係ない程の密集した街並みである。この街を歩いていると、ふと昔にタイムスリップしたような気分になる。そして、不思議なことに、歩いていて心がほっとするのは、人間の尺度=ヒューマンスケールで建物や道路が形成されているからに違いない。



これも公道である。人とすれ違うのがやっと。


洗濯物を干すスペースは道路である。


迷路のような狭路


建て替えのための空き地も多くなってきた


これも道路
マンホールがある(つまり下水道などの公共施設が埋設されている公道)


「究極の狭路」といったところか.


井戸があった


洗濯物は道路に・・・

 


都市計画的(「役所の立場で」と言った方がいい)には非常に問題のある街である。木造住宅がほとんどであり、大地震や大火事などが発生したときにおける防災の上で好ましくない。今の法律では4m以上の道路に面していないと家が建てられないようになっているため、この地区では住宅を建て替えるためには、セットバック(敷地を道路として提供し、建物のファサードをひっこめること)を行わないといけない(下の写真で道路が広くなっているところがセットバックを行ったところ。左の家は新築である)。そうなると、ただでさえ狭い敷地の京島、家を建て替えたくても建て替えることができず、一向に居住環境が向上しない。そこで、京島まちづくり公社によって木造住宅密集地域の整備事業により、よりよい居住環境を造るためのまちづくりが行われている。そのため、空き地がぽつりぽつりと存在している。下町の風情ある街並みは、都市計画的には不合格であり、次第に姿を消していく。



セットバックで新築部分だけ広くなった道路


キラキラ橘商店街


京島2丁目、3丁目が密集の度合いがすごい。街を歩くときはキラキラ橘商店街を中心として、脇の路地裏を歩いていくといい。この地域の密集のすごさが実感できる。電車では京成押上線の京成曳舟駅、東武亀戸線の小村井駅、都バスでは日暮里駅・亀戸駅間を走る路線で橘通り停留所で下車。迷路のような街なので地図をお忘れなく…。

都営バス(走る広告塔)【東京考察#2】

The city-operated bus as an advertisement

 


 これも石原都知事の革新都政の現れだろうか。財政赤字を補うための策として、ボディーをすべて広告のペイントとしたバスがお目見えした。写真はコクヨの糊「プリット」の広告。このようなバスは地方の路面電車やバスに見られるが(福島県の会津バスなどは、このペイントをやっている)、大都市のバスではあまり見かけたことがない。このボディペイントがなかなか広告主にとって好評だそうで、そのうち全ての都バスがカラフルな広告塔になる日も、そう遠くないのかなと思う。
このボディペイントは結構インパクトのあるデザインになっており、見る側にとっても飽きることがなく楽しむことができる。ただ、一方で、色彩景観を乱すという議論も起こっており、デザインの決定にあたっては学識経験者等による審査委員会をつくって審議の上、デザインを決めているという。約8割は書き直しになるということである。広告料は路線によってまちまちであるというが、年間160万~60万円である。
以下にいくつかのバスの写真を載せておくが、この他にもバス全体がグリーンガムの包装紙に見立ててあるものや、缶コーヒーのボスの広告など、東京に行ったときには「広告バス」を探してみるのもおもしろいのではないだろうか。



清涼飲料水の広告


アート引越センターの広告

お台場(レインボータウン)【東京考察#1】

Odaiba (Rainbow Town)

写真
大観覧車と菜の花畑
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 今や「お台場」は東京の観光名所のひとつとなっており、国内はもとより海外からの観光客も足を運ぶところである。昨年には世界最大級の観覧車が完成し、ますますレジャーランド化しているお台場である。しかし、東京都が開発したこの臨海副都心、もともとは業務地区と居住地区と商業地区がバランス良く配置された都市を描いて計画されたものであるが、近年の不況により企業の進出が少なく、かつての「太陽に吠えろ」が放送されていた当時の新宿副都心(超高層ビルの立ち並ぶ地域、もとは淀橋浄水場であった)のように、だだっぴろい空き地がただただ広がる光景が見られ、出鼻をくじかれた感のする開発である。



フジテレビと空き地


ゆりかもめと空き地


 東京都の借金は臨海副都心開発によるものが大きなウエイトを占めている。なにしろ、インフラストラクチャーに非常にお金がかかっているのである。島内(お台場は建設残土等によって埋め立てられてできた島である)の道路下には地下鉄の規模とおなじような共同溝が網の目のように張り巡らされ、その中には電気・ガス・上水道・下水道はもちろん、ゴミ収集管なども埋設されており、ゴミは大きな掃除機のようなバキュームでゴミ収集場までパイプで吸い上げる方式がとられている。電柱はもちろん立っておらず、きれいな街並みが形成されているが、ヒューマンスケールで建物が配置されておらず、歩いて各施設をまわろうとすると、ちょっと歩き疲れる距離である。(つまり、机上で線を引いて計画された街なので、人間の生活する尺度・スケールで建物や道路(街路)の配置がされていないのである。この問題はお台場に限ったことではなく、世界の計画されて作られた都市(キャンベラやブラジリア、筑波学園都市など)でも同じことが人工都市の問題として議論されている)



空き地を利用して開催される有明フリーマーケット


ぞくぞくオープンする遊興施設(アクアシティお台場)


 業務・オフィスの進出が少ない代わりに、レジャー産業である室内テーマパークや13スクリーンの映画館、車のショールームなどが進出しているため、お台場がレジャーランドの様相を呈しているのである。そんな中で文化が育ち、土日には空き地を利用したフリーマーケット等が開催されている。入場料300円を取られるが、中に入ると、自動車の横で古着やおもちゃなどを地面に並べてセールしており、こんな汚いクツを誰が買うのかと思ってしまうものもあるが、貴重なブランドの品物なのだろうか、たぶん購入していく人がいるのであろう。古CDやプラモデル、茶碗などの食器類、いろいろなものが売られている。
このような都市景観を体験できることは、世界的にみても非常に希である。大きな建物と大きな空き地、ゆりかもめの新交通システムに乗って少し高い位置からこの両極端な街を眺めていると、つくづく異空間にいるような非現実的な感覚を体験することができる。あと20年も経つと、ニューヨークのマンハッタンのような地区に変貌しているのであろうか、今の新宿副都心が成熟したオフィス街になってきているように……。


夜の観覧車

 

東京考察(Tokyo Guidance)

東京の街を写真と共にコラム形式で紹介. 東京は日本の顔であるとともに世界へ向けた窓口です.世界でも有数の大都市ですが,その中にも色々な街の表情があり,ひとつひとつ見ていくととても興味深いものがあります.そんな東京を紹介します.「考察」と言っていますが,内容は画像を中心として東京の街並みや話題を紹介するページです.お気軽にご訪問ください.

各ページは以下のリンクからご覧ください.
東京考察サイトマップ